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    英語の缶詰め合宿で「学びのエンジン」点火…共栄学園

     共栄学園中学高等学校(東京都葛飾区)は今秋も、中学2年生全員が参加する3日間のイングリッシュキャンプ「K-sep」を実施した。英語によるコミュニケーション能力の向上を目的に、4年前から取り組んでいる特別プログラムだ。生徒たちはホテルに缶詰めになって丸3日間、英語漬けで過ごす。その狙いを取材した。

    集中的に英会話を磨く

    • ホテルに宿泊する航空会社のクルーと折り紙で交流
      ホテルに宿泊する航空会社のクルーと折り紙で交流

     「K-sep」は、Kyoei Special English Programの略称だ。文字通り、英語教育の特別なプログラムとしてスタートした。中学入学後、英語を本格的に学び始め、文法を学び、語彙(ごい)を増やしてきた2年生の秋に、英会話の力を集中して試すことで、英語への興味関心をさらに高めていくのが目的だ。

     同校は中学3年生から高校2年生の希望者を対象に、約2週間のカナダ語学研修を実施している。また、アメリカの提携校とも交換留学制度を設けており、毎年、留学に旅立つ中高校生がいる。「K-sep」には、英語学習のモチベーションを高めるだけでなく、これらの海外体験につなげていってほしいというねらいもある。

     初年度は学校で実施したが、帰宅すれば家族と日本語で会話することになってしまい、日本語禁止を徹底することができなかった。そこで、英会話への集中度を高めるために、翌年から会場をホテルに移した。それも、成田空港に近く、利用者のほとんどが外国人で、世界各国の航空会社のクルーが多く利用するホテルを選んだ。キャンプ中には、クルーと文化交流を図る機会を設けるなど、国内でありながら英語でのコミュニケーションに集中しやすい環境だ。

     ホテルでの「キャンプ」には、学習以外の学びもある。ルームキーの使い方、シャワーカーテンの使い方、食事の際のドリンクオーダーの仕方など、ホテルというシーンでの振る舞いを学び、航空会社のクルーとの食事会などを通して、異なる言語や文化に属する人達との関わり方を学ぶこともできる。

    英語創作劇を3日がかりで仕上げる

    • 最終日には9グループがそれぞれ工夫を凝らした英語劇を披露した
      最終日には9グループがそれぞれ工夫を凝らした英語劇を披露した

     今年の「K-sep」の中身を見てみよう。キャンプ初日は9月14日。朝、学校に集合し、バスでホテルへと移動した。バスに乗り込んだ瞬間から、日本語の使用は禁止だ。キャンプ中は生徒同士の会話も英語で行う。グループ間の英語能力に隔たりが生じないようにして、10人ずつのグループをつくる。ネイティブのALT(外国語指導助手)9人が、グループ単位、クラス単位、全体活動などで生徒を導き、サポートする。バスの中でも早速、ネイティブの先生と英語でゲームを楽しむ生徒がいた。

     プログラムの目玉は、3日間かけてグループごとに台本から演出までを自分たちで考え、最終日に発表する英語創作劇だ。アイデアを練り、セリフを考え、台本を読み上げ、実際に動作を確認するなど段階を踏んで準備する。

     英語創作劇を準備する間に、さまざまな英語ゲームやイベントも行う。2日目は、英文のヒントを頼りにホテルの建物内外に隠された10個の英単語を探し出す「トレジャーハントゲーム」をしたり、航空会社のクルーと一緒に夕食を囲み、けん玉やお手玉、折り紙など日本の子供の遊びを楽しむ文化交流をしたりした。また、就寝前には英語で日記を書いた。

     最終日は、いよいよ英語創作劇の披露だ。朝食後に各グループでリハーサルを行い、本番へ。イギリスのオーディション番組を模した劇や、ゲームのキャラクターを主人公にした劇、あるいは「浦島太郎」を英語で演じるなど工夫を凝らした作品が次々に披露され、笑いと拍手を呼んだ。

     キャンプを締めくくる「クロージングセレモニー」では、英語で感謝のメッセージを書いたサンキューカードをネイティブの先生に手渡す。学校に戻るバスでも、英語ビデオ鑑賞があるという徹底ぶりで、3日間のキャンプは終了した。

    それぞれが自分の壁を破る

     生徒たちの感想はどうだろう。

     「英語劇なんて、作ることも演じることも難しいのでは」と考えていたSさんは、「やってみたら、意外に自分の英語が通じたことに驚いた」という。辞書で調べて、台本を書き、セリフを覚える。そんな活動に3日間、夢中になって取り組むうち、「先生の声掛けに答えるだけだったのが、自分から話しかけるようになっていました」と、英語に対して積極的になった自分の変化を話した。

    • 「フルーツバスケット」のゲームを楽しみながら英会話に親しむ
      「フルーツバスケット」のゲームを楽しみながら英会話に親しむ

     「英語でコミュニケーションが取れるだろうか」とO君は心配していたが、実際はすぐにネイティブの先生たちと打ち解けることができた。ホテルには日本人がほとんどいないことも、英会話に集中できた理由だという。英語で行った「フルーツバスケット」では、「野球の好きな人」といった英語のフレーズがパッとひらめいて、ゲームを楽しめたという。

     英語創作劇で優勝したグループのS君は、練習でネイティブの先生に「Big voice!(大きな声で)」と何回かアドバイスをもらったという。そのおかげで、メンバーみんなが積極的になり、大きい声でセリフを話せたのがよかったという。このキャンプで「今の自分の英語力で意見を述べたり、質問したりすることに慣れました」と話した。

     プログラムに集中することで、それぞれ自分の英語力の壁を破ることができたようだ。

    英会話の楽しさがモチベーションを変える

    • 中学2年を担任する藤井和貴子教諭(左)と生井勇教諭
      中学2年を担任する藤井和貴子教諭(左)と生井勇教諭

     今年の「K-sep」に同行した藤井和貴子教諭は、その効果について、生徒のモチベーションの変化を挙げる。英語を勉強する意味について目標を見失いがちな生徒もいるが、「K-sep」で、会話することの純粋な楽しさを味わうことで、学習への意欲を取り戻すという。3日間の体験が、「学びのエンジン」になっているのだ。

     同校には、ほかにも多彩な学習イベントがある。中学1年では尾瀬で、3年では北海道で宿泊学習を行っている。日帰りの校外学習もある。いずれの機会にも、「K-sep」の英語創作劇のように、プレゼンテーションの機会があることが特徴だ。

     これらの学習イベントを通じて同校が目指すのは、自主性を発揮し、社会に貢献できる人材の育成だ。「K-sep」の思い出をにこやかに話し合う生徒たちの顔に、学ぶことへの新鮮な意欲を感じた。

     (文と写真:水崎真智子 一部写真:共栄学園中学高等学校提供)

    2017年11月16日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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