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    英語教育から開ける「自学創造」の力…安田学園

     安田学園中学校・高等学校(東京都墨田区)が、英語教育を核とする新しい学びで、大学進学実績を大きく伸ばしている。「自学創造」の教育目標どおり、授業では基礎学力の徹底を通じて、独学できる力を身に付けさせていく。総合的な英語力に特化した「特英コース」や、教科横断型の「探究学習」を具体化した同校の教育を紹介する。

    英語の総合力に特化した「特英コース」

    • 英語科主任の大西洋平教諭
      英語科主任の大西洋平教諭

     「英語は、どんな進路を選ぶにしても、決め手となる科目です。英語力を強化することで、進学実績が全体的に向上するのではないかと期待しています」と、礒正樹広報本部長は力を込めた。

     同校は2013年、中高一貫教育の新体制として「先進コース」と「総合コース」の2コース制を導入した。「先進コース」は、先進特待入試によって優秀層を集め、最難関レベルの大学進学を目指す。「総合コース」は一般入試を中心に、先進特待入試からのスライド合格者も含めて構成される。この「総合コース」から中学2年次に希望を募って25~30人を選抜し、設けているのが「特英コース」だ。

     各コースは、いずれもグローバル教育の要となる英語教育に注力しているが、「特英コース」は象徴的な存在で、2020年の大学入試改革でも求められている総合的な英語力を身に付けることに特化している。

     英語科主任の大西洋平教諭は「大学受験に対応する英語力だけではなく、多読学習による読解力の育成や、ディベート、プレゼンテーションといったコミュニケーション・スキルの向上を目指しています」と説明する。

     英語力の目標は、中3で英検準2級、高3までに準1級の取得を目指しており、日本人の教員とネイティブの教員によるチーム・ティーチングで、週9時間の授業を行っている。ニュージーランドでの3週間の語学研修をはじめ、海外研修のプログラムなども用意している。現高1生の、中3終了時点での英検準2級以上取得者は、先進コース全体の83%、特英コース全体の86%に達している。

     卒業生が出るのはこれからだが、すでに予想を上回る結果が出ており、外国語大学や、国際関係の学部を志望する生徒が多いという。

    先進コースは初の海外論文発表

    • 動物園での探究学習の様子
      動物園での探究学習の様子

     「先進コース」では、特に発信型の英語力が問われる。このコースでは集大成として、海外大学で英語での論文発表を行うからだ。同コースの生徒は、アクティブラーニングの考えに基づく教科横断型プログラム「探究学習」に入学時から取り組んでいる。このプログラムでは、生徒は自分で課題を発見し、解決し、論文化していく。高校2年次には、自分の論文を英訳して海外でプレゼンテーションすることになっている。

     「そのための英語力、コミュニケーション力を身に付けるため、希望者には語学研修や短期留学のプログラムも用意しています。また、全校共通のスピーチ・コンテストやスペリング・コンテスト、イングリッシュ・キャンプなど、英語に親しむ機会をたくさん設けています」と大西教諭。

     初年度にあたる今年は、テロ事件の影響から、安全性を考慮してオーストラリアのクイーンズ大学で実施されることになったが、今後は英オックスフォード大のハートフォード・カレッジで実施していくという。

    英語教育通じて「独習できる力」を

    • 中学3年次にカナダで行う語学研修
      中学3年次にカナダで行う語学研修

     大西教諭は「英語の学習では、自分を表現する力を求められます。語彙(ごい)力と文法にプラスして、自分の考えがなければならないのです。特に難関大学では、そうした力が求められています」と話す。

     そのために必要なのは「基礎学力の徹底」だという。中学の英語の授業では、ノートをきれいに作る方法から教えていく。「基本的な考えとして、中学では学習法を教え、高校では『独習』の形で学びます。英語は、予習しやすい科目です。予習した内容を授業で確認し、復習でしっかり定着させる。この方法をしっかり身に付ければ、他の科目でも、家でどうやって勉強すればいいのかが明確になります。次第に、『独習する力』がつくのです」

     礒広報本部長も基礎学力の意義を重視している。「広く注目されているアクティブラーニングにしても、ベースの学力が十分にあってこそ、ユニークな着眼点を見つけたり、ロジカルな仮説を立てたりできるのです。教育は、基礎力と応用力との2階建てであるべきだと考えています」

     大西教諭が「独習する力」を強調するのは、コース制の導入と同時期に、同校が新たに掲げた「自学創造」という教育目標があるからだ。

     この言葉の意義について、礒広報本部長は「学校は、一方的に勉強を教える場ではありません。学校の授業は、学習方法を体得させるためのもの。重要なのはその先で、自分で勉強する力、自学力の習得です」と話す。

     大学受験はもちろん、これからのグローバル社会で生きていくためには、「自ら考え、自ら学び、創造的な学力と豊かな人間力を育てる」という「自学創造」の生き方が、ますます必要になっていくからだ。

     教科横断型の「探究学習」も、総合的な英語力の養成も、この「自学創造」の精神を実践の場に移した学びにほかならない。

    「どんな生徒でも最後まで面倒をみる」

     ここ数年、同校は進学実績を大きく伸ばしている。2017年度の現役合格実績は2014年度に比べ、2倍強となる443人となった。礒広報本部長は、「城東地区(墨田、江東、江戸川、葛飾区など)でナンバーワンの進学校を目指しています」と話す。

     その原動力となったのがコース制の導入を中心とする学校改革であることは確かだろう。しかし、こうした積極的な教育姿勢は、優秀層だけを大事にするという意味ではない。学園の方針は、「どんな生徒でも最後まで面倒をみる。落ちこぼれを作らない」ことだという。基礎学力を重視した授業も、その表れだ。

     進学対策も、塾や予備校を必要としない学校完結型を目指している。そのために、中学1~3年で学習法体得合宿、高1で学習合宿を行い、高校では、志望大学別の夏期・冬期講習や進学合宿など、生徒一人一人を見守りながら、きめ細かい受験対応をしているのだ。

     全校アンケートを取ったところ、生徒の95%が「学校が楽しい」と回答したという。先生たちの熱意を、生徒たちは、きちんと受け止めているのだ。

     (文と写真:織江理央 一部写真:安田学園中学校・高等学校提供)

    2017年11月13日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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