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    関心突き詰めた研究発表…秀明八千代

     秀明八千代中学校(千葉県八千代市)で昨年10月15、16日、文化発表会「光風祭」が開催され、学校関係者だけでなく地域住民も多数来場してにぎわった。テーマは「Jumping to our dreams~夢をつかめ~」。部活動や学年、クラス単位の発表だけでなく、生徒が自分の関心で課題を突き詰めていった個人発表も多く、一人一人の資質を伸ばすことを重んじる同校の教育方針がにじみ出ていた。

    発表の場で深まる地域との交流

    • 「みそを使った全国の料理」を観覧者に説明する生徒
      「みそを使った全国の料理」を観覧者に説明する生徒

     「光風祭は、日頃の学習の成果を広くご覧いただき評価を受ける場です」。富谷利光校長は、「光風祭」の特色として、学校と直接関係のない地域住民の参観が多いという点を挙げた。昨年の参観者約1200人のうち、一般参観者の数は約300人にのぼったという。

     秀明八千代は地域との交流を重視している。生徒の通学駅でもある京成線勝田台駅地下コンコースの市民ギャラリーでプロジェクト学習の成果発表を行うなど、地域住民も関心をもって生徒の活動を見守っているようだ。

     期間中は、クラス企画や各部活の発表のほか、弁論大会や英語スピーチコンテストなど多彩な発表が行われる。特に中1、中2の学習展示では、生徒が交代で展示室に常駐し、参観者に対して展示内容を説明する。生徒たちがコミュニケーション力を磨く格好の場ともなっているのだ。「さまざまな質問にその場で対処する必要があり、ステージでのプレゼンテーションとはまた違った実践的な訓練になります」と富谷校長は語った。

    生徒の成長が見える学年展示

    • ノートにまとめられたイギリス研修旅行の思い出
      ノートにまとめられたイギリス研修旅行の思い出

     中1は、学年全体の学習テーマである「和食の科学」について展示を行った。会場には、6月の授業で仕込みを行ったみその完成品が陳列された。その周囲には班別に調べたみそに関するリポートがずらり。数多くの種類のみその現物を展示して色などを比較した班や、みそづくりに使う米(こうじ)を実際に造った班など、踏み込んだ学習の様子が見受けられた。「みそを使った全国の料理」を調べた武田健太郎くんは、みその種類の多さに驚き、「授業でやった以外の方法でもつくってみたい」と関心を深めている様子だった。

     また、個人発表として夏休みの体験学習や自主研究の展示も行われた。職場体験や工芸教室、家の農業の手伝いなど、さまざまな体験が並ぶ。嶋田汎くんは「集中力をつけたい」との思いから大阪旅行の際に写経をした体験をまとめた。生徒たちの敏感な好奇心を感じた。

    • 中3の展示
      中3の展示

     中2の発表展示は、4月に行われたイギリス研修旅行に関するもの。イギリスの風土や文化、料理、名所の紹介の他、イギリスがEU(欧州連合)離脱の是非を問う国民投票を行ったことについて、経緯を調べた報告も。さらに、滞在先の「キングスゲート・カレッジ」と「チョーサー・カレッジ・カンタベリー」の紹介や、生徒の体験リポートが並んだ。案内してくれたプサロス・アリスくんは、「言葉が完全には通じなくてもコミュニケーションができた。他の国にも行ってみたい」と国際交流の喜びを話した。

     中3は自分の思い出の写真を選び、コメントを付けて展示した。写真は、旅行や習い事の発表会などが多かった。中には「何をしたかは忘れたが、楽しかったことは覚えている」というコメントもあり、富谷校長は「成長期の子供が過去を振り返るのは、家族に愛されてきたことを確認し、自己肯定感を育む契機になります」と、発表の意義を説明してくれた。

    多彩なテーマが花開く教科別展示

    • 壁から床まで貼られた社会の展示室
      壁から床まで貼られた社会の展示室

     教科別の展示コーナーでは、1~5年の個人発表がリポート用紙や模造紙にまとめられ、教室内外に掲げられていた。

     数学の展示室に入ると、まず中学生による発表展示があった。確率を論じるモンティホール問題などの有名なトピックの考察をはじめ、数学パズルや算盤(そろばん)の仕組みなど、さまざまな研究が並んだ。オイラー、ピタゴラスなど数学者に着目したリポートもあり、生徒の関心は多様だ。高校生の展示では、「無限等比級数を小学校の算数で解く」「JR路線の運賃体系を表計算ソフトの分析ツールを用いて調べる」などと、踏み込んだテーマも多かった。

     社会は、カラー図版を使った模造紙を壁から床まで貼った見応えのある展示だった。1年では学校のある八千代市をはじめ、地元の街や旅行先などの地理学習、2年は歴史上の人物の研究が多く、3年はEUやオリンピック、啓蒙(けいもう)思想など、公民分野が中心だった。4、5年になると、関心の赴くままに、歩きスマホに真田幸村、震災復興、国境なき医師団など、自由なテーマの研究が壁いっぱいに広がっていた。

     国語では書写の展示があった。中学生では、受賞作を含めた全国硬筆作品展覧会の課題作品を展示した。さらに「オリンピック短歌」のコーナーも設けられ、リオ五輪の感動と東京五輪への期待を詠んだ作品が展示されていた。

    • 「ダンゴムシに与える刺激と反応の研究」の展示
      「ダンゴムシに与える刺激と反応の研究」の展示

     理科の展示室では、好きな鳥や動物を1種類取り上げ、図鑑風にまとめた展示があった。1年の深野優風奈さんによる「ダンゴムシに与える刺激と反応の研究」は、リポート用紙約50枚に及ぶ力作だ。小2からダンゴムシの研究を続けていて、この学校でものびのびと興味を追求し続ける様子がうかがえた。自由研究では4、5年によるものが多く、「人々の健康を守る植物」「人工イクラ」「液体石鹸(せっけん)と石鹸水の違い」など、身近な物事をテーマに深く掘り下げた研究が並んだ。科学的に定説がない白神山地の青池の色について「銅イオンが関わっているのでは」と、仮説を立てて論じた意欲作もあった。

    接客を通じてコミュニケーション力育成も

    • 英語講師が運営する喫茶室「ブリティッシュ・ティールーム」
      英語講師が運営する喫茶室「ブリティッシュ・ティールーム」

     学園祭の楽しみの一つである模擬店は「スポーツセンター・アリーナ(体育館)」に設営され、5年生のクラスが企画運営に携わっていた。また、ネイティブの英語講師が運営する喫茶室「ブリティッシュ・ティールーム」では、数名の生徒が自ら手を挙げて参加し、接客にあたっていた。

     壁には「Tearoom Graduates」と題して、過去に運営に参加した生徒たちが笑顔でピースサインをする写真を展示していた。学習発表の場であるとともに、普段は経験しないコミュニケーションを楽しむ場にもなっているようだ。

     「光風祭」では、学ぶ力とコミュニケーション力の育成という方針が随所にうかがえた。その流れは、同校が2015年から導入した独自カリキュラム「PGTプログラム」によってますます勢いを増している。「P(実践力)」「G(国際力)」「T(伝統力)」の三つの要素を柱とし、たくましく未来を(ひら)く力を育てるという。富谷校長は「学習を通して、未知の体験への意欲が高まっていると感じます。テーマが多様になり、面白い発表も増えてきました。今後が楽しみです」と語った。

    (文:上田大朗 写真:中学受験サポート担当)

    2017年01月10日 17時55分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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