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    生徒の成長を大らかに見守る…日大豊山

     日本大学の正付属校の中で、現在、唯一の男子校である日本大学豊山中学校・高等学校(東京都文京区)。この4月に赴任した松井靖校長は、初のOB校長だという。また、今年2月には新校舎が完成している。二つの「新」で更なる飛躍を目指す同校を取材した。

    男子校だから伸ばせる個性

    • 今年4月に赴任した松井校長
      今年4月に赴任した松井校長

     これまで、日大付属校にのべ5校赴任したという松井校長。その経験に照らし、改めて男子校の良さを感じるという。

     「共学校では、男女で何かと役割分担するのが普通です。たとえば合宿などの食事の後片付け。女子はテーブルを拭いて食器を回収し、男子はテーブルを運ぶという具合です。でも男子校では、男子が何でもやる必要があります。集団行動に必要な意思疎通も、男子同士でうまくやらなければならない。6年間でそうした習慣が根付き、生活力やコミュニケーション力がついていきます」

    • 鉄道部が作った大規模なジオラマ
      鉄道部が作った大規模なジオラマ

     生徒の個性を伸ばす面でも男子校の利点を強調する。「異性の目がないため、やりたいことにのびのび没頭できるんですね。部活動も個性的なものが多く、生物部でヘラクレスオオカブトの交配を行ったり、鉄道部で大規模なジオラマを作ったりするなど、教員も舌を巻くことがあります」

     運動部ではオリンピック選手を輩出している水泳部や、全国大会常連の卓球部などが目覚ましい実績を上げている。そのすべてが教員による指導というのも驚きだ。「教員の自己研鑽(けんさん)や、互いに高め合う気風は以前からのものでした。そうした懸命さが生徒にも伝わるんでしょう。師弟間の信頼の厚さも昔からの特色です」

     実は十数年前にも日大豊山に勤務したという松井校長。久しぶりに見た母校は、「校舎は一新し、教員もほぼ入れ替わったのに、校風が変わっておらず驚きました」と話した。

    日大との連携を生かす「隠れ進学校」

     日大豊山は「隠れ進学校」の側面も持つ。2015年度の現役大学進学率は94.5%。うち日本大学への進学が77%と高い一方、国公立大や難関私大への進学率が17.4%という実績も光る。

     その背景として松井校長は、日大との連携教育を挙げる。中学3年次という早い段階で学部見学を実施し、進路への意識づけを行う。さらに、法学部や経済学部、生産工学部と協定を結んでおり、6限後に各学部へ出向いて大学生と共に授業を受けることができる。ここで履修した必修科目の授業は、日大に入学した場合には単位として認められる利点もある。

     「日大にはあらゆる種類の学部があり、危機管理学部やスポーツ科学部といった新たな学部も生まれています。生徒の進路を幅広くカバーし、望めば上位校にも挑戦できる懐の広さは、大きな特色の一つでしょう」

     また、新校舎完成とともに中学の教育システムを刷新した。企業の生産管理業務などに用いる「PDCAサイクル」の考え方を取り入れ、学力の底上げを図る。

     特徴的な取り組みとしては、中高生向け手帳「NOLTYスコラライト」を活用した学習計画の習慣づけや、大学在学中の卒業生が放課後に生徒の学習サポートを行うチューター制度がある。さらに、朝の授業開始前に授業内容の小テストを行い、自分の学力をこまめに確認する「MAプログラム」もあるなど、さまざまな手法を教育の場に生かしている。

    学びの環境を追求した新校舎

    • 約4万冊の蔵書と約100席の自習室を備えた図書室
      約4万冊の蔵書と約100席の自習室を備えた図書室

     完成した新校舎は地上11階、地下2階建て。生徒が安心してのびのびと学べる環境づくりに注力した。取材では、広報担当の田中正勝教諭の案内により、新校舎の主な空間を見て回った。

     特徴の一つが、随所に設けられたコモンスペースだ。テーブルと椅子が並んだオープンな空間で、生徒同士や教員が語らい、大学生チューターが学習サポートを行う場となる。教員室前の廊下には、長いカウンターテーブルを設け、いつでも先生に質問に行ける学習環境にしている。

     約4万冊の蔵書と約100席の自習室を備えた図書室は、生徒の図書委員会が主体となって運営し、本の買い付けも生徒が行うという。生徒の希望を踏まえて購読中の雑誌も約70種と豊富だ。いかにも中高生らしいマニアックな雑誌の他、「プレジデント」「新建築」など意外なジャンルもある。

     理科実験室は、物理・生物・化学・中学理科の4室を設置した。それぞれ最新の実験機器を備えている。上層階の窓からは、護国寺の広大な緑が見える。田中教諭は「この景色も、大らかな心を育てる環境の一つです」と誇らしげだ。

    災害への備えも万全

    • 名門水泳部の練習を支えるプール
      名門水泳部の練習を支えるプール

     新校舎の最上階には、名門水泳部の練習を支える10コースの25メートルプールがある。学校の部活や授業のほか、指導員講習会や、水泳教室などにも貸し出している。プールの水は温水で、災害時などの生活用水としても使用できるよう、高性能フィルターで浄化し、塩素濃度を抑えてあるという。

     地下2階のアリーナ(体育館)は、3層分の吹き抜けによる大空間だ。24時間空調がきいており、快適な環境を求めて練習試合に来る学校も多いようだ。

     都心にありながら、高層にすることにより広さや設備面のゆとりを確保している。また、プールの用水利用でも分かるように、災害への備えも特色だ。家庭科室には自家発電による非常用電源を用意し、非常食も約1週間分備蓄してある。「遠方の生徒も安心して通えるよう、出来る限りの対策を行っています」と田中教諭は話す。

     政財界や芸能界、スポーツ界などでさまざまな卒業生が活躍する日大豊山。「男子校のためか、入学時はやや奥手な子が多い。でも在学中や卒業後に驚くほどの急成長を見せる子もいます。そのための力の蓄積をさまざまな方法でサポートしたい」と松井校長は話す。生徒の成長を大らかに見守る姿勢を感じた。

    (文:上田大朗 一部写真提供:日本大学豊山中学校・高等学校)

    2016年11月07日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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