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    来年度入試改革でグローバル教育を拡大…実践女子

     実践女子学園中学校高等学校(東京都渋谷区)は、2018年から入試の方式を大幅に変更する。一般入試は「4科(国・算・社・理)」から「4科または2科(国・算)」と「1科」に分かれ、「思考・表現入試」が新たに導入されるほか、午後入試も3回実施される。「グローバルスタディーズクラス(以下、GSC)」入試は廃止されるが、これらの改革の目的は、全クラスにグローバル教育を拡大し、充実を図ることにある。広報部顧問の松下寿久教諭に詳しい方針を聞いた。

    GSCのノウハウを全クラスに

    • 教育改革について説明する松下寿久教諭
      教育改革について説明する松下寿久教諭

     「GSC入試の廃止について、問い合わせが多くあります。誤解しないでいただきたいのは、グローバル教育をやめるのではなく、各学年に1クラスだけだったGSCの枠を取り払い、そのノウハウを全クラスに広げていく、発展的解消だということです」と、松下寿久教諭は改革の眼目を話した。

     同校は、校祖・下田歌子が、2年間にわたる欧米女子教育の視察を行った結果、女子教育の必要を痛感して1899年に創立した。1902年以降は、清国(現在の中国)から多くの留学生を受け入れており、創立当初からグローバルな視点で教育をしてきた伝統がある。

     その伝統を受け継いで設置されたのが、グローバル教育に特化したGSCだった。帰国生を積極的に受け入れ、レベル別3展開のハイレベルな英語授業をはじめ、英語を使って授業を行う英語イマージョン教育、留学プログラムなどに先進的に取り組んできた。生徒の英語力には定評がある。全日本高校模擬国連大会で2012年以降、4年連続で日本代表に選ばれてニューヨークの国際大会に出場したり、今年はハーバード大学主催の模擬国連北京大会に出場したりするなど、その実力は折り紙付きだ。

     「GSCのノウハウをすべてのクラスに応用して、学校全体をグローバル教育の舞台にしたいのです。当面は英語教育の充実を図ります。来年度の中1から全ての英語授業をレベル別少人数多展開とし、ネイティブ教員の授業も増やす予定です。本校のおよそ4人に1人が帰国生です。北米、ヨーロッパ、東南アジアなどさまざまなバックグラウンドを持つ帰国生たちが国内生と共に学んでいます。海外で培った英語力やリーダーシップに、いっそう磨きをかけられる環境です。国内生と帰国生が多様性の中で切磋(せっさ)琢磨(たくま)し、新たな価値を生み出す、解決策を見いだす、そういったグローバルな探究教育で、思考力、表現力、判断力の育成を目指しています」

    英語資格が生きる注目の国語1教科入試

    • 学園内にある校祖・下田歌子の像
      学園内にある校祖・下田歌子の像

     一般入試は、これまでの「4科」から、「2科または4科」の選択制と「1科」に細分化される。このうち英語の得意な受験生に有利なのが「1科」入試だ。試験科目は国語だけで、同校が認定する一定以上の英語資格を持っていることが出願条件となる。また、そのレベルに応じて得点換算される。

     実用英語技能検定(以下、英検)なら4級以上が出願資格となる。4級は50点、3級は60点、準2級は80点、2級以上は100点満点に換算し、国語の得点(100点満点)と合算して計200点満点で合否判定する。ほかにもTOEFLやTOEICなどの民間英語試験も出願資格に使える。

     「この入試の対象として想定したのは、帰国後3年以内という条件に該当しなくなった帰国生や、高い英語力を持つ国内生などです。当初は英語入試の導入を考えましたが、英語で受験しようという受験生は、ほとんどが英検などの級を持っているだろうということで、英語力は外部試験の評価を採用し、当日は国語1科だけで受験できる入試にしました。いずれにせよ、高い英語力を持っている受験生はぜひチャレンジしてほしいと思います」

     入学する生徒の中には、ネイティブ並みの英語力を持つ者もいれば、まったくの初級者もいる。レベル別多展開の授業に収まらない場合は、特にその生徒たちを対象とした「取り出し授業」も考えているという。

