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    伝統の仮装行列で絆を育む大運動会…国府台女子

     小中高12年一貫女子教育の国府台女子学院(千葉県市川市)で6月3日、中学部高等部の大運動会が開催された。晴れ渡った空のもと、中高6学年の生徒たちは、学院伝統のユニークな仮装行列や、応援団のパフォーマンスを繰り広げた。演技や競技に熱い思いをぶつける生徒たちの姿に、声援を送る保護者や見学の受験生たちも思いを重ねていた。

    終戦直後から続く伝統の仮装行列とクラス旗

    • クラス旗は仮装行列と同じテーマで作られる
      クラス旗は仮装行列と同じテーマで作られる

     国府台女子学院の名物といえば全クラス対抗の「仮装行列」だ。歴史は古く、戦後すぐの時期から続いているという。仮装行列の本番は午後だが、大運動会の開会と同時に早くも見せ場がある。仮装行列のテーマを表現したクラス旗を掲げて各クラスの生徒たちがグラウンドに入場するのだ。

     この様子をじっと見守っていたのは今年卒業したOGの徳田さんと仲村さん。「クラス旗も仮装と同様に賞の対象になるんです。仮装行列にはみんな力が入ります。エネルギーのかけ方が違うんです。クラス替えしたばかりの時期にやるので、最初はまとまらなくて、もめることもあります。それでも最後にはクラスがまとまって一つのテーマの仮装とクラス旗を完成させるんです」と熱く語った。この旗は学園祭でも展示され、その後もクラスで学年末まで飾られるという。いわばクラスの絆の象徴なのだ。

     色とりどりにデザインされた旗とともに、6年(高校3年)1組から順に入場していくのを見ながら、観客は各クラスが本番で見せる仮装はどんなものかと、期待と想像をかき立てられるのだ。

    生徒のアイデアで競技がさらに楽しく

    • 平田学院長は「招待仮装」でカーネル・サンダースに変身
      平田学院長は「招待仮装」でカーネル・サンダースに変身

     クラス旗とともに入場を終えた後は、競技開始だ。大玉送りから始まり、早くもあちこちから歓声が上がる。競技は20競技、中学部と高等部のそれぞれ1年が白組、2年が青組、3年が赤組と色別対抗で競技の点数を競う。学年が上の赤組が有利なように見えるが、年齢がハンデにならないような仕掛けが凝らされている。

     たとえば、障害物競走の「お願い勝たせて!」では、最後の難関が平田史郎学院長をはじめ3人の先生とのジャンケンがあり、勝たなければゴールできないルールだ。これなら学年の上下や経験値が勝敗の決め手にはならない。競技が始まると、歓声とともに次々と生徒たちがゴールをしていく中で、何度先生とジャンケンをしても勝てないケースもある。「学院長先生、ジャンケン強いです」と放送係のアナウンスが流れ、会場はどっと沸いた。

     他にも生徒たちのアイデアが競技に満載されている。去年から取り入れた競技「恋DANCE」は玉入れを楽しくアレンジしたもので、星野源さんの曲「恋」に合わせて踊りながら、曲が止まった間だけ玉入れする競技だ。ダンスの評価がボーナスになり、1位は10個、2位は5個の玉が得点にプラスされる。1回戦の中学生対決では1位が青(2年)、2位が白(1年)、3位が赤(3年)。2回戦の高校生対決では1位が赤(3年)、2位が白(1年)、3位が青(2年)という結果に。頑張り次第で下の学年でも上の学年に勝てる。

     先生方を仮装させる「招待仮装」では、各チームがリレー形式で1人1アイテムずつ先生方を仮装させていく競技。できあがった先生の仮装に生徒たちは大歓声。生徒と先生の距離の近さを感じる競技だ。

    先輩から後輩へ引き継がれる応援団

    • 応援交換はエール交換から各応援団のパフォーマンスへと続く
      応援交換はエール交換から各応援団のパフォーマンスへと続く

     午前の部の山場となるのが応援団による応援交換だ。女子校らしい華やかな衣装で、白・青・赤の順にエール交換、パフォーマンスが披露される。パフォーマンスが始まると、観客席は静まり返り、みんなその華やかさ、美しさに見とれた。「かわいい!」「すごい!」と感嘆の声があがった。

