文字サイズ
    中学受験サポートに協賛する会員校の特色や、会員校からのお知らせなどを掲載しています。

    自分の将来像と出会う「卒業生が語る会」…専大松戸

     専修大学松戸中学校・高等学校(千葉県松戸市)は中学期からのキャリア教育に力を入れ、さまざまな特別授業やプログラムを実施している。その一環として9月2日、中3生と同校出身の大学生が語り合う「進路講演会 卒業生が語る会」が行われた。

    9人の先輩が自らの経験を披露

    • 「進路講演会 卒業生が語る会」開会の様子
      「進路講演会 卒業生が語る会」開会の様子

     「語る会」は毎年、この時期に行う中3生全員参加のプログラムで、大学在学中の卒業生が来校し、受験時の体験談や大学生活、現在取り組んでいる研究や将来の志望などについて語り、生徒と交流する。今年8回目を迎えた。

     出席した卒業生は9人。早稲田大(法・基幹理工)、筑波大(生命環境)、立教大(理)、信州大(医)、上智大(国際教養)、千葉大(教育)、聖路加国際大(看護)、北里大(薬)から大学3、4年生が集まった。会を運営する進路指導担当の五味光教頭代理によると、「大学以降の未来も語ってもらえるよう、卒業後の進路が定まり始めた卒業生にお願いした」という。

     前半の2コマは、学校で事前に用意した質問に卒業生が答えるコーナー。「現在の勉強や研究の内容」「今後の進路」というキャリア教育に即した質問や、「中3の頃の自分」「得意・不得意だった科目」「受験勉強の工夫」など、生徒に身近な問題に対し、1人ずつ自分の体験や考えを話した。

     筑波大4年で細胞性粘菌の研究に携わり、卒業後は広告会社で販売促進の仕事に就く予定という田中結衣さんは、「生物の研究を通して、自分は人間の意識や行動に関心があると気づいた」と、一見すると意外に見える進路を選んだ経緯を語った。

     上智大4年の平田晶さんは、中3時代の「語る会」が人生の転機になった。「留学したという先輩の話に『自分も』と奮起し、苦手な英語を克服して高1でアメリカに留学した」と語った。

     その他、企業のインターンシップで中国・上海の工場に行った体験談や、「高2まで部活漬けだった」「漫画がきっかけで宇宙の研究に興味を持った」といった中高時代の打ち明け話も飛び出し、多くの生徒が興味深く耳を傾けていた。

    車座になって将来を語り合う

    • 大学の講義の時間表やテキスト、研究資料を見せる卒業生
      大学の講義の時間表やテキスト、研究資料を見せる卒業生

     3コマ目は、各卒業生の周りに生徒が車座となり、個別の質疑応答を行った。15分間ごとのローテーションで3人の異なる卒業生に話が聞ける。卒業生は、大学の講義の時間表やテキスト、研究資料を見せたり、軽妙な口調で学生生活を語って場を沸かせたり、また、「何でも聞いて」と気さくに質問を促したりするなど、それぞれのスタイルで対応していた。

     互いがより身近に感じられる車座ということもあって、生徒もリラックスした様子で、多くが身を乗り出して話に聞き入り、「部活と勉強の両立」といったよくある悩みから、「心配事がある時の対処法」といった人生相談的なものまでさまざまな質問を発していた。

     今回、母校を訪れた卒業生は分野も進路もさまざまだが、異口同音に口にしたのが、「今やりたいことがあるならやってみるべき。将来必ず役立つ」というアドバイスだった。

     化学と物理が好きで理系の進路を意識しているという鈴木里奈さんは、他にも関心を持っている分野があることから、「(先輩たちの話が)将来を改めて考えるきっかけになった」という。また、複数の卒業生が口にした「どんな進路でも英語は頑張った方がいい」というアドバイスに、「苦手だけど頑張ろう」と、決意を新たにするきっかけになったそうだ。

     物理学に関心があり、大学は理学部を志望している初根遼介くんは、一方で「将来は開発途上国で子供たちの教育に携わりたい」という夢もあり、どういう進路で実現できるかを相談した。相談を受けた千葉大4年の中野真由さんは、「海外の学校と提携している大学に進む方法はあるかも」とアドバイス。その上で、「将来を現実的に考えている子が多い。私の頃より大人びています」と話した。

     同様に、早稲田大法学部4年の菅野仁啓さんも、後輩たちの様子に感銘を受けたようで、「中3とはいえ、大学受験に不安を抱えている子は多いと感じました。少しでも力になれたのならうれしいです」と話していた。

    3年間で将来のビジョンを育むプロジェクト

    • 「フューチャープロジェクト」について語る五味光教頭代理
      「フューチャープロジェクト」について語る五味光教頭代理

     「卒業生が語る会」は、中学3年間のキャリア教育プログラム「フューチャープロジェクト」の一環だ。中1では自己分析や作文などを通して自分の特性を知り、進路を見極める土台をつくる。中2では職業体験やさまざまな職業人の出張授業を通じ、社会への関わり方を考える。そして中3では、「語る会」など進路のイメージをさらに具体化するプログラムを行う。

     中高一貫校にとって中3は「中だるみ」とも言われ、学習意欲が下がりがちな時期。「夏休み前後を中心にキャリア教育を充実させることで、その後の飛躍のきっかけとしたい」と、五味教頭代理はそのねらいを語る。

     6月には、アメリカ・ネブラスカ州に約2週間滞在する修学旅行を実施。提携校でのサマースクール参加やホームステイによって英語への意欲を高め、異文化や国際社会への理解を促す。

     帰国直後の7月には、首都圏の有名大学から外国人留学生を招いて英語で交流する「ISAプログラム」がある。自分の将来の展望を英語でプレゼンテーションすることで、英語学習意欲の維持とキャリアビジョン形成の足がかりとする。

     「語る会」の後は10月に大学訪問を行い、大学生活をリアルに意識する契機をつくる。ここでも案内役として、卒業生が活躍している。

     そして中学卒業時にはプロジェクトの集大成として、自分の将来をテーマに文章を書き、文集にまとめて全員に配布。高校からの更なる飛躍のステップとする。

    将来を意識する大きな機会

     取材後、生徒たちが書いた「語る会」の感想リポートを見せてもらった。「行きたい大学、学部を決めた」という生徒。「勉強量が足りない」と痛感した生徒。「好きなことの研究」ができることへの憧れを語る生徒。反応はさまざまだが、共通するのは自分の将来を模索し始めた前向きの気持ちだ。

     五味教頭代理も手応えを感じた様子で、「生身の相手を通して自分の将来を垣間見ることができるこの会は、プロジェクトの中でも大きな刺激になるはず。週明け最初の授業では、“数年後、あそこに座るのは君たちだ”と、さらに背中を押してあげたい」と語った。

    (文:上田大朗 写真:中学受験サポート)

    2017年09月29日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    おすすめ
    PR
    今週のPICK UP