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    【入試ルポ】激戦勝ち抜き619人に春…浅野

     1月の千葉県、埼玉県に続き、2月1日は東京都、神奈川県での私立中学入試がスタートした。例年より、やや狭き門と化した2018年入試に受験生たちはどう挑んだのか。神奈川県の男子御三家に数えられる浅野中学・高等学校(横浜市)で2月3日に行われた入試風景をリポートする。

    中2の270人が入試を手伝う

    • 続々と正門から入る受験生と保護者
      続々と正門から入る受験生と保護者

     JR新子安駅から同校に続く、線路沿いの緩い坂道を上る。改札から正門までポイントごとに道案内に立つ同校教員の傍らを過ぎ、10分弱で正門に到着する。午前6時30分だ。試験場への入室は7時からだが、既にかなりの受験生が保護者同伴で坂道を上ってくる。中には、浅野の制服を着た中学生らしき生徒の姿も。同校によると、約270人の中学2年生が入試前日の放課後から、何らかの形で入試の手伝いをすることになっているそうだ。ポイントごとに立つ先生に、きちんとあいさつしていく姿が微笑ましい。

     午前7時、入室開始。正門から試験会場の校舎入り口まで約200メートルにわたって、大手塾の関係者が列を作り、「頑張れ!」「行ってらっしゃい」と塾生たちを激励している。有力私立中学でしか見られない風景だ。校舎入り口では、お父さん、お母さんが最後のエールを送っている。「頑張れよ」「落ち着いてね」といったオーソドックスな掛け声から、「ペットボトル、持った?」「スマホの電源を切るのよ」といった具体的なアドバイスもある。子を思う親心はさまざまだ。見ると、リュックサックの肩ひもの両側に、お守りを5個ずつぶら下げている受験生がいる。ここ一番の神頼みだろうか。

    「教員と生徒の距離が近い」と第1志望

    • 受験会場に入る直前まで最後のアドバイスを送る塾の先生たち
      受験会場に入る直前まで最後のアドバイスを送る塾の先生たち

     当日は土曜ということもあり、父親の同伴が目立った。そのうちの1人、東京都新宿区から来た医師(60)は、「私は神奈川県の出身で、教員と生徒の距離が近い浅野に好感を抱いていました。子どもも気に入ったので第1志望にしました。1日と2日の入試結果が出ていないので、なんとか合格してほしい」と話し、学校を後にした。試験の終了まで自宅で待機するそうだ。

     「グラフと図はしっかりと見るんだぞ。そこにヒントがあるから」。父親にしては随分具体的なアドバイスだと思っていたら、今度は別の受験生を熱く激励しだした。聞けば、横浜市戸塚区にある1学年30人規模の塾の経営者(48)だという。「アドバイスが具体的ですね」と水を向けると、「それが私たちの仕事ですから」と声が返ってきた。「神奈川の受験は、きょう、あすが山場。今年の学年はレベルが高いと思っていたのですが、他の塾の方に聞くと同じように感じているそうです。より高いレベルでの激戦になりますが、なんとか合格を勝ち取ってもらいたい」と祈るような表情で話した。

     塾関係者の感覚を裏付ける数字がある。森上教育研究所の調査では、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)の中学入試は、前年比で約2%増、約4万4000人が受験したという。確かに合格を目指す戦いは厳しさを増しているのだろう。

    ピークの午前7時30分には人がびっしり

    • 会場に入る前の最後のチェックをする受験生と保護者
      会場に入る前の最後のチェックをする受験生と保護者

     入室待ちがピークとなる午前7時30分ごろは、正門から校舎までの通路はびっしり受験生らで埋まったが、以後は三々五々となり、トラブルなく入室締め切りの午前8時を迎えた。

     これからが受験生の本番だ。午前8時40分、まず国語(50分)から始まり、続いて算数(50分)、社会(40分)、理科(40分)の試験に挑む。終了は午後0時40分だ。

     出願者1784人のうち、この日受験したのは1509人。出席率は84.6%と例年よりやや高めだ。インフルエンザが心配されていたが、保健室での受験対応となったのは1人。また、足の骨折で松葉杖をついた1人の受験者には、特例の配慮でエレベーターの使用を認めた。

     「きょうは暖かくてよかったです。きのう(2日)のように雪だと大変でした。入試を滞りなく終わらせ、受験生がベストを尽くせるような環境を作ってあげることが、私たち入試担当の最大の責務。そのために、準備の徹底、教職員間の意識の共有を図っています」。同校の森智史・入試広報部長は、入試の最初の山場である受験生の入室を無事に終え、ほっとした表情でこう話した。

     同校は、保護者の利便性を高めるため、インターネットでの出願と合格発表を導入している。合格発表は4日午前9時だ。森部長は、「この後、採点や合否判定など、いくつか山場があるのでまだ気が抜けません。無事、入試を終わらせなくては」と気を引き締めて、試験会場に向かった。

    用心深く膝掛け持参の女性も

    • 防寒着をまといそれぞれのスタイルで時間を過ごす保護者たち
      防寒着をまといそれぞれのスタイルで時間を過ごす保護者たち

     一方、約1000席のパイプいすが用意された体育館では、ほぼ満席となるくらいの保護者が試験の終了まで待機していた。本や新聞を読んだり、スマートフォンの画面を眺めたり、それぞれのスタイルで時間を過ごす。館内は、通常生徒が利用する際より、高めに温度設定されていたが、1日、2日と付き添った経験からか、用心深く膝掛けを持参した女性が目立った。試験が終わるまで5時間弱、「大変ですね」と声を掛けると、東京都目黒区から来た主婦(55)は、「やはり、子どもの近くで応援してあげたいですからね」と話し、再び手元の本に視線を落とした。

     また、妻と一緒に試験の終了を待っていた神奈川県海老名市の会社員(60)は、子どもが1月入試で1校に合格し、2月は1日、2日にそれぞれ1校ずつ受験したという。浅野については、学校説明会に足を運び、グローバル化教育に熱心だという印象を受け、子どもに勧めたという。「他の3校に比べても、交通の便が一番よいので、なんとか合格してほしい」と話していた。

     午後0時40分、定刻通りに試験は終了した。教室ごとにプラカードを掲げた生徒に先導され、受験生は受験番号の若い順に退室。受験番号に応じて指定された待ち合わせ場所で、保護者と合流すると、「どうだった?」「よく頑張ったね」と、ねぎらいの言葉などが飛び交った。

     合格発表は、4日午前9時にインターネットで行われ、619人の受験生に春が届けられた。

    (文と写真:二居隆司)

    2018年02月09日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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