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    「真・健・和」の教えが精神的自立を育む…千葉日大一

     来春、創立50周年の千葉日本大学第一中学校・高等学校(千葉県船橋市)で11月、待望の新校舎が完成した。そのデザインにも生かされている「真・健・和」の校訓や、由緒ある「特別付属校」の特色、現在の取り組みを、同校の村中隆宏校長に聞いた。

    「3点固定」で生活習慣を作れ

    • 村中隆宏校長
      村中隆宏校長

     同校は、日本大学の最初の付属校、日本大学第一高等学校(1913年開校)の兄弟校にあたる。第2次世界大戦後、日大から独立した日本大学第一学園という学校法人の傘下で1968年に開校し、来春で50周年だ。全国25校の付属高校の中でも、「特別付属」と位置付けされる由緒ある学校だ。

     日大の建学の精神である「自主創造」とともに、独自の校訓としては「真・健・和」を掲げている。この校訓から導かれる教育目標として、第5代校長・村中隆宏氏は「中高生にとって一番大事なのは、基本的生活習慣を身に付け、精神的に自立することです」と話す。

     精神的自立とは、自分で考え、行動し、表現できるようになることだ。この精神的自立が「真」に相当する。そして、基本的な生活習慣を身に付けることが「健」に相当するという。

     「中学に入学して来た生徒たちに私がよく言うのは、起きる時間、寝る時間、勉強を始める時間の3点を固定しなさいということです。早いうちに自分で学習する習慣を付けておくと、高校に入ってからが楽になります。まずは自分で、朝起きるところから始めてください」

     村中校長が強調するこの「3点固定」の習慣は、家庭では起床、就寝、学習開始の時間を、学校では登校、授業開始、下校の時間を、しっかりと決めることだ。この3点をはっきりさせて、生活リズムをつくり出すことが成長の基礎になるという考えだ。

     この基礎ができて初めて、生徒が自らの進路を切り開く確かな学力の養成も可能になる。さらに部活動、生徒会活動、文化祭、体育祭など授業以外の活動にも、学校全体で元気に取り組めるようになる。このような活力の発揮は、校訓の「和」を実践することでもある。

     「基礎的な生活習慣を整え、その上で確かな学力を身に付け、自分にとって一番いい進路を考えてほしいと思っています」

    「教室を一歩出た学び」が生徒を活性化する

     日大は、16学部を持つ国内最大規模の大学だ。医学部から芸術学部までほとんどの学問領域を網羅している。同大の付属校ということは、進路を内部進学に限っても、幅広い選択肢があることを意味する。

     これだけでも大きなメリットだが、見逃せないのは、さまざまな高大連携の取り組みが可能になっていることだ。

    • 7月に日大理工学部の協力で行われた「未来講座」
      7月に日大理工学部の協力で行われた「未来講座」

     その一例として、日大理工学部の協力で7月、総合学習の時間に「未来講座」と題した出張授業が行われた。社会交通工学、海洋建築工学、物質応用科学、精密機械工学の4分野で、大学教員が中1、2生に特別講義を行った。

     「高大連携授業は、生徒たちに非常に人気があります。今年から始めた今回の特別講義では、四つのテーマから好きなものを二つ選んで受講できるようにしました。生徒たちは目を輝かせて聞いていましたね。他にも、理工学部研究体験や、医歯薬学部研修など、各学部でさまざまなプログラムを用意しています」と村中校長。 

     大学生や大学教員との出会いは、中高一貫校の問題点として指摘される、中だるみの解消にも役に立っているという。

     「昔は、大学付属の一貫校に入ってしまえば、後は伸び伸びさせていい、という感覚がありましたが、今は早い時点で学びの習慣付けを行うようになってきています。本校の生徒にとって、キャンパスが隣接する理工学部の学生や教員からの影響は大きく、連携授業を通じて、勉強することの大切さを実感するようです」

    • 毎年、文化祭で行われる「模擬裁判」
      毎年、文化祭で行われる「模擬裁判」

     こうした「教室を一歩出た学び」が、生徒たちの勉強のモチベーションを維持するうえで非常に有効だと、村中校長は実感しているそうだ。大学との連携授業以外にも、さまざまな総合学習イベントを用意している。その中でも伝統行事になっているのが、中3生による「模擬裁判」だ。

     模擬裁判は、毎年11月に開かれる文化祭の「習陵祭」で行われている。千葉県弁護士会法教育委員会の指導で、生徒が裁判官、裁判員、検察官、弁護人に(ふん)し、実際と同じ形式で審理を進めていく。「被告と証人は教員が務めます。それも生徒たちには面白いようです。会場に来ている他学年の生徒や保護者たちにも、有罪か無罪か一緒に考えてもらいます。その予想が裁判員たちの結論と一致するかどうかが見どころですね」

    専門家の話をキャリア教育に生かす

     「裁判所に行く機会のある人は少ないですが、裁判をもっと身近なものとして感じてほしい」と村中校長は話す。模擬裁判は、生徒たちにとっては楽しいイベントであるだけでなく、貴重なキャリア教育の機会になるからだ。

     ほかにも「税金がなかったら、社会はどうなるだろうか」と考えさせる租税教室や、岩手県の農家で4日間過ごす自然体験などのプログラムがあり、「こうした機会に、本物の弁護士や税理士、農家の方などと接することで、どんな人がどういう仕事をしているのかを学ばせます。専門家から直接聞く実社会の話は、教科書に基づいた授業とは違った側面があり、考えを深める機会になります」

     体験型学習のバリエーションは、今後も増やしていく予定だ。東南アジアへの海外研修なども検討しているという。

    新校舎の完成でますます充実

    • 11月完成の新校舎(予想図=提供:竹中工務店)
      11月完成の新校舎(予想図=提供:竹中工務店)

     創立50周年を記念して、同校はさまざまな行事を予定しているが、目玉は新校舎の完成だ。生徒たちは11月24日から、そこで学ぶことになる。手すりや窓枠に木材を多用した安らぎのあるデザインに加え、中学棟では階段の踊り場をガラス張りとし、高校棟では外光が差し込む吹き抜けを設けて開放感を演出している。教室の窓は後方に設置し、生徒が授業に集中しやすいよう配慮したデザインとなっている。100人が学べる自習室も設けた。

     この新校舎で行われる教育は、やはり新しい教育となるのだろうか。村中校長に尋ねると、「アクティブラーニングや課題解決型学習など、言葉は新しいですが、教育の本質が変わったわけではありません。これからの大学は、世界に太刀打ちできる人材を育てなければなりませんが、小中高では、まず基礎をしっかり身に付ける必要があります」と堅実な答えが返ってきた。

     ちなみに、中学棟と高校棟を結ぶ渡り廊下「光の道」にかけられた(ひさし)には、三つの丸い穴が開いている。同校の校訓「真・健・和」を象徴しているそうだ。いかにも、教育の基本を重んじる、同校にふさわしいデザインだと感じた。

     (文と写真:織江理央 一部写真:千葉日本大学第一中学校・高等学校提供)

    2017年11月21日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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