     赤組の応援テーマ曲は大塚愛さんの「さくらんぼ」。団長の森川さんは「みんなが一つになるのをイメージし、二つで一房になっているサクランボをテーマに踊りました。準備には去年の10月から長い時間をかけました。総勢100人のメンバーをまとめるのは大変でした。でも今、やり切ったというすっきりした気持ちでいっぱいです」と頬を紅潮させながら話した。

     受験勉強に本腰を入れるべき時期だったが、OGからの指名で応援団長を引き受けた。心配する両親とぶつかったり、思うように進まない練習に焦りを感じたりもしたが、最終的に協力してくれた両親や一緒に頑張った仲間たちに感謝しているという。OGにも「赤組かわいかったよ」と褒められた。応援団長の重責を果たした経験は、生涯の財産になるだろう。

     平田学院長もこう語る。「本校の運動会はご覧のとおり、たくさんの卒業生が駆けつけてくれます。友達とのつながりも、先輩後輩のつながりも強いのは女子校ならでは、ではないでしょうか」。先ほどのOGもこう話す。「私は体育委員も応援団もやっていたので、後輩の姿を見届けたくて。特別な思い入れがあるんです。国府台は茶道や華道なども盛んなのでおしとやかに思われるかもしれませんが、この運動会には、いつもはセーブしているエネルギーを目いっぱいぶつけるんです」

    クラスの絆を作る仮装行列

    • 仮装行列で最優秀賞を獲得した「ねぶった祭」
      仮装行列で最優秀賞を獲得した「ねぶった祭」

     そして午後の部になり、大運動会の名物「仮装行列」が始まった。中学部1年1組から順々に、それぞれのテーマに合わせた仮装でグラウンドを練り歩く。ブルゾンちえみさんや平野ノラさんらに(ふん)した“芸人”が一堂に会した「芸人大集合」、解体新書をテーマに臓器の大型模型が行列する「解体絵美子」、チャップリンやオードリー・ヘプバーンらの映画の世界を表現した「ザ・シネマ」など、独創的なテーマの仮装の数々が、観客の笑いや歓声を呼んだ。中には段ボール紙を何枚も貼り付けて作った巨大な背景や、高さ数メートルもある模型も飛び出し、迫力も十分だ。

     体育委員長の6年坂入さんは、「中1から取り組んできた仮装行列も6年生で最後なので、みんな力が入っています。6年に進級するときはクラス替えがないので、5年のうちから準備を始めました。6年生は受験勉強もあるけれど、全力をかけようとクラスで団結して毎日遅くまで頑張ってきました」と話した。クラスが一つになり、絆が深まっていく、仮装行列はその成果なのだ。

    熱い思いの競技とこぼれる涙に感動

    • 騎馬戦「天下分け目の国府台」の最後は応援団長による大将戦
      騎馬戦「天下分け目の国府台」の最後は応援団長による大将戦

     今年初めて採用された種目がある。騎馬戦「天下分け目の国府台」だ。「新しい種目をやりたいと体育委員みんなでアイデアを出し、先生方とも話し合って準備を進めてきました。思い出に残るような競技ができてうれしい」と坂入さん。一緒に準備をしてきた5年の体育委員長・千葉さんも「来年は最上級生となるので、先輩たちのように頑張りたい」と話す。7回戦にわたる騎馬戦の最後は、応援団長の森川さんらが武将を演じる大将戦。勇ましい大将の口上とともに、大運動会は最高潮の盛り上がりを見せた。

     熱気あふれる大運動会も全競技プログラムを終え、閉会式に。優勝は赤組と決まった。仮装行列の最優秀賞はレゴブロックに扮した3年3組の「Let’s LEGO」と、平田学院長をねぶた祭りの人形に見立てた6年3組の「ねぶった祭」が受賞した。表彰式で涙を流す生徒たちの姿に、観客席は感動に包まれた。

     平田学院長は「クラスのみんなで一つのものを作り上げるには、ときには軋轢(あつれき)もあるでしょう。また、よりよいものを作ろうと考えれば、男子はいませんから自分たちでノコギリやカナヅチなどを使ってやり遂げなくてはなりません。こうした経験が卒業してからも続く友情や、男女共同参画社会の現代を生き抜く下地になっていくのではないかと感じています」と語った。

     大運動会に駆けつけた多くの卒業生、そして上級生の活躍を見守る下級生たち。今年もまた大運動会の伝統が後輩たちへと受け継がれていく。

    (文と写真:小山美香)

    2017年07月11日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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