文字サイズ
    中学受験サポートに協賛する会員校の特色や、会員校からのお知らせなどを掲載しています。

    中2生、アイルランドで「英語で落語」…麹町女子

     麹町学園女子中学校高等学校(東京都千代田区)の中学2年生が10月、修学旅行でアイルランドを訪れた。生徒たちはあいにくのハリケーンにも負けず、「英語で落語」を披露したり、アイルランド語を学んだりと、元気に文化交流を繰り広げた。旅行の様子と、指導にあたった先生の話を紹介する。

    中学で初めての海外修学旅行

    • 入試対策部の上田翼教諭
      入試対策部の上田翼教諭

     修学旅行は10月14日から9日間の日程で、中学2年生56人が参加した。同校では、高2のオーストラリア修学旅行や、夏休みのニュージーランド語学研修(中1~高2の希望者)など海外研修プログラムが充実しているが、中学の修学旅行を海外で行うのは今回が初めてだ。

     入試対策部の上田翼教諭によると、同校が進める「グローバル教育」の一環で、近くにあるアイルランド大使館に依頼して快諾を得たという。

     上田教諭は「アイルランドで話される英語は、癖や(なまり)がないので中学生でも聞き取りやすい」と話す。語学研修を兼ねた修学旅行にはぴったりだ。

     同校は2年前の創立110周年の際にも、アン・バリントン大使を招き、記念講演をしてもらっている。その際、大使は、「今は女性も国際舞台で羽ばたく時代」と生徒たちに語りかけたという。今回の修学旅行についても「今年は日本との国交樹立60周年の年です。この記念すべき年にアイルランドを修学旅行の地に選ばれたことをとてもうれしく思います」とお祝いのメッセージを寄せている。

    ハリケーンにも負けず文化交流

    • 「セント・ブリジッズ・カレッジ」で英語を学び、現地生との交流を楽しむ
      「セント・ブリジッズ・カレッジ」で英語を学び、現地生との交流を楽しむ

     一行は成田空港からドバイ経由でアイルランドの首都ダブリンへ入った。そこからバスで2時間ほどかけて目的地の町、キルケニーに着く。人口2万人ほどと小さいながらも、中世の街並みを残す美しい町だ。

     生徒たちはここにホームステイしながら中高一貫の女子校「セント・ブリジッズ・カレッジ」に通い、英語を学び、現地生と交流をした。

     

     登校初日の予定だった16日、アイルランドは数十年ぶりといわれる大型ハリケーンに見舞われた。このため、当日のプログラムは中止され、生徒たちはホームステイ先に待機となった。翌17日には天候も回復し、ダブリン市内での観光やショッピング、アイルランド最古の国立大学トリニティ・カレッジへの訪問を行った。

     18日は、「セント・ブリジッズ・カレッジ」の生徒たちと一緒に数学、科学、アイルランド語の授業を体験してすっかり打ち解け、翌19日、両国がお互いの文化を紹介し、交流を深め合う「アイルランド・ジャパンデー」を迎えた。

    1年がかりで準備した英語劇

    • 英語劇「英語で落語」は、お土産として1年前から準備をしてきた
      英語劇「英語で落語」は、お土産として1年前から準備をしてきた

     この日は、日本側が準備したクイズ大会やゲーム、アイルランドの生徒たちによるアイリッシュダンスや伝統球技「カモギー」の披露など、さまざまな交流行事が目白押しだったが、目玉の一つとなったのは「日本文化紹介」の中で発表された英語劇「英語で落語」だ。

     披露した演目は、酒をおごってもらうため人をほめて喜ばそうとした男が失敗を重ねる「子ほめ」、船頭になった若旦那が逆に船客に助けを求める羽目になる「船徳」、お店で腹痛を起こした奥方が薬になる銅を求め、店の者が、通りかかった武士の禿頭(とくとう)を銅の薬缶(やかん)に見立てる「薬缶なめ」という三つの古典落語。

     古典落語を翻訳してスピーチするだけでは面白さを十分伝えることができないので、生徒たちは、NHK出版の「Enjoy Simple English Readers Rakugo」をテキストとして台本化し、英語劇に仕立て上げた。

    • 英語科の須賀幸恵教諭
      英語科の須賀幸恵教諭

     ナレーター役の生徒が冒頭に、演目の状況を説明する。続いて4人1チームが愉快な登場人物に(ふん)して筋書きを熱演すると、言葉の違いを超える笑いが湧き起こった。思ったよりも「ウケはよかった」といい、演じた生徒たちは「やってよかった」「笑ってもらえた」と満足していたそうだ。

     指導にあたってきた英語科の須賀幸恵教諭によると、「英語で落語」は、生徒たちが中1のときに受講したワークショップのプログラムであり、「アイルランドへのお土産」として1年前から準備してきたという。

     ワークショップで編成した13チームから、代表3チームに絞り込み、「ふだんでも、パッと英語が口をついて出る」ほどの練習を重ねてきた。

     英語の発音だけでなく、演技の面でも生徒たちは、「サムライの役をやるので時代劇を見て研究している」「演劇部の子から演技指導してもらっている」など研鑚(けんさん)を積んできたという。そのかいがあったというものだろう。

    全員で「鎌倉プレゼンテーション」も

    • 社会科主任の野坂雄介教諭
      社会科主任の野坂雄介教諭

     「アイルランド・ジャパンデー」では、全生徒56人による「鎌倉プレゼンテーション」も行われた。中2で遠足に行く鎌倉についての体験型学習の発表だ。生徒たちがパワーポイントを使って日本を代表する古都の名所、歴史、文化、グルメなどをまとめて解説すると、現地の中高生は興味深そうに聞き入っていたという。

     最終日の20日、生徒たちはセント・ブリジッズ・カレッジを訪問した現地小学生と折り紙などで遊んだり、キルケニーの街を散策したりした。散策の後は同校で開かれたフェアウェルパーティーで互いに別れを惜しみ、修了証書を手に帰国の途に就いた。

     鎌倉プレゼンテーションの授業を企画した社会科主任の野坂雄介教諭は、「日本文化の良さを理解、整理して海外の人に発表する。その経験を通じて生徒たちに国際人としての自覚が芽生えることを願っています」と話した。

     生徒たちは、この修学旅行でどんな経験をお土産に持ち帰ったのだろう。その経験が芽を吹いて、花を咲かせる日が楽しみだ。

     (文と写真:松下宗生 一部写真:麹町学園女子中学校高等学校提供)

    2017年12月25日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    おすすめ
    PR
    今週のPICK UP