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    完全中高一貫女子校、魅力の秘密…神戸女学院

     完全中高一貫女子校である神戸女学院中学部・高等学部(兵庫県西宮市)は、関西屈指の人気校だ。2015年に創立140周年を迎えた伝統校だけに、その教育はユニークな校風と数々の魅力に彩られている。中学部・高等学部の校長にあたる林真理子部長に同校の特色を語ってもらった。


    伝統の教育、四つの特色

    • 中学部・高等学部部長の林真理子教諭
      中学部・高等学部部長の林真理子教諭

     神戸女学院は、岡田山という丘全体をキャンパスにしている。この丘に同校が移転したのは1933年。中高大の校舎群は、多くのキリスト教学校を設計したアメリカの建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズが手掛けたもので、国の重要文化財に指定されている。生徒たちは今も当時のままの美しい校舎で学んでいる。初めて入試ルポ取材に訪れた日には、正門から中に入れなかったが、今回は校舎群をゆっくり眺め、中学校舎の部長室で林部長に話を聞いた。


    ――受験生や保護者に知ってほしい学校の特色を教えてください。

     それは大きく分けて四つあります。(1)女子校であること。(2)リベラル・アーツ教育に重きを置いていること。そして、(3)特色ある英語教育。(4)礼拝や週1時間の聖書の授業をはじめとしたキリスト教教育です。

     まず、女子校であることが大きな特徴です。1873年にアメリカから派遣された2人の女性宣教師が神戸に私塾を開校したときから、女性のための教育を行ってきました。最近、男子校や女子校が共学校へと転換する流れがありますが、神戸女学院は最初から、今も、そしてきっとこれからも、自立した女性を育てていく学校であり続けます。

    • 体育祭の学年対抗パフォーマンスは衣装、音楽、振り付けを生徒たちが創作する
      体育祭の学年対抗パフォーマンスは衣装、音楽、振り付けを生徒たちが創作する

     次に、リベラル・アーツ教育を行っていることです。分野横断的に広く教養を身につける教育システムで、その理念は古代ギリシャ・ローマに遡るとされます。つまり本校では、大学進学だけを目標にした学びではなく、より主体的・積極的な学びを重視し、文系・理系という枠組みにとらわれず幅広い教養と高い学力を養うようにしています。また、学校教育で身につけた力をもとに、興味ある分野の社会活動に参加し、学びをより深化させることを奨励しています。

     多くの生徒たちが、こうした学びから視野を広げ、学外の活動にも自主的に参加しています。例えば、数学甲子園や哲学倫理・科学・数学のオリンピック、読書感想文や論文のコンクール、英語のスピーチコンテストやディベート大会、模擬国連にもどんどん挑戦しています。変わったところでは劇評コンテストに応募した生徒もいます。

     昨年度、模擬国連に参加したのは、高校3年生と高校2年生でした。高3の5月末という受験勉強で忙しい時でしたが、2人ともニューヨークで行われた国際大会に日本代表として出場しました。2016年4月にヨーロッパ女子数学オリンピックの日本代表として世界大会に出場したのも、高校3年生と高校2年生の2人でしたし、2017年4月にも同大会に高校3年生が出場しました。

     受験勉強が忙しいからといって学外の活動を控えるのではなく、あれもこれもと挑戦するのが生徒たちの矜持(きょうじ)です。音楽、絵画、書道の芸術やスポーツなどさまざまな分野でたくさんの生徒たちが才能を発揮しています。卒業生の中には、医師として活躍しながら、文筆活動やバイオリン、ピアノの演奏活動を両立させている方や、仕事の傍ら多様なボランティア活動で世界各国を回っている方もいます。


    母国語のように自然な形で学ぶ独自の英語教育法

    • 中学生が学ぶ歴史ある校舎(重要文化財指定の建物の一つ)
      中学生が学ぶ歴史ある校舎(重要文化財指定の建物の一つ)

    ――3つ目の特色である英語教育について教えてください。

     中学入学時からオールイングリッシュの授業を行っており、あたかも赤ちゃんが母国語を習得するプロセスのように自然な流れで英語を身につける本学院独自のメソッドによって英語力を養います。これは学校創立時から歴代の英語教育を担ったアメリカ人宣教師たちが、外国人に英語を教えるための教授法の中で、日本の女子中高生に良いと思われるダイレクトメソッド(直接教授法)や、オーラルアプローチ、TPR(Total Physical Response Approach:全身反応教授法)といった教育法を体系化したものです。

