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    PGTプログラムで未来を開け…秀明八千代

     秀明八千代中学校(千葉県八千代市)は、これまでも力を入れてきた体験学習を洗練させ、大学入試改革にも対応した独自のPGT(実践力・国際力・伝統力)プログラムを導入した。2年前からプログラムを推進してきた入試広報担当の鈴木仁宏(まさひろ)教諭に、その狙いを聞いた。体験学習として行われた、「義太夫節鑑賞」に向けたワークショップの様子もリポートする。

    入試改革に先立って体験学習を洗練

    • 理科担当の鈴木仁宏教諭が手掛ける「味噌づくり」体験学習
      理科担当の鈴木仁宏教諭が手掛ける「味噌づくり」体験学習

     同校では、中学の3年間を通して体験学習を実施している。目的は「さまざまな体験を通じて世の中とつながる力を育てる」ことだが、この体験学習を洗練させ、より実践的な教育の柱としたのが同校独自の「PGTプログラム」だ。

     「P」はプラクティカル・スキル(実践力)、「G」はグローバル・スキル(国際力)、「T」はトラディショナル・スキル(伝統力)を意味する。この三つの力を磨くことを通して、生徒の社会貢献への志を育み、未来を開く力を築く狙いがある。

     さらに、「このPGTプログラムは、2020年の大学入試改革に先立ち、21世紀型の学びを目指して学習プログラムを見直すところからスタートし、完成したものです」と、入試広報の鈴木教諭は話す。

     「新しい大学入試の、数学と国語では記述力が問われますが、サンプル問題を見ると、国語の問題なのに社会的な背景があったり、理科や英語の知識が関連していたりする。つまり、各教科を横断的に学ぶ必要が出てくる。PGTプログラムは、この大学入試改革プランが発表される前から同じ方向を目指しており、体験学習を中心に各教科がリンクする学習の実践を始めました。たとえば、味噌(みそ)づくりは理科がリーダーシップを取りますが、家庭科もサポートする。いろんな角度から、味噌を捉えていくわけです」

     味噌づくりは2016年、理科担当でもある鈴木教諭が、中1の前期を対象に指導した体験授業だ。テーマは「日本の食文化の奥深さを知ろう」というもの。原料となる大豆の栽培や、大豆、(こうじ)菌、塩それぞれの分量、温度などの発酵条件、発酵過程の知識は、もちろん理科の範囲。しかし、実際の大豆の吸水や煮込み、つぶし、麹や塩を加え(たる)に仕込む過程などは、家庭科の技術なくしては行えない。

     さらに、味噌の栄養や料理法、種類の全国分布、歴史エピソードなどを調べる学習も加わる。味噌作りという体をとった体験学習を核に、複合的で多角的な学習が成り立っているのだ。

    中1では「日本を知る」

    • 「米作り」では、バケツで水稲、畑で陸稲を作った
      「米作り」では、バケツで水稲、畑で陸稲を作った

     どういう体験学習が行われているか、学年ごとに見てみよう。中1での大きな狙いは、「プラクティカル・スキル(実践力)」と「トラディショナル・スキル(伝統力)」の養成だ。

     中1前期のテーマは「日本を知る」。「味噌づくり」に先立って、2015年には「米作り」が行われた。農協の協力を得て、バケツに種もみを()くところから始めたという。種もみから苗を育てて米を収穫する「実践力」、日本の食文化を再確認する「伝統力」の向上が狙いだ。

     同様に、3年目を迎えた昨年は「出汁(だし)づくり」に励んだ。「手軽に顆粒(かりゅう)出汁が使える時代だからこそ、日本食の伝統を再確認しよう」という考えだ。

     さらに中1後期には、「日本の伝統文化に触れる」をテーマに、2015年は「落語」、2016年は「人形浄瑠璃」を鑑賞した。昨年の秋は「義太夫節」を鑑賞した。もちろん「伝統力」を養成するためだ。

