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    新校長が語る「まず自分の大好きなこと見つけて」…聖園

     カトリック系の女子中高一貫校である聖園女学院中学校・高等学校(神奈川県藤沢市)に4月、ミカエル・カルマノ氏が新校長として着任した。カルマノ氏はドイツ出身のカトリック教徒で、学生時代に南山大学に学び、昨年度まで同大学長を務めた経歴を持つ。新校長に教育方針や抱負を聞いた。

    ドイツのカトリック家庭に育つ

    • ミカエル・カルマノ新校長
      ミカエル・カルマノ新校長

    ――4月に着任されて、まず学校や生徒の印象はどう感じましたか。

     お祈りの時間がきちんと定められ、規律がしっかりしているからでしょう、とても真面目で素直な生徒が多いと感じました。もちろん、悪いことではありませんが、私なんかもそうした類いの生徒だったからでしょうが、もう少しやんちゃになってもいいのかなとも思いますね。

    ――大学時代は南山大学で神学を専攻されたそうですね。どういうきっかけで、日本で活動するようになったのですか。

     私はドイツのリンブルクという町で生まれ、カトリックの家庭で育ちました。小学校4年生頃には神父になりたいと思っていました。もちろん、同様の環境で育った子供が誰でも神父になりたいと望むわけではありません。むしろ、私がちょっと変わっていたのでしょうが、その意志を貫いてカトリックの大学に進学しました。

     カトリック教徒は、教会の一員として布教活動のために外国に派遣されることがままあり、私も外国に行くことになりました。それならば、ほとんど知識のない国のほうが面白いだろうと日本行きを決めたのです。南山大学で神学を学んだ後にアメリカにも留学しましたが、再び日本に戻ってきて、南山大学の講師として働きました。教えていた専門分野は教育学です。

    自分の頭で考える力を

    • イエスの聖心聖堂の内部
      イエスの聖心聖堂の内部

    ――ゼミも受け持っていたんですか。

     はい。ゼミでは、例えば中央集権型の日本やフランスの教育と、地方色が強いアメリカやドイツの教育を比較し、考証していくといった比較教育学をテーマに研究を深めていきました。

     学生には常に、自分の興味のあることを研究テーマに選んで取り組みなさいと言っていましたので、中には北海道まで出かけてシャーマンの歴史を調べてきた学生もいました。3週間ほどかけての取材旅行になるので、その間は他の授業に出席できないと、その学生は悩んでいましたが、そうしないと調べられないし、何より自分の興味に従って学ぶことが一番大切だと私は考えているので、大賛成で背中を押してあげました。

     私が一教員として大事にしているのは、まず自分の好きなことを見つけること。自分が知りたいことを学ぶということは、そのまま勉強のモチベーションになりますし、一つのことを追いかけていけばその周辺のことも知りたくなり、学びはさらに広がっていきます。

     ここで大事なのが、自分で考える力を養うということです。ですから、これを知れば、こういうことができるんじゃないかというサジェスチョンはしますが、答えを示すことはしたくありません。自分の頭で考える力を身につけてほしいですね。

    • 体育館やPC教室があるマリアホール
      体育館やPC教室があるマリアホール

    ――聖園の生徒たちに朝礼で話をするときは、どんな話を。

     ついこの間話したのは川崎市の踏切で線路内に入った男性を救おうとして亡くなった男性についてです。

    ――4月15日に、踏切内に立っていた高齢の男性を助けようとした男性がともにはねられて死亡した事故ですね。

     そうです。言うまでもなく痛ましい事故ですが、救おうとした男性の命は無意味になくなってしまったのではないと思いました。肉体はなくなっても男性の行動は人々の心の中に残り続ける。男性の命は心の中で生き続けるのだと思います。

     もちろん、これは私の考えであって、生徒たちに押し付けるわけではありません。話を聞いても、すぐに忘れてしまうかもしれませんが、これをきっかけにして命について考え始める生徒もいるかもしれない。何かを押し付けるのではなく、私の話が、何かを考えるきっかけになってほしいと思っています。

    ネイティブ教員による英語教育に注力

    • 緑あふれる校内
      緑あふれる校内

    ――今後、教育の面で力を入れていきたいことはありますか。

     昨年度からMisono English Academyという英語学習専用の教室を設けました。これは昼休みや放課後を利用してネイティブの英語教員と歌やゲームなどで英語を学習できる部屋です。英語はいわばコミュニケーションのためのツールですが、別の言語を学ぶということは新たな自分の発見にもつながります。言葉が違えば思考が違ってきます。事実、私もドイツ語と英語と日本語をしゃべるときでは考え方が異なります。

    ――進学率についてはいかがですか。

     もちろん、きちんとした学力を身につけさせるのが学校の使命だと思っています。しかし、進学率を上げるためだけの視点で大学に行きなさいとは言いたくありません。繰り返しになりますが、忘れてならないのは、自分の大好きなことを見つけて、将来やりたいことを実現するための学びということです。

    ――最後に中学受験を控えている生徒にメッセージを。

     志望校を決めるときに進学率や面倒見の良い学校といった理由で決めるかもしれませんが、それは表面的なことかもしれません。

     本校は1学年につき100人前後なので決して大きな学校ではありません。全員の名前を覚えられるぐらいの人数です。あちこちの地域から生徒が入学してくるので新しい友達もたくさん増えるでしょう。もし本校に入学したら、聖書や私や教員たちに接することで、ぜひ人生や生きることについて考えてください。本校はそうしたことをじっくりと考えられる学校だと思います。

     本校にいらしたことがある方ならご存じでしょうが、校舎にたどり着くには坂を上ってこなければなりません。しかし、この学校にはその急な勾配を征してくるだけの価値がある。私はそう確信しています

    (文と写真:森祐一)

    2017年06月14日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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