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    学習に生活にスクールステイで集中力アップ…順天

     順天中学校・高等学校(東京都北区)は、中学校の3年間で30泊ほどの「スクールステイ」を実施している。スクールバスで結ぶ足立区の新田キャンパスに宿泊し、規則正しい集団生活を通して、自主的な学習・生活習慣を身に付けるプログラムだ。幼さの残る1年生が、自立していく姿を紹介する。

    「しおり」を読んで自主的に行動

    • スクールステイ導入経緯を語る小林光一教諭
      スクールステイ導入経緯を語る小林光一教諭

     スクールステイは、2002年から始まった。入試委員で、保健体育科の小林光一教諭が導入の経緯を説明する。「小学生の時は、塾の先生や親の目があるところで勉強してきたので、中学に入ってから一人で宿題ができない子が多かったんです。一般的に、勉強ができる生徒は、家庭での自主学習の時間が長い。そこで、基本的な生活習慣と、自主的な学習習慣を身に付けられるよう学校で指導していこうと考えたのが、スクールステイです」

     今年度の1年生には、4泊5日が4回、3泊4日が2回で、計6回22泊のスクールステイが予定されている。取材に訪れた5月29日は、スクールステイの初日だった。夕方、王子キャンパス本館のピロティに、大勢の生徒が宿泊用の荷物を持って集まっていた。生徒たちの表情は楽しげで、少し興奮気味。これから始まる、4泊5日のステイが楽しみで仕方ない様子だ。

     参加したのは、2組の37人と3組の36人。2組は3回目、3組は2回目のスクールステイとなる。生徒たちは先生の誘導でスクールバスに乗り込み、車内に全員がそろったところで「気をつけ! 礼」「お願いします」とあいさつ。気分を引き締めた。

     一緒にバスに乗り込んだ大学生の先輩チューターが、「しおりをしっかり読んで行動してください」など、簡単に注意を与える。この大学生チューターは、アルバイトに応じた順天中・高校の卒業生で、男女1人ずつが、ほぼ1泊交代で生徒たちに付き添い、ステイ中の世話をしてくれる。

    「目標は5分前行動」

    • スクールステイのしおり
      スクールステイのしおり

     バスは10分ほどで、隅田川の対岸にある足立区の新田キャンパスに到着した。グラウンドや体育館の他、学習室や食堂、宿泊施設まで完備されたこのキャンパスは、主に体育の授業や部活動で利用されている。

     生徒たちはまず食堂に集まり、担当教員からステイ中のルールや禁止事項についてガイダンスを受けた。

     「今回の目標は5分前行動です。学校生活に慣れてくると、時間を守るということがおろそかになりがちです。しおりをしっかり見て、時間通りに行動すること。ルールを守って班で行動するようにしてください」

    • ベッドメイクをする生徒
      ベッドメイクをする生徒

     この後、生徒たちは女子棟と男子棟にそれぞれ移動し、各部屋でベッドメイクを行った。1部屋に2組と3組の生徒を混合で5~7人ずつ割り当て一つの班とする。混合にするのは、スクールステイが3回目となる2組の生徒に、まだ慣れていない3組の生徒をサポートしてもらうためだ。

     シーツとタオルケット、枕カバーの整え方も決められている。班の全員がベッドメイクを完了すると、連絡を受けた先生がチューターに指示して、ベッドメイクがきちんとできているかをチェックさせる。この作業には、中2生2人もチューターとして参加した。彼らは、上級生の中から募ったチューター役の希望者で、2日交代で後輩たちのサポートにあたっている。

     ベッドメイクのチェックが済むと、生徒たちは体操服や部屋着に着替えた。チェック前に着替えてしまった班があり、先生から「しおりをしっかり読みなさい!」と注意を受けた。しおりには、「チェックが完了したら、着替える」と青文字で書かれていたのだ。しおりは、ステイ生活での行動の規範となっている。書かれたルールを読み、自分の行動を管理することによって、しっかりした生活習慣を身に付けられるのだ。

    私語厳禁で自主学習に打ち込む

    • 自習室で勉強する生徒たち
      自習室で勉強する生徒たち

     午後5時10分からは「第1回学習」が始まる。着替え終わった生徒たちは、「遅れるよ!」と声を掛け合って学習室へ。ギリギリで到着する生徒も見られたが、ほとんどの生徒が目標の「5分前行動」をしっかり意識して移動した。

     学習室に入ると、私語は厳禁。あらかじめ決められたブースに座り、宿題や予習・復習、英語テストの対策など、各自が用意してきた学習を始めた。40分間の「第1回学習」の後は夕食、ついで70分間の学習、入浴とおやつの時間、さらに50分間の学習。これらが、毎日の日課となる。すべての日課が終わると、その日の学習内容や学習時間を、先生と生徒の連絡帳である「Jノート」に記入する。22時35分に消灯となった。

     翌朝はまた、スクールバスで登校。授業が済むと、再び新田キャンパスに戻る。こんな日が5日間続く。

     スクールステイの感想を、生徒たちに聞いてみた。2組の齋藤右門さんは、「以前は飽きっぽかったけれど、ステイの学習時間のおかげで、勉強が続くようになりました。生活面でも自立できてきたように思います。友達とたくさん話せることが、何より楽しみです」と話した。また、3組の福井梨乃さんも、「家だとなかなか勉強できなかったけれど、ここでは集中して学習できます。楽しみなのはレクリエーション。他のクラスに友達ができるのも、ステイの魅力です」と話した。

    集中力の体感が学習姿勢を変える

    • 今回、大学生チューターとして参加した古内隆聖さん(左)と川﨑和枝さん
      今回、大学生チューターとして参加した古内隆聖さん(左)と川﨑和枝さん

     スクールステイが学習に与える効果について、小林教諭はこう説明する。「生徒たちは、“集中した”ということを体験的に理解します。集中することで、時間が過ぎるのが早く感じるようになり、結果的に机に向かう時間が長くなります。図書館に行く生徒も増え、家庭での勉強の仕方も変わってきます」

    さらに、「生徒のほとんどが、家庭で洗濯したり、布団を敷いたりという経験がありません。ステイ中は洗濯やアイロン掛けなども自分でやらなければならないので、生活面でも自主的な姿勢が身に付きます。保護者の方からも、『家でお手伝いをするようになった』という声を聞いています」と、スクールステイの効果に自信をのぞかせた。

     このスクールステイを中学時代に体験した大学生チューターの古内隆聖さんも、「静かな環境だと勉強がはかどるんだと知り、より集中できるようになりました。また、集団生活の中で仲間との団結力が高まりました」と評価していた。

     2か月ほど前まで小学生だった中1生が、スクールステイ中、静かに自主学習に集中し、友達や先輩と絆を深めていくのを見た。自主自立の姿勢が身に付くのも間近だろう。それは中高6年間の大きな支えとなり、やがて生徒たちの進路を開く力となるに違いない。

     (文:石井りえ 写真:中学受験サポート)

    2017年09月07日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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