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    興味と楽しさで意欲引き出す「特別講座」…光塩

     カトリック系の光塩女子学院中等科・高等科(東京都杉並区)が、2014年度から導入している週に1度の「特別講座」は、授業の枠を超えた知識や今日的な題材に入試対策も織り込んだ内容で、生徒の意欲を引き出している。授業の様子と、担当教員の講座への思いをリポートする。

    週1度、好きな学びに取り組む

    • 「文芸パフォーマンス」講座。新たにディベートに取り組む
      「文芸パフォーマンス」講座。新たにディベートに取り組む

     光塩女子の特別講座は、日頃の授業ではカバーできない知識や教養、スキルに着目して各教科の教員が企画する、自由選択の科目だ。

     導入のきっかけは、2011年度の学習指導要領改定だ。授業時間の増加に対応するため、光塩女子は2014年度に、隔週6日制から完全週6日制に移行した。その際、生徒の負担感を軽減し、1週間の生活リズムを整える狙いから、水曜日は通常授業を午前中の4時限に設定。5時限目をHR活動に充て、6時限目を一部生徒向けの補習と特別講座の時間とした。

     今年度は12講座。国語科の「文芸パフォーマンス」や数学科の「目指せ!図形女子!」、英語科の「洋楽で英語を学ぼう」、理科の「試行錯誤で楽しむ理科」、情報科の「学校CMをつくろう」など、ユニークなタイトルが興味を引く。ほとんどの講座が隔週で行われるため、生徒は学期ごとに2講座まで選択できる。複数学年を対象にした講座が多く、「勉強系の部活動」という趣だ。

    文・理さまざまな講座で「手応え」

     今回は、三つの講座の様子を取材した。

     中2、3年生の10人が受講する「文芸パフォーマンス」は、昔話などを基にオリジナルの劇をつくるのが主だが、取材の日は、新たにディベートに取り組んでいた。

     議題は「校則で携帯電話の持ち込み・使用を許可すべきか」。3人ずつ肯定、否定のチームに分かれ、残りは審判役。主張や根拠の弁論から質問、反論、そして審判へと進行する。肯定側は「学習効果の向上」や「連絡の効率化」、否定側は「生活への影響」など、メンバーで話し合った意見を戦わせた。

    • 「プログラミングでものづくり」講座。アプリケーションづくりに挑戦
      「プログラミングでものづくり」講座。アプリケーションづくりに挑戦

     「プログラミングでものづくり」は、中2から高1までの20人が受講。初心者向けのプログラミングツール「スクラッチ」を用いて、アプリケーションづくりに挑戦する。一人で黙々と取り組んだり、友達と相談したりするなど自由な雰囲気で進行し、必要に応じて担当教員がアドバイスしていた。

     受講する生徒に話を聞いた。人形の図形をカーソルキーで動かすプログラムを作成中の中3生徒は、「今までに5、6個プログラムをつくりました。自分の力でコンピューターを動かせるのが楽しい」と、手応えを感じている様子。また、タイマーを作成中という中3生徒は、「実用的なものをつくりたい。ディテールに凝りたい」と意欲を見せた。

     高1、2年対象の「実践!グループ・ディスカッション」は、受講者二十数人を4、5人ずつの班に分け、社会問題などをテーマに意見をまとめ、代表者が発表する。

     今回は、途上国の貧困がテーマ。科学史家・村上陽一郎氏の著作『科学者とは何か』に紹介された、あるアメリカ企業がアフリカの飢餓地域に缶ミルクを配ったチャリティー事業がかえって、栄養失調や感染症を増やした事例を取り上げ、原因を議論。「ライフラインなど現地事情の調査不足」「配った品の説明不足」「現地の生活への想像が足りない」などの意見が出た。

     アクティブラーニングを思わせる内容だが、自分で選んだ講座だけに、生徒の意欲は高い様子だ。授業終了後、ある生徒が教員のもとに来て「企業の事情も考える必要があるのでは」と考えを主張していた。

     高2の受講生2人に話を聞いた。「自分の考えを、はっきり言えるようになるため」受講したという毛利(はる)さんは、「物事を整理して考えられるようになってきました」とニッコリ。西山なごみさんは、「面接対策に」と親に勧められて受講したという。「知識の引き出しが増えました。合唱部の部長ですが、部をまとめる力もついてきたかな」と手応えを語った。

     この講座では、不定期に「ビブリオバトル」にも取り組んでいる。自分の好きな本を5分ほどでプレゼンテーションしてアピール力を競うもので、講座の予選を勝ち抜いた高2の奥井愛結さんは、9月10日に読売新聞社の主管で開催された「全国高等学校ビブリオバトル2017」の関東甲信越大会にも出場した。

    楽しさの中に入試対策も

    • 特別講座の狙いについて語る、学校企画室長の佐野摩美教諭
      特別講座の狙いについて語る、学校企画室長の佐野摩美教諭

     特別講座は自由参加ではあるが、生徒の人気は高く、今年度、学年によっては5割程度の受講者がいるという。

     その理由の一つが「生徒の意欲を引き出す内容づくり」にあると語るのは、「実践!グループ・ディスカッション」を担当する学校企画室長の佐野摩美教諭だ。

     毎年の特別講座の内容は、前年度から教員が検討を重ねて決める。「生徒が興味をもって自主的に楽しく取り組める講座」を目指し、生徒の意見や時事的なテーマ性などを取り入れる。

     「評価を気にせず、自分の興味に集中してほしい」という理由から、試験や成績づけは行わず、履修単位にも算入しない。

     楽しさを重視しながら、入試対策を織り込んでいるのもポイントだ。「実践!グループ・ディスカッション」では、近年増えつつあるグループ面接やグループ討論を意識し、有名大学の小論文試験に出題された問題を採り上げることもある。高3限定の「演習 近代文語文」では、一部難関大入試に頻出する明治の知識人の文章にチャレンジしている。

    新時代の学びへの視点

     4年目を迎えた特別講座だが、実は以前から進めている教育改革の流れをくんでいるという。

     「今後主流になる対話型・問題解決型の教育への布石として、2010年から中学入試に総合型入試を加えました。『異文化理解』や『人類の未来』といった今日的なテーマで、教科を超えた思考や表現力をみる試験です。そうした能力を伸ばすのも、特別講座の狙いです。自分の関心事を楽しく学ぶことで、新時代の学びにもつなげていければと思っています」

     上達の秘訣(ひけつ)は、楽しむこと。ともすれば置き去りにされがちなこの考え方を、現場の教員が追求する姿勢に、大きな可能性を感じた。

     (文:上田大朗 写真:中学受験サポート担当)

    2017年11月21日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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