     哲学倫理オリンピックやヨーロッパ女子数学オリンピック日本代表に選ばれた生徒の中には、それまで海外に行ったことがない生徒もおり、大会に参加するため初めてパスポートを取得したのですが、本校の英語教育によって英語力を身につけていましたので、いろいろな国から集まった代表たちと堂々と英語で議論しました。


    礼拝と奉仕を通して成長する生徒たち

    • 毎朝、礼拝を行う講堂
      毎朝、礼拝を行う講堂

    ――キリスト教教育の特色についても紹介してください。

     毎朝、授業開始前の20分間、中高生徒全員で礼拝を持ちます。その際、教員や近隣の牧師さんだけでなく、生徒もお話を担当します。卒業生にお話をしてもらうこともあります。

     毎年、上級生が「中1、中2のときは、まわりの友人が輝いて見え、自分に自信が持てない時期がありました。しかし、先輩の『何でもよいから興味のある活動に参加しましょう。その経験から多くのことを学べますよ』というメッセージに背中を押され、思い切って手を挙げて活動に参加し、大いにポジティブ志向に変わりました」と、自分の経験を率直に下級生に語りかけてくれます。

     本校に入学してくる生徒は、小学校時代はリーダーとして活躍してきた生徒が多いのですが、入学後は周囲が優秀な生徒ぞろいなので自信喪失し、自尊感情が下がることがあります。不安や迷いの中にあるとき「あんなに生き生きとしている先輩にもそんな時期があったのだ」と知り、「きっと私も乗り越えられる」と勇気づけられます。こういったことは、教員より生徒の体験に基づく励ましが響くのです。

     自分のリーダー体験について礼拝で話す生徒も、下級生の時、先輩に励まされたという体験を持っており、伝統の継承者として先輩がよき範を示すという校風は次世代に自然に引き継がれています。

     学校では、さまざまな社会奉仕活動の機会を用意し、希望する生徒と引率教員が共に準備し、共に活動し、学び合います。神様の呼びかけに応じ、隣人に奉仕する生き方を大切に考えているからです。学業に取り組むことだけでなく、社会への奉仕という使命を果たすための活動もまた大切です。


    小規模校ならではの固い絆

    ――最後にもう一つ質問があります。神戸女学院は関西で指折りの人気校ですが、定員は1学年135人ですね。規模的に小さくありませんか。

     元来、リベラル・アーツ教育では「少人数教育」を重視しています。一人一人の生徒を丁寧にサポートし、多様な才能を伸ばす助力をするためです。中学は自我形成の時期です。友達同士でぶつかることもありますが、それを避けることはしません。喧嘩(けんか)をしてもいい、失敗してもいい、トラブルがあってもそれを友と一緒に乗り越える成功体験を積み重ねることが思春期における成長です。少人数の学校ですから、生徒同士や生徒と教員の距離が近く、みんながみんなを知っています。教員の見守りや、先輩からの助言、友人の温かい支援に支えられ、生徒たちは安心して新しいことに挑戦していくことができるのです。

     そのためか卒業後も互いにつながりが強いです。本校の卒業生には、弁護士や検察官など法曹界で活躍する方が70人以上います。その中で30~60代が中心となって親睦会を設立し、2017年2月に初めての総会を行いました。医師として活躍している卒業生たちからも、「私たちも親睦会を」という声があがっているようです。

     母校を訪ねる卒業生もたくさんいます。礼拝の時間に、社会での活躍ぶりを話し、生徒への良い刺激を与えてくれる方がいます。人生の中で迷ったとき母校を訪ね、在校生たちと一緒に礼拝を持ち、新たな力を得てまた歩み始める人もいます。

     中高6年間で育まれるものは、一生の友であり、一生の心の財産であると確信し、お子さまやお孫さんを神戸女学院に入学させる卒業生も多いです。私もその一人です。

    (文と写真:水崎真智子 写真提供:神戸女学院中学部・高等学部)

    2017年05月11日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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