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    SGH指定でグローバル教育に新展開…富士見丘

     2015年にスーパーグローバルハイスクール(SGH)指定を受けた富士見丘中学高等学校(東京都渋谷区)で、サステイナビリティ(持続可能性)を視点とする新たなグローバル教育が行われている。来春には若年アスリートの世界的活躍を支援する「グローバルアスリートコース」の新設も予定している。先進的なグローバル教育、英語教育について白鶯訓彦教頭に聞いた。

    45年続いている英国留学制度

    • グローバル教育について語る白鶯訓彦教頭
      グローバル教育について語る白鶯訓彦教頭

     同校には長いグローバル教育の伝統がある。留学プログラムの導入は1972年にさかのぼり、以来、イギリスへの約3週間の短期留学が45年間続いている。留学先は米国やオーストラリアに拡大し、留学期間も3か月、6か月とバリエーションが広がっている。最近では、UAE(アラブ首長国連邦)への留学も実現している。

     2012年には「海外大学推薦制度」を創設した。学業優秀で学校長の推薦を受けた生徒は、英ロンドン大学と豪クイーンズランド大学への入学が保証される。ほかにも、米国やオーストラリアの大学に進学する生徒がいるという。また、2012年には、UAEの「ザーイド未来エネルギー賞」で、同校は環境問題を解決するプロジェクトの提案を競う「グローバル高校賞」の最終候補に選ばれるなどしている。

     こうしたグローバル教育の歴史に新たなページを開いたのが、2015年から指定を受けた文部科学省のSGHだ。2019年までの5年間、国の支援を得ながら、国際舞台で活躍する人材育成に役立つカリキュラムの開発・実践を行っていく。そして5年間のSGHプログラムの折り返しとなる2017年10月、同省の中間評価において、同校は高評価を獲得した。

     「最近ではグローバルという言い方をしますが、インターナショナルや国際化という言葉で語られていた頃から、本校はこの分野に取り組んできました。SGHプログラムは、このような本校の路線に合っており、また目標としたいものでもあります」

    サステイナビリティを視点にアジアで研究

    • ワークショップ形式で学ぶ高校1年生のサステイナビリティ基礎講座
      ワークショップ形式で学ぶ高校1年生のサステイナビリティ基礎講座

     グローバル教育の伝統をさらに深めていく同校のSGHプログラムとはどんなものか。英語4技能(読む、書く、聞く、話す)を育成し、情報発信力を高める「英語発信力向上プログラム」、主体的で協働的な学習スタイルを確立する「スタディスキル育成プログラム」など、さまざまなプログラムが開発されている。それらの中核が「探究学習」で、サステイナビリティの視点から世界の諸課題と向き合う課題解決型学習だ。

     高校1年では全員が「サステイナビリティ基礎」を総合的な学習の時間に学ぶ。具体的には、「災害と地域社会」「開発経済と人間」「環境とライフスタイル」の三つのテーマについての教科横断的なチームティーチングや、慶応大学大学院メディアデザイン研究科の大川恵子教授の研究室による年8回の「グローバルワークショップ」、東日本大震災の被災地である岩手県釜石市での1泊2日のフィールドワークだ。

     高校2年では「サステイナビリティ演習」にステップアップする。三つのテーマは高1と同じだが、その中から選択し、1週間かけて海外でフィールドワークを行う。「災害と地域社会」グループは台湾、「開発経済と人間」はシンガポール、「環境とライフスタイル」はマレーシアを訪問し、それぞれ現地の大学などと連携して研究、調査にあたる。さらに現地の高校生らとディカッションし、その成果を英語でプレゼンテーションする。高校3年時にはこの演習で学んだ内容をリポートにまとめる。

     白鶯教頭は「サステイナビリティというテーマは、あくまでもきっかけです。行動することで生徒自身がテーマを発見し、自ら行動していきます」と授業の意義を話した。

    • 「Global Link Singapore 2017」に招待され、プレゼンテーションする生徒たち
      「Global Link Singapore 2017」に招待され、プレゼンテーションする生徒たち

     この話を裏付ける好例がある。シンガポールでフィールドワークを行った高2生3人のチームが今年3月、関西学院大学で開かれた「全国スーパーグローバルハイスクール課題研究発表会(SGH甲子園2017)」で、「What Japan can learn from English education in Singapore(日本が、シンガポールの英語教育から学べるものは何か)」と題する英語発表を行い、プレゼンテーション部門の優秀賞並びに審査員特別賞を獲得。国際的な研究発表会「Global Link Singapore 2017」に招待された。

     この発表テーマを思いついたきっかけは、現地の高校生とディスカッションした際、同じ年齢の同じアジア人なのに、なぜこれほど英語力に差があるのかとショックを受けたことだった。現地での経験に加え、帰国後は文部科学省に取材を行うなどして発表内容を仕上げた。まさに「生徒自身がテーマを発見し、自ら行動」した結果だ。

    プレゼンテーションは学校の日常

     生徒によるプレゼンテーションは、SGH甲子園のような大舞台に限らず、学年集会やロングホームルームなど学校生活のさまざまなシーンで日常的に行われている。始業式や終業式、入学式でも、校長が訓話するだけでなく、生徒によるプレゼンテーションも行われるのが通例だ。

     また、中学2年生で行われる京都・奈良研修旅行の後、かつては感想文の作成で振り返りを済ませていたが、近年は、グループごとにポスターセッションで報告するようになった。

     「大学入試改革では、学んだことをテストで瞬間的に発揮する一発勝負から、思考力・判断力・表現力が問われる入試へと変わっていきます。本校では、学んだ事をベースにどう活用するかを考え、アウトプットする新しい学びのスタイルへとすでに変化させています」

     ICTの活用も学びの環境を大きく変えつつある。今年4月、同校は英語教育に「オンラインスピーキング」を導入した。中2から高2までの生徒が週1コマ、インターネット電話サービスの「スカイプ」を使ってネイティブの先生と1対1で英会話をする。

     「オンラインによるマンツーマンの指導ですから、生徒は周りの目を気にすることなく各自の能力に応じ、伸び伸びと挑戦しています。中学の修学旅行は全員でオーストラリアに行くので、この授業の成果を生かし、楽しんでほしいですね」と、白鶯教頭は生徒の成長に期待している。

     タブレットの導入も進んでいる。今春から中学1年生全員、2018年春には高校1年生全員にタブレットを持たせる予定だ。グローバル教育の推進にICTは大きな役割を果たすことだろう。

    来春、グローバルアスリートコース新設

     同校はダイバーシティー(多様性)を広げることをアドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)としている。2010年頃から帰国生を積極的に受け入れており、現在、その割合は約2割。帰国生の存在は、一般の生徒にとって良い刺激になっているという。

     この方針をさらに推進し、2018年春の中学入試から募集するのが「グローバルアスリートコース」だ。同校はスポーツに打ち込み、秀でることも多様性のひとつと捉えている。競技年齢が若年化する各種スポーツのアスリートを受け入れ、彼らがグローバルに活躍できるよう英語力の強化も図っていくコースだ。白鶯教頭は「海外遠征を許可するだけでなく、学校として積極的に後押ししていきたい」と力を込めた。募集の詳細は、学校説明会やホームページで発表される。

     (文と写真:水崎真智子 一部写真:富士見丘中学高等学校提供)

    2017年11月06日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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