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    キャリア教育の入り口、日大学部見学会…日大豊山

     日本大学豊山中学校・高等学校(東京都文京区)では、中3の生徒全員を対象に、系列大学である日本大学の学部見学会を行っている。そのねらいを広報担当教諭に聞くとともに、参加した生徒にも取材した。

    中3でひと足早い大学体験

    • 学部見学会について語る、広報主任の田中正勝教諭
      学部見学会について語る、広報主任の田中正勝教諭

     大学のオープンキャンパスへの参加は高校生からの場合が多いが、日大豊山では中学3年時に、校外学習の一環として日本大学の学部見学会を実施している。すでに20年近く続いているプログラムだ。

     今年は法学部・経済学部(東京都千代田区)、文理学部(同世田谷区)、芸術学部(同練馬区)、スポーツ科学部・危機管理学部(同世田谷区)、薬学部・理工学部(千葉県船橋市)、松戸歯学部(同松戸市)、生物資源科学部(神奈川県藤沢市)の10学部が対象となった。

     広報主任の田中正勝教諭は、学部見学会を同校の「キャリア教育の入り口」と位置づけ、こう説明する

     「多くの生徒が高校進学の前後から進路について考え始めますが、それだと、すぐに受験態勢に入り、慌ただしくなってしまいます。なので、中3の早い時期に大学を体験することで、余裕をもって将来を考えられるよう、見学会を実施しています」

     「余裕を持って」という言葉には、大学入学後への問題意識がある。大学入学者の1割が中途退学しているというデータがある。田中教諭は、「中途退学となると将来への影響も大きい。じっくり進路を見極めることで、学部のミスセレクトを防ぎたい」と話す。

     「見学会が進路選択のきっかけになった」という卒業生の声は多いという。「見学会で志望学部のレベルを知って鼻をへし折られたという子もいますが、中3なら十分追いつける。その意味でも、適切な時期と考えています」(田中教諭)

    自分なりのスタートのきっかけに

    • 法学部見学の様子
      法学部見学の様子

     見学会の流れは、各学部とも朝10時に現地集合。教授によるオリエンテーションの後に、主な施設を見学して回る。その後、学食で昼食をとって解散となる。

     参加した中3生に話を聞いた。

     熊谷直樹くんは、父親が卒業したという文理学部を見学した。「図書館が広く、本が多いことに驚きました。2階の自学自習スペースに人が多く、勉強する環境が整っている」と感心する。「学食のラーメンがおいしかった」と、キャンパスライフの一端も感じ取った様子だ。見学後の意識の変化を聞くと、「進路はまだ分かりませんが、いろんな機会に自分が文・理どちらに向いているのか考えるようになりました」と答えてくれた。

     宮本健太朗くんが法学部・経済学部を見学先に選んだ理由は「家が近い」ことに加え、自営業の父親が「経済学部なら就職に有利」と薦めてくれたからだという。

     宮本くんの印象に残ったのも、設備が整っている点。「学内に個人専用の自習スペースがあるのに驚いた。誰かのフィギュアが置いてあったので分かったのですが……」と笑顔で語った。

     警察官になる夢はあるが、「まだ明確には考えていない」という宮本くんは、こうも語った。「どこに進むにしても、この学部で頑張れば大丈夫そうだと感じました。父が言うことが少し分かった気がします」

     2人とも、見学会をきっかけに自分なりの将来像を模索し始めたようだ。

    受験態勢に入ってからの動機づけにも

    • 理工学部では、日本屈指の施設や装備を見学
      理工学部では、日本屈指の施設や装備を見学

     2年前に学部見学会を経験した高2生にも話を聞いた。

     宮内颯人くんは理工学部を見学した。当時は文系か理系かを意識していなかったが、数学が得意だったため、「理系のいろんな業界に日大の卒業生がいる」と聞いて見学に臨んだ。有名建築家を輩出している建築学科や、興味のあった応用情報工学科が印象に残ったという。

     見学後は積極的に進路のことを調べ始め、最終的に日大理工学部の電子工学科か応用情報工学科に志望を固めた。「もともとコンピューターに興味があったし、業界に将来性を感じたので。今は物理の成績を伸ばすために、必死に頑張っています」

     坂内俊太くんは、父親が広告会社で仕事をしており、幼い頃から広告や映像の分野に興味があったという。「豊山に入った時から意識していた」という芸術学部の放送学科と映画学科を中心に見学した。

     大教室がなく、少人数のグループで課題に取り組んでいる様子が、「大学のイメージとは違う」という第一印象に。「本物の映像制作設備や、実習授業で大学生の人たちが“キュー出し”する様子を見て、気持ちが高まった」そうだ。

     その後、これらの学科に進むための具体的な方法を調べ、「放送学科を出て番組づくりに携わりたい」と将来のビジョンも固めた。

     坂内くんは早くから進路を意識してきたが、「本気で考える心構えができたので、中3で見学できて良かった」という。競争倍率が高い学科のため、「ちゃんとやらないと危なそうなので、勉強に身を入れています」と笑顔を見せた。

    良き社会人への助走

    • 見学会について在校生に話を聞く
      見学会について在校生に話を聞く

     日本大学というリアルな舞台を目にした日大豊山の中3生は、高校に進むと本格的なキャリア教育プログラムに入る。

     高1では、各業界の社員を招いて仕事の話を聞く「キャリア教育講義」が3回にわたって行われる。生徒は興味をもった企業の人の周りに集まり、直接質問もできる。高2では「学部説明会」。日大各学部の教授が来校、3学部までローテーションで話を聞ける。大学についての知識や意識をさらに深める。

     そして高3の「社会人講座」。年に1人、さまざまな業界で活躍する人物を招く講演会だ。具体的な仕事の話より、働くうえでの心構えや社会貢献など、理念や人生哲学に関する話が主になるという。

     プログラムには、むしろ大学進学後の将来を強く意識させるねらいが見える。田中教諭は、こう語る。

     「さまざまな分野の第一線で、たくさんの日大卒業生が活躍しています。彼らのような良き社会人になるためには、しっかりした目的意識を持って大学に進むことが必要です。そのスタートを良い形で切るための、中3の学部見学です」

     大学はゴールではなく、社会に出た後が肝心なのは事実だろう。そのための実践的なキャリア教育を、日大系列校という環境を生かして行っている。そんな自負を、田中教諭の言葉の端々に感じた。

     (文:上田大朗 写真:中学受験サポート/一部写真:日本大学豊山中学校・高等学校提供)

    2017年11月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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