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    「1人1台iPad」の授業見学…佼成学園

     佼成学園中学校・高等学校(東京都杉並区)は「1人1台iPad」を合言葉に、授業へのICT導入を積極的に進めている。他校との情報共有にも意欲的で、2月23日、都内60校の教員を招いてICT活用についての「見学研修会」が行われた。

    早くからICT授業に着目

    • iPadを活用した中学1年生の国語の授業
      iPadを活用した中学1年生の国語の授業

     この日、見学研修会のために同校を訪れたのは、都内の私立中高校の教員約150人。これに都や他県の教育関係者も多数参加した。着実にICT活用に取り組んでいる同校の授業を他校にも参考にしてもらおうと、東京私立中学高等学校協会と東京私学教育研究所が呼びかけて実現した。

     同校は2011年度からICTによる授業改革に乗り出し、委員会を設けて導入に関する諸課題を検討したり、他校の視察を行ったりして積極的に準備を進めてきた。16年度までに全教室へのプロジェクター式電子黒板とWi―Fiネットワークを整備し、高3生を除く全学年の生徒に1人1台、iPadを配布した。授業支援アプリ「ロイロノート・スクール」や学校向けクラウドサービス「Classi」などの活用も始まり、授業や生活指導、教員間のコミュニケーションに役立てている。

    教科に合わせた工夫凝らす

    • 英文を朗読する生徒
      英文を朗読する生徒

     見学向けに公開したのは、中高ほとんどのクラスの5、6時間目の授業。参加者は自由に授業を見ることができる。いずれの教科も工夫を凝らしてICTを授業に取り入れていたが、特に参加者の注目を集めていたのは、国語での活用方法だった。

     中1の国語の授業では、漫画「ドラえもん」のエピソードを題材に、登場人物の気持ちを推測してセリフを埋める課題が出された。先生は、生徒たちのiPadに資料を一斉配布したり、生徒たちがアプリ上の「カード」に書き込んだ答えを瞬時に手元に集めたりして、スピーディーで印象的な授業を展開した。高1の古文では、先生が考案した「助動詞カルタ」というゲーム形式で授業が行われた。たとえば、先生が「連体形接続」などのキーワードを出すと、生徒が、これに合った助動詞をアプリの「カード」に素早く書き込んで教員のiPadに送る。まるで早押しクイズのような楽しさを演出していた。

     英語の授業では「スピーキングテスト」が行われた。課題文を生徒のiPadに配布し、生徒に朗読させる。この音声は内蔵マイクで録音され、音声ファイルとして先生のiPadに集約され、採点される。生徒は自分の順番を待つ必要がないので、授業がぐっとスムーズになる。このテスト方式を学校全体で導入したのは全国初だという。

     理科教室では中学1年の授業で、「コイルでモーターをつくる」実験があった。教員が自作モーターをiPadでムービー撮影し、プロジェクターで回っている様子を見せる。生徒たちは先生のお手本を見てモーターを作り、同様にiPadで映し出す。動画で大きく見せるので直感的に分かり、理解が早いようだ。

     このほか数学の授業で、先生がテキストを電子黒板に投映し、重要箇所をデジタルペンでマーキングして説明したり、社会の授業で、歴史上の人物や各国の様子などの資料画像を投映して解説したりするなど、教科の特質に合わせてICTを取り入れていた。

    ICT体験、生徒も実感

    • ICT導入の成果を話す簗瀬誠教頭
      ICT導入の成果を話す簗瀬誠教頭

     授業見学の後はICT活用の実践報告会が行われた。同学園の教務主任である簗瀬誠教頭が、ICT導入の経緯や費用などを説明した。さらに、クラウドサービスの実践例として、ホームルームや授業、部活などの「グループ」ごとに連絡事項やメッセージを共有したり、生徒の成績記録や生活関連の情報を蓄積して指導に活用したりしていることを紹介。「ICTの“C”(コミュニケーション)の充実が大きなメリット」と語った。

     生徒による体験報告も行われた。高2の加藤夕暉君と岡裕一君は、「授業への積極性が増した」「数学や物理などのイメージしづらい概念を見て理解できる」と効果の実感を話した。また、授業動画配信サービスの「スタディサプリ」を使って自宅学習していることや、iPadでつくった映像のプロジェクションマッピングで文化祭の出し物を演出したことなどを報告した。中1の鴛海颯人君は、iPadのプレゼンテーションアプリ「Keynote」を使った学習発表について報告した。

    「学校が成長しました」

     報告の最後に簗瀬教頭は、教員の授業手法の「引き出し」が増えたことや、生徒と教員の距離が近くなったことなどICT導入で得られた成果を挙げ、「学校が成長しました」と表現した。教員間でスキルの格差があるなど、今後の課題もあるが、「さまざまな内容を、さまざまな形で、さまざまな所で学べる学校になりたい」と話した。

     今回の見学研修会のような機会を通して、ICT活用に関する経験や情報の共有が進めば、同校の教育環境作りがいっそう充実することは間違いないだろう。

    (文:上田大朗 写真:中学受験サポート担当)

    佼成学園中学校・高等学校について、詳しく知りたい方はこちら

    2017年04月10日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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