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    教室に新風を吹き込んだ授業改革…昭和学院

     昭和学院中学校・高等学校(千葉県市川市)は、2016年春から「チーム昭和」を合言葉に授業改革をスタートさせた。同校の伝統である全人教育の理念に加え、変化の時代にふさわしくアクティブラーニングを積極的に取り入れている。英語の授業に焦点を当てて、教室に新風を吹き込んだ授業内容を紹介する。

    英語の授業はオールイングリッシュ

    • 学び方のコツをまとめた手作りポスターを紹介する西村由起枝教諭
      学び方のコツをまとめた手作りポスターを紹介する西村由起枝教諭

     同校は1940年の創設以来「明敏謙譲」の建学理念に基づき、「明朗にして健康、自主性に富み、謙虚で 個性豊かな人間の育成」を目指してきた。その全人教育の理念に加え、2016年からグローバル時代に積極対応する授業改革へ乗り出した。改革の背骨は授業方法の刷新だ。どの教科でもアクティブラーニングを導入し、特に英語では、授業を「オールイングリッシュ」に切り替える大胆な取り組みが続いている。

     同校は2016年4月から、中学の英語の授業を「オールイングリッシュ」に切り替えた。従来のように授業内容を教師が教えるのではなく、生徒主体で生徒が活動するものへと、授業手法そのものを刷新するのが狙いだ。具体的には、生徒たちはペアやグループに分かれて活動したり、自分が発表するテーマについて調べ、まとめ、互いに英語でプレゼンテーションしたりし合う。英語で行うアクティブラーニングといえる。

    中1では、写真や物を説明する「show&tell」の手法を取り入れ、大切な物や身近な人をテーマに発表した。中2では、自分の行きたい国や日本と他の国との比較がテーマ。中3では、教科書で扱ったキング牧師の話題から、差別をテーマとして取り上げるなど、抽象度の高いテーマを素材とした発表にも挑戦した。

     このプレゼンテーションでは電子黒板が活躍した。中学の特進クラスではiPadを先行して導入しており、調べ学習や発表などに効果を上げたという。2017年4月からは全中学生にiPadの配布を実施した。2010年に完成した校舎には、パソコンを備えた英語教室や電子黒板などICT教育に対応する新しい機器を活用する環境がすでに整えられており、今後ますます多彩なICTの活用が期待される。

    学びの姿勢が主体的に変わった

     英語教育でこのほか注目されるのは、英語の本の多読だ。学習レベルごとにテキストを多数用意し、生徒たちにそれぞれ好きな本を選ばせて読ませる。英語の読書を楽しむことが眼目で、辞書は引かず、分からない単語は推測して読んでいく。選んだ本が難しければ本を替え、どんどん読んでいくよう指導している。また、生徒たちの励みになるよう、読んだ本の単語数も記録させる。この指導で英語の読書が好きになり、1年で16万語まで読み進めた生徒もいるという。

    • 「生徒たちが明るく主体的になった」と語るマイケル・コワルスキー教諭
      「生徒たちが明るく主体的になった」と語るマイケル・コワルスキー教諭

     こうした英語の授業改革は、どんな結果をもたらしたか。同校での勤務8年目になるネイティブのマイケル・コワルスキー教諭は「多読やプレゼンテーションで英語のレベルが上がってきています。チャンスがあれば英語を使いたいと思うように変わり、どんどん英語で声をかけてきます。解き放たれたようです」と、主体的に学習に取り組むようになった生徒の姿に目をみはる。

     また、中学英語科の西村由起枝教諭は「クラスづくりに大きな効果がありました。ペア活動でもグループ活動でも、普段から仲の良い子、あまり関わりのない子、リーダーシップのある子、静かな子と、いろいろなタイプの子と一緒に活動することでコミュニケーション能力が磨かれています」と話す。アクティブラーニングは生徒たち相互の理解を深める効果もあるようだ。

    生徒たちも歓迎する新しい英語授業

    • 生徒たちに人気の多読テキストを紹介する英語教諭の落合太一教諭
      生徒たちに人気の多読テキストを紹介する英語教諭の落合太一教諭

     生徒たち自身は、授業改革をどう感じているのだろうか。改革の1期生となる新2年生に尋ねると、「オールイングリッシュの授業で、日々語彙(ごい)力が増えていることを実感でき、達成感があります」「外国人に道を尋ねられたが、簡単な応答しかできなかったので悔しかった。今度話しかけられたら学んでいることを出し切りたいと思っています」「将来は海外で英語を使って活躍するのが夢です。英検3級合格を目指しています」などの声が返ってきた。生徒たちも大いに歓迎しているといっていいだろう。

     ちなみに、同校は英検の受験を推奨しており、希望者は学校で年2回、受験できる。中学3年時で英検3級、特進コースは準2級の合格が目標だ。中には中学生のうちに2級に合格する生徒もいるという。また、中高ともに全員、英語運用能力を測るGTEC for STUDENTSを年に2回受験し、中学から高校の6年間の流れで目標を意識して学習を進めている。

    読書でもアクティブラーニング

    • 書名と学んだ単語数を記録。多読を楽しんでいる様子が伝わってくる
      書名と学んだ単語数を記録。多読を楽しんでいる様子が伝わってくる

     アクティブラーニングの考え方は、英語などの教科の枠を超えた教育方針でもある。例えば、同校では中学の3年間、毎朝20分間の読書時間を設けている。思考力、想像力、語彙力など、学びの基礎を積み上げるのが本来の目標だが、この読書をもとに「ビブリオバトル」を実施している。生徒それぞれが面白いと思った本の内容をプレゼンテーションする書評合戦だ。これも、アクティブラーニングの一つで、生徒たちにとっては知的好奇心をそそる楽しみになっているようだ。

    広報部長の園家誠二教諭は「学習習慣をはじめとした生活面の指導、礼儀やマナーなど人間教育・(しつけ)教育は本校の伝統です。そういった根本となるものを守りつつ、これからの時代を生きる子どもたちが必要とする新しい指導方法をどんどん取り入れていくつもりです」と語った。

     授業改革2年目、昭和学院の生徒たちの成長に注目したい。

    (文と写真:水崎真智子 一部写真提供:昭和学院中学校・高等学校)

    2017年05月08日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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