    スピーチが得意なら「思考・表現入試」

    • 都心にありながら緑豊かで広大な敷地
      都心にありながら緑豊かで広大な敷地

     また、一般入試と並んで新たに導入される「思考・表現入試」は、調べ学習やスピーチが得意な受験生に有利な入試方式だ。

     「この入試は、教科の枠を超えた総合探究型の新方式入試です。受験生は、当日与えられた三つのテーマから一つを選び、90分間の調べ学習を行います。本校の図書室を開放し、パソコンも使えるようにします。その後、選んだテーマについて5分間のプレゼンテーションを行い、その後5分間、教員からの質問に答えるというものです。発表が得意な受験生はもちろん、学科試験は不得手でも、海外でスピーチやディベートなどの教育を受けてきた帰国生には向いている入試だと思います」

     同校は「探究女子教育」「ICT女子教育」「グローバル女子教育」「感性女子教育」の四つを、教育改革の柱として推進している。その中で最も重要なキーワードは「探究」だという。

     「本校では、自分で課題を見つけて探究し、解決するプロセスを通し、論理的思考力やプレゼンテーション能力を養成しています。こうした力は2020年の大学入試改革に示されるように、時代が求める力でもあるのです。本校が目指す、こうした生徒像と合致した生徒に入学してもらいたい」

    「2科受験」と「午後入試」でさまざまな受験生にチャンスを

    • 3階建ての体育館は授業や部活動にも余裕の広さ
      3階建ての体育館は授業や部活動にも余裕の広さ

     「1科入試」と「思考・表現入試」に比べると目新しさはないが、第1回から第5回までのすべての一般入試で2科入試(国語・算数)が導入されたこと、さらに2月1日から3日までの3日間とも午後入試が実施される点は見逃せない変化だ。

     「従来は中学受験の勉強は小学4年頃から塾に通い始め、習い事もやめて、みっちり勉強してくる受験生が多かったのですが、最近では習い事なども並行して頑張り、受験勉強も5年や6年から始める受験生が以前より多いと聞いています。こうした受験生も受けやすい方向にしていこうというのが、本校の考えです。2科入試の導入により、受験生にとっては格段に受けやすくなると思います」と松下教諭は狙いを話す。

     「もちろん、4科で頑張ってきた受験生が報われるように、判定方法としては、まず国語と算数の2科で判定して一定の合格者を出し、次に社会と理科も加えた4科で判定する2段階方式にします。つまり4科受験生は判定を受けるチャンスが2回あるわけです。また、午後入試の導入によって多様な併願パターンも組めるようになったので、ぜひとも多くの受験生に志願してほしいですね」

    グローバルで探究的な人材を

     入試形態を変えたり、新しい入試方法を導入したりする目的は、同校の目指すグローバル人材の育成にある。そのためには、単に学科試験の成績だけでなく、英語力や論理的思考力、プレゼンテーション力など、さまざまな能力や資質を持つ受験生が受けやすい入試方式が必要だ。「多様な個性、多様な背景を持つ生徒たちが切磋琢磨する環境こそが、本校のグローバル教育の基盤なのです。そうした生徒たちが自ら課題を見つけ、自ら解決策を見いだしていく。それがまさに『探究』です」

     同校のグローバルで探究的な教育は、模擬国連だけでなく、1年間かけてテーマを研究し、海外の大学で英語によるプレゼンテーションを行う「サイエンス探究プロジェクト」や、企業から与えられる課題に応えて商品やサービスの開発に挑む「クエスト・エデュケーション」など多岐にわたる。これらのプログラムを通じて生徒たちの視野は確実に広がっており、理系進学を目指す生徒や、海外大学に進む生徒が増えている。海外で働く卒業生も多く輩出している。

     「今や、進学先も就職先も、日本だけとは限りません。校歌に『にほへ やしま(日本)の そとまでも』とありますが、本校の生徒の活躍が日本の外にまで及ぶというのは、まさに創立者・下田歌子が掲げた理念の体現にほかなりません」

     来年からの新しい入試方法は、実践女子の伝統をいっそう深めていくことだろう。グローバルで探究心あふれる人材が次々と世に送り出されることを期待したい。

     (文と写真:小山美香)

    2017年10月26日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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