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    みそづくりで和食を科学する…秀明八千代

     秀明八千代中学校(千葉県八千代市)は、グローバル社会を見据えた実践力・国際力・伝統力を育てる「PGTプログラム」を昨年からスタートした。その学習テーマの一つとして「和食」に着目。昨年度の稲の栽培に続き、今年度は中1生がみそづくりに取り組んでいる。担当教諭に話を聞くとともに、2時間にわたって行われた「仕込み」授業を取材した。

    調べ学習に大豆栽培…多角的にみそを学ぶ

    • 鈴木仁宏教諭
      鈴木仁宏教諭

     みそづくりは、1年生前半の単元「和食の科学」の一環として、理科の鈴木仁宏教諭が担当している。指導に当たっては、一般向けにみそづくり講習会も開催している茨城県牛久市の「ヤマイチ味噌(みそ)」に協力を依頼。講習会を受講し、(こうじ)菌などの提供も受けている。

     みそづくりと並行して、原料である大豆の栽培も進行中だ。生徒1人に栽培用ポット六つを割り当て、5月に種まきを行った。現在はまだ葉が茂り始めた段階のため、今回のみそには市販の大豆を使う。育てている大豆については、仕込んだみその完成を待ちながら、生育の観察を進める。

     水は1日1度やるのが基本だが、水をやるタイミングや肥料の有無などは各自で決める。米のとぎ汁をまいてみたり、一部のポットの土を突き固めて栽培したりするなど、実験的なことを行う生徒もいるという。週末や休日などの水やりをどうするか、といった全体ルールはつくっていない。「マニュアル的に指導して、うまくいっても学びは生まれません。自分の考えがどう結果に出るかを観察させ、生徒間で結果の共有も行って学びにつなげたい」と鈴木教諭。

     また、みそについての調べ学習も実施。テーマはみそに関することなら自由で、栄養成分や伝統料理、戦国武将などの歴史エピソード、みその種類の全国分布など十人十色。中には、今も自宅でみそをつくっている祖母から話を聞く生徒もいるなど、さまざまな角度からこの伝統食材に対する理解を深めたという。

    楽しみながら仕込みに熱中

    • 直径10センチほどの「みそ玉」をつくって勢いよく樽にたたき入れる
      直径10センチほどの「みそ玉」をつくって勢いよく樽にたたき入れる

     仕込みに当たっては、前日から鈴木教諭が家庭科室で準備を行った。夕方から大豆を1晩水につけて吸水させ、早朝5時から正午頃までじっくり煮込んだという。2人組で5キロずつ、約30人分の大豆なので、準備もなかなかの手間だ。普段から授業のサポートにあたっている秀明大学3、4年のインターンたちも頼りだ。

     仕込むみそは、米麹を使った「十割みそ」をはじめ、麦みそ、玄米みそ、それから黒大豆を使った米みその4種類。それぞれ塩の分量などに微妙な違いがあるという。「先生用」と合わせて16(たる)分の原料と器具をテーブルに並べ終えたところで生徒たちが入室。ゆでた大豆独特のにおいに声が上がる。

     入念な手洗いや作業上の注意事項の後、いよいよ仕込みに入った。最初は、大型のポリエチレン袋に入った大量の大豆をつぶしてペースト状にする作業だ。かなり力が必要なので、袋を床におろして上履きを脱いだ足で踏んでつぶすのも可。テーブルに腰をかけ、全身の体重を腕にかけてつぶしにかかる生徒もいる。

     ペーストが出来上がったところで麹を配布。その際、鈴木教諭が「ここで問題。麹って何?」と質問を投げかける。「この麹は、摂氏30度を保った環境下で3日間育てたもの」と、少しだけ理科の授業に戻った後、用意された大きなタライに麹菌をあける。「お酒のにおいだ」と鋭く見抜く生徒も。麹をほぐして塩を混ぜた後、つぶした大豆を加え、ゴム手袋をした手で混ぜ始める。どれだけ均一に混ぜられるかが出来を左右するため、鈴木教諭は各テーブルを回り、適宜アドバイス。粘土細工のように高く積み上げたり、ピラミッド形をつくってたたきつぶしたりするなど、楽しみながら作業する生徒も。こうしたことには夢中になる年頃だ。ワイワイしゃべりながらも、みな手は休めない。

     よく混ぜ込んだら、香りを良くする酵母菌入りの「種水」を加えてさらに混ぜ、その後、直径10センチほどの「みそ玉」をつくって勢いよく樽にたたき入れる。中の空気を抜くための作業だ。全部入れたら雑菌の繁殖を防ぐために表面を平らにし、上に塩を振ってふたをして、作業は終了。出来上がりは9月末の予定だ。

    手や体を動かして学べるもの

    • ラベルを貼って仕込み作業は完了
      ラベルを貼って仕込み作業は完了

     今回の授業に立ち会い、ビデオ記録などを行っていた富谷利光校長にも話を聞いた。「こうして手を動かしながら、においや感触など五感を働かせながら学ぶのは、座学だけでは難しい。みな良い顔をしています。実体験の大切さを改めて感じますね」。今後、中1生は「日本を知る」というテーマのもと、伝統文化の体験学習などへ進んでいくが、「そうした体験への興味にもつながっていくはずです」。

     みその完成と同じ頃、栽培中の大豆も収穫期を迎える。収穫した大豆は次の学年のみそづくりに使うのかとの質問に、鈴木教諭は「それもいいですが、同じ発酵食品ということで納豆でしょうか。豆腐もつくってみたいですね」と、考えをのぞかせた。

    (文:上田大朗 写真:中学受験サポート担当)

    2016年08月09日 05時50分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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