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    「つくし部」で人の役に立つ喜びを…東京純心

     東京純心女子中学校・高等学校(東京都八王子市)には、カトリック系中高一貫校にふさわしく、「聖母マリアのように神様にも人にも喜ばれる、清く、賢く、優しい女性」を育むという教育理念を実践する部活動がある。ボランティア活動に取り組む「つくし部」だ。2015年には「国際ソロプチミスト」の中高生団体会員にも認証され、ますます社会貢献に励む同部の活動を紹介する。

    国際ソロプチミストの「Sクラブ」に

    • 「つくし部」顧問の赤尾綾教諭
      「つくし部」顧問の赤尾綾教諭

     東京純心には、人に「尽くす」活動をそのまま名前にした「つくし部」というボランティア活動のクラブがある。すでに40年以上の歴史があり、現在は中学生3人、高校生5人が活動している。

     同部は、地道で息の長い社会奉仕活動が認められ、2015年に女性の世界的な奉仕団体「国際ソロプチミスト」の中高生団体会員「Sクラブ」に認証された。同団体は人権擁護と女性の地位向上を目的に活動するNGOで、125か国に約9万人の会員を擁している。

     「つくし部」顧問の赤尾綾教諭(国語科)によると、「Sクラブ」会員になると、資金面のサポートに加え、手話教室などの活動のノウハウ紹介といった、さまざまな支援が受けられるという。「支援を活用して、活動を広げていきたいです」と赤尾教諭は話す。

     部員は毎週木曜日に集まり、普段は手話や点字を勉強したり、お年寄りや子どもたちとの交流に役立つ手芸や折り紙を練習したりしている。また、車椅子の体験や、使用済み切手を集めて換金し、慈善団体などに寄付する活動も行っている。

     校外の施設・団体とも、意欲的に交流している。月に1、2度訪問する特別養護老人ホーム「偕楽園ホーム」では、施設内の一室で喫茶店を開く「喫茶ボランティア」を行っている。また、指定介護老人ホーム「ファミリーマイホーム」に他部と合同で訪問し、施設の夏祭りやクリスマス会の手伝いなどをしている。その他、特定非営利活動法人「マザーハウス」のプロジェクトの一環として、刑務所の受刑者にクリスマスカードを送る活動にも携わっている。

     東京純心は、学校全体でさまざまなボランティア活動に関わっているが、「つくし部」の部員たちは、その中心となって活躍している。たとえば、東日本大震災の被災地で農作業や学童保育を支援するボランティア活動、就学困難な子どもたちを支援する「あしなが育英会」の募金活動を続けていて、部員はそれらの活動に率先して参加する一方、一般生徒にも参加するよう呼びかけている。

    文化祭では手話歌の発表も

    • 高齢者施設への訪問活動
      高齢者施設への訪問活動

     現在「つくし部」の部長を務めるのは、高1の田中悠紀子さんだ。田中さんは、姉が「つくし部」に所属していたこともあり、小学生のころに、文化祭「純心祭」で手話歌の発表を見たのが入部のきっかけになった。

     「アイドルグループ『嵐』のヒット曲『One Love』を、手話を交えて歌っていたんです。かっこいいと思い、後で姉に教えてもらいました。それで部に興味を持ちました」

     「部のふわっとしたアットホームな雰囲気が好き」と田中さん。「活動を通して、人の役に立てる喜びを感じています」と話す。「募金活動は、支援してくださる人と、支援を受け取る人の仲立ちになれる感じが(うれ)しい。休憩時間に、他校の人たちと雑談するのも楽しみです。街で募金活動を見かけると、できるだけ協力するようにしています」

     高齢者施設の訪問ボランティアでも、「顔を覚えてくれて、『この前も来てくれたね』と言ってもらえるのが嬉しいです。電車などでお年寄りに席を譲るのも、迷いなくできるようになりました」と、やりがいを感じているようだ。

    身近なところにある活動のきっかけ

    • 東日本大震災の被災地で、海産物作りのボランティア活動
      東日本大震災の被災地で、海産物作りのボランティア活動

     赤尾教諭は「活動は、基本的に生徒に任せています」という。ただ、校外で人と交流する場合、慣れていないと気後れして話しかけられなかったり、コミュニケーションやサポートの仕方を間違ったりすることもある。そんな時に生徒をフォローし、手本を見せるのが赤尾先生の役目だ。

     「お年寄りには大きな声でゆっくり声をかけるなど、ちょっとしたコツを覚えるだけでも会話がスムーズになって積極的になれるものです。そうした手助けをして、縁の下の力持ちの大切さと喜びを知ってもらいたい」

     活動のきっかけは、さまざまなところにある。たとえば「偕楽園ホーム」での喫茶ボランティアは、「純心祭」にホームの施設スタッフが訪れたことから交流が始まったという。純心祭では他にも、車椅子体験や点字体験、手話のミニ講座などを行っており、部の活動を知ってもらう大切な場の一つとなっている。

     昨年の秋は、学校の裏手にある都立滝山自然公園に出かけ、散策がてらゴミ拾いをした。赤尾教諭は「ふと思い立って行ったのですが、気候もいい頃だったし、気持ちよかったですよ」と話し、田中さんも「またやりたいですね」と答えた。新しい活動が、足元から少しずつ広がっているようだ。

    社会とのかかわりを学びつつ

    • 国際ソロプチミストのクリスマス会で披露する手話歌を練習
      国際ソロプチミストのクリスマス会で披露する手話歌を練習

     取材当日は、国際ソロプチミストの八王子支部でクリスマス会が開かれる日だった。会場で手話歌を披露することになっており、その練習を見学した。

     出し物は「サンタが街にやってくる」。市販の手話イラスト付きのソングブックを見ながら、本番前の合同練習を行っていた。

     兼部している生徒も多いため、全員で合わせるのはこの日が初めて。観客の位置にいる赤尾教諭と、昨年から副顧問を務める廣松景子教諭(社会科)に「目線を観客の方に」「笑顔でね」などのアドバイスを受けながら練習に集中していく。最初は動作にばらつきがあったものの、20分ほど繰り返し練習するうちにきれいに(そろ)い、声も出るようになってきた。すぐに息が合ってくる様子から、部員同士の日頃の仲の良さがうかがえた。

     廣松教諭は「社会科教員の立場から、世の中の知識を踏まえた情報提供ができれば」と話す。社会とのかかわりを学びながら「つくし部」の活動は、ますます充実することだろう。そのあり方は、「聖母マリアのように神様にも人にも喜ばれる女性」の育成を目指す、同校の教育を象徴しているように思えた。

    (文・写真:上田大朗 一部写真:東京純心女子中学校・高等学校提供)

    2018年01月18日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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