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    好奇心が爆発する男たちの文化部…城北埼玉

     城北埼玉中学・高等学校(埼玉県川越市)では、男子校ならではの熱い文化部活動が繰り広げられている。幅広い好奇心と行動力にものを言わせて、「ものづくり」や調査発表に励む姿はたくましい。今年、全国大会グランプリに輝いた模型部と、巨大な鉄道ジオラマを製作している鉄道研究部を紹介する。

    国際ジオラマ大会でグランプリ

    • グランプリ、一般投票1位賞/長谷川孝輔君の作品「可動式 ウルトラ警備隊秘密基地」
      グランプリ、一般投票1位賞/長谷川孝輔君の作品「可動式 ウルトラ警備隊秘密基地」

     模型部は今年3月、静岡県浜松市で開催された「ハイスクール国際ジオラマグランプリ」(主催:ハイスクール国際ジオラマグランプリ実行委員会、後援:浜松市ほか)に参加し、出品1作品が見事、頂点の「グランプリ」と「一般投票1位賞」に輝き、もう1作品が審査員賞の「タミヤ賞」を獲得した。同大会への参加2回目での快挙だ。

     「グランプリ」と「一般投票1位賞」に輝いたのは、副部長の長谷川孝輔君の作品「可動式 ウルトラ警備隊秘密基地」だ。お菓子のおまけ玩具「食玩」を使って、「ウルトラセブン」の地球防衛基地を再現した。大会規則の幅・奥行き・高さ各50センチ以内という制限の中、地形の断面に地下格納庫の様子などを表現した力作だ。作品の裏側には、格納エレベーターや照明を作動させる配線がぎっしり並び、苦心の跡が見える。

     「タミヤ賞」を獲得した「第2戦線への急行」は、部長の森下陽生君の作品。テーマは、第2次世界大戦末期のノルマンディー上陸作戦で戦線に向かうドイツ軍だ。森下君は得意な世界史の知識を駆使して、当時の民家の様子などをリアルに再現した。川の質感を出すために、緑色と透明の2層にレジン(合成樹脂)を流し込むなど工夫も光っていた。

    「ものづくりなら何でもOK」

    • タミヤ賞/森下陽生君の作品「第2戦線への急行」
      タミヤ賞/森下陽生君の作品「第2戦線への急行」

     模型部は、同好会としてスタート。メンバーも初めは数人しかおらず、自宅でプラモデルを作って文化祭に展示するのが主な活動だった。しかし、6年前の部長が「もっときちんとやりたい」と顧問に要望し、部活動として再出発。技術科室で週3日、ものづくりに励む活動が続いている。

     部活動になった当初、顧問を務める技術科の神門清貴教諭は、自身がプラモデルに詳しくなかったこともあり、活動内容を「ものづくりなら何でもOK」とした。活動の間口が広がったためか、部員が徐々に増え、今や30人ほどの大所帯となっている。

     ひたすら切り絵に取り組む部員もいれば、つまようじでミニ滑り台を作る部員もいる。ある部員が作った木製の「輪ゴム銃」は、銃の形をリアルに再現していたが、もちろん輪ゴムを飛ばせるだけ。その完成度の高さと機能のギャップが面白い。プラモデル作りでも、自作のジオラマと組み合わせたり、塗装を工夫したりしてオリジナリティーの発揮に努めている。これらの作品から年に5回、「部内品評会」で優秀作を選出しているそうだ。

    • 模型部顧問を務める技術科の神門清貴教諭
      模型部顧問を務める技術科の神門清貴教諭

     新しい手法の導入にも積極的だ。大学の建築学科に進んだOBからスチレンボードによる建築模型の製作を教わったり、他校と交流して紙製のジオラマやレジンの扱いを学んだり、講習会も随時行ったり、という力の入れようだ。こうした活動の厚みが、ハイスクール国際ジオラマグランプリでの受賞につながったのだろう。

     もちろん校外の大会だけでなく、校内でも模型部の活動は光っている。体育祭の「部活対抗リレー」では毎年、段ボール製の大型模型をバトン代わりに持って走る。水泳部の選手がこれを水鉄砲で攻撃するのが恒例で、名物の余興になっているそうだ。文化祭でも毎年、3~4メートルほどの巨大な模型を製作、展示しており、生徒たちの関心を集めている。