    中2はイギリス研修で「世界を知る」

    • 「イギリス英語研修」の授業
      「イギリス英語研修」の授業

     中2の体験学習は「世界を知る」がテーマ。「グローバル・スキル(国際力)」の養成を主眼として、2週間の「イギリス英語研修」が実施される。生徒たちが楽しみにしている、中学最大のイベントでもある。

     「本校は1981年に開校し、1993年にイギリス英語研修をスタートさせています。ですから、この体験学習には25年の歴史があるのです」と鈴木教諭は説明する。

     1992年には、英ケント州のケント大学敷地内に「チョーサー・カレッジ・カンタベリー」という専用の留学施設を秀明学園が建設し、系列の中学・高校・大学が通年で利用している。

     中学2年生は全員、この施設で1週間生活し、さらに1週間、提携先のイギリス人家庭にホームステイする。日本の生徒を長年受け入れてきた、経験に基づくプログラムによって指導する。

     このほか、土曜日にはロンドンなどへの小旅行があり、放課後や日曜日には各種のスポーツや名所旧跡の見学など様々な行事が用意され、多面的に英国文化に触れるプログラムとなっている。イギリスに身を置き、イギリスの伝統文化に触れ、現地の人々との会話にチャレンジする中で、「国際力」だけでなく「伝統力」「実践力」も育まれる。

    中3はより実践的に「将来を考える」

     中3では「日本の将来と自分の将来を考える」をテーマに、職場や大学研究室を訪れる。

     職場訪問では、生徒たちに「体験したい職場」のアンケートを行い、これまで、銀行や農協を訪れた。研究室訪問では、秀明大の研究室を訪ね、アカデミックな空気に触れることで、大学進学や将来設計への意識を高めた。

     職場や研究室を訪問し、自分の目で確かめることを通して生徒は自分の「実践力」「国際力」「伝統力」を再評価し、将来のライフプランを描く。

     同校は、教科学習においても、生徒たちに常にPGTを意識した学習をさせ、社会に貢献する人間形成を行っている。

    義太夫の節回しに四苦八苦

    • ワークショップで、大夫から「義太夫節」の技術を教わる
      ワークショップで、大夫から「義太夫節」の技術を教わる

     昨年7月12日、義太夫協会から語り手の大夫(たゆう)と三味線奏者を招き、「義太夫節」のワークショップを開催。中1生にとっては、このワークショップは後期の体験学習として同年10月3日に開かれた「義太夫節」鑑賞の準備学習となっていた。

     全校生が集まった体育館の壇上でまず、大夫らは、「発声するときは丹田(たんでん)に力を入れる」「三味線の音色でも、物語を語ることができる」などと義太夫の一般的な技術解説を行った。

    • 全学年から選出した10人の生徒が、大夫に稽古をつけてもらった
      全学年から選出した10人の生徒が、大夫に稽古をつけてもらった

     続いて、全学年から選出した10人の生徒を相手に、大夫が稽古をつける。この10人が、10月の鑑賞会でプロと一緒に舞台に上がった。

     鑑賞会本番で実演された演目は、「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」の「車曳(くるまび)きの段」だ。大夫がまず、お手本として語り、その(ふし)を10人が必死になって繰り返す。しかし、難しくて声が出ない。

     「『時平公(しへいこう)と知って止めたか』という下りで、『知って』の『っ』がなかなかできない」など、生徒たちは初めて耳にする義太夫特有の節回しに四苦八苦していた。

     約3か月、PGTを意識しつつ稽古を重ねた中学生たちは、10月3日の本番で、見事な声を披露。同級生や多くの保護者から喝采を浴びた。

    (文と写真:松下宗生、一部写真:秀明大学学校教師学部附属 秀明八千代中学校提供)

    秀明大学学校教師学部附属 秀明八千代中学校について、詳しく知りたい方はこちら

    2018年01月26日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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