    巨大鉄道ジオラマに目を見張る

    • 鉄道研究部は、文化祭で展示する鉄道ジオラマを製作
      鉄道研究部は、文化祭で展示する鉄道ジオラマを製作

     続いて、鉄道研究部の活動を紹介しよう。部員数は約40人で、模型部を上回る。活動の軸は、9月の文化祭で展示する鉄道ジオラマの製作だ。60×90センチほどの木製パネル数十枚をつなぎ合わせて、この上に風景やレールを精密に再現する。教室ほぼいっぱいの広さに全長十数メートルに及ぶレールを敷設し、6、7両編成のNゲージ模型を走らせる。その光景には、鉄道ファンだけでなく、子ども連れの来場者らも目を見張るそうだ。

     活動時間はやはり週3日に限られるので、これだけの規模のジオラマを作り上げるのは並大抵のことではない。集中力と根気はもちろんだが、集団製作だけに協調性が欠かせない。その点、男子生徒の集う製作現場の雰囲気は、あくまでフレンドリー。チームワークは満点のようだ。

     同部には、もう一つの大きな活動目標がある。文化祭で配布する部誌「ムーンライト」の作成だ。200ページを超える大部で、5泊6日の夏合宿で行う調査研究を基にした特集と、部員の自由投稿で構成される。

     昨年発行号では、四国の鉄道各線の詳細な調査研究を特集し、近郊の鉄道や旅行で乗った路線についての個人記事が厚みを加えていた。特集の原稿は、夏合宿の終了後、数日で出稿というタイトな日程で作成しなければならず、ジオラマ製作の追い込みと相まって大忙しとなる。

     「夏休みなのに休んでいる暇がない」と部員が苦笑する忙しさだが、部長の久保義寛君は「みんなで大きなものを造り上げる達成感がいい。文化祭でいろんな人が見に来てくれるのもうれしい」と張り切って、部員たちをリードしている。

    学業との両立をサポートする

    • 風景やレールを精密に再現する
      風景やレールを精密に再現する

     ここまで紹介してきて気になるのは、学業との両立だが、模型部部長の森下君に聞くと「問題ありません。学校で部活、家では勉強に集中というパターンができています」との答えが返ってきた。

     模型部にとって、学業との両立は厳格なルールだ。神門教諭は入部を希望する生徒に、「勉強しない生徒はいらない」とはっきり言い渡す。だから、部員たちは勉強も真剣だ。中には、学年10位以内の好成績者もいるという。

     また、同校の規則で、部活動は午後4時から5時50分までと決まっているので、部員たちの集中力は高く、部活動の時間が終われば頭の切り替えも早い。必要に応じて7時50分まで使える学校の自習室で勉強することもでき、教員が待機して生徒の質問や相談に応じている。部活との両立をサポートする体制ができているのだ。

     神門教諭がもう一つ徹底しているのは、文化部というと想像しがちな「だらけたイメージ」を断ち切ること。普段の活動でも、礼儀やあいさつ、整理整頓、上級生の指示をしっかり聞くことなどを徹底し、規律や運営の点で体育会系の部に引けを取らないようにしているという。

    生徒の関心と行動力を評価

     城北埼玉の文化系クラブの特徴は、部への昇格を目指す「同好会」が多いということだ。模型部以外にも、飛行機模型に特化した「航空研究同好会」があり、映画関連では製作を行う「映画研究同好会」と鑑賞専門の「シネマニア同好会」がある。他にも「競技かるた同好会」や「格闘技観戦同好会」、複雑な数式に挑む「数学研究同好会」など、ジャンルは多岐にわたる。

     こうした状況について、模型部と鉄道研究部の副顧問を務める入試広報部部長の奥貴行教諭は、「生徒の関心の幅広さと行動力の表れ」と評価している。

     同好会をつくるだけでも、仲間を集めて顧問を引き受ける教員を探し、活動趣旨などを記した「趣意書」を学校に提出しなければならない。さらに部に昇格して生徒会の予算を獲得するには、大会などで活動実績を重ねていくことが必要だ。生き生きした好奇心とエネルギーなしに、こうした活動を続けることはできないからだ。

     模型部も鉄道研究部も、生徒が自主的につくる同好会から始まり、周囲をうならせる実力派の部に成長した。その歴史は、城北埼玉で学ぶ生徒たちの成長の軌跡だ。

     (文:上田大朗 写真:中学受験サポート)

    2017年09月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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