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    生徒が自分を見つける三つの教育…白百合学園

     白百合学園中学高等学校(東京都千代田区)は、「一人一人をかけがえのない存在として大切にする」というキリスト教の精神を教育の土台に据えている。この精神を実現しているのは「語学教育」「国際教育」「宗教教育」という三つの柱だ。創立136年の歴史を持つ同校ならではの取り組みについて、入試広報部長の田畑文明教諭に話を聞いた。

    少人数クラスでフランス語と英語を習得

    • 白百合学園の教育を語る田畑文明教諭
      白百合学園の教育を語る田畑文明教諭

     「キリスト教には『一人一人に与えられている使命がある。それを人のために使いなさい』という教えがあります。当校には、6年間の中で自分に与えられた使命を見つけ、進むべき進路をしっかり考えられる生徒が多いと思います」

     田畑教諭は白百合の生徒たちについてこう話した。それを可能にしているのは語学、国際、宗教の三つの教育だ。語学を学び、世界の人々とふれあい、自分の使命を知る。このステップを踏んで、「自分に何ができるかを探し、自分の能力を人のために役立てる」という自己実現への道が開ける。

     まず、語学教育を見てみよう。同校は1881年に創設され、「女子仏学校」という最初の校名が示すとおり、当初からフランス語をカリキュラムに取り入れてきたことが大きな特徴となっている。「もともとフランス発祥の修道会がつくった学校で、フランス語を中心にした教育を行ってきました。戦前は外国人生徒も数多く在籍する寄宿舎があり、当時としては、かなり先進的な教育を行う学校だったのではないでしょうか」

     その伝統は今も続いており、フランス語は英語と並んで必修科目になっている。中学では週1回、15人ほどの少人数クラスで「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を段階的に習得する。さらに3コマに1回は日本人とネイティブの教員によるチームティーチングを行い、フランスの文化や習慣などに触れながら文法や語彙(ごい)力を伸ばしていく。

     高校からは第一外国語を英語とフランス語から選択することができる。大学をフランス語で受験する生徒もいるほど学習内容は高度だ。そのため、フランス語が学べるという理由で同校を志望する生徒も少なくないという。

     週5コマの英語も、より実践的な語学力やコミュニケーション力を高めるカリキュラムとなっている。今年度の中1生から、ネイティブの教員が担当し、英語のみで行う授業を、これまでの週1回から2回に増やす。中3からは習熟度別クラスに分かれ、さらにレベルアップを図る。

    • 「外国語の部屋」で会話をする教員と生徒
      「外国語の部屋」で会話をする教員と生徒

     こうして学んだ語学を気軽に試せる場として、校内に「外国語の部屋」が設けられている。毎日、英語とフランス語のネイティブの教員が昼休みに交代で部屋に詰め、生徒たちは自由に出入りして教員と会話を楽しむことができる。

     「授業で分からなかったことを質問したり、英語やフランス語の資格試験のスピーキング練習に利用したりする生徒もいるようです。教員も生徒のレベルに合わせて話してくれるので、生徒たちの英語などに対する抵抗感がなくなるようですね」

    国際教育は学園全体の精神

     学んだ語学を活用するための国際教育への取り組みも多彩だ。例えば、今年3月に学内で行われた国際教育プログラム「チャレンジ・イングリッシュ」には、中1、2生の希望者約110人が参加した。趣味や日本文化といったテーマについてさまざまな国籍のネイティブの教員とディスカッションし、最後にグループごとにプレゼンテーションを行う内容だ。

     「当校では日頃から、自分の思いや考えを伝える力を身につける訓練を授業などでも行っていますが、2日間のプログラムを見ていて、よくここまで英語で話す力がついたなと感心しました。見にいらしていた保護者も感動されていました」

    • グローバルヴィレッジでの交流
      グローバルヴィレッジでの交流

     この他に、中3生全員が参加し、世界各国からの留学生と交流する「グローバルヴィレッジ」や、高1、2生の希望者を対象に、夏休みにアメリカの大学で英語コミュニケーション力を磨く「女子グローバル人材養成プログラム」がある。また、フランス人の留学生とお互いの家庭に滞在する「日仏短期交換留学(コリブリ)」や、フランス大使館を訪問して外交官と交流するプログラムなどもあり、語学力を高め、世界を学び、広い視野を持つための取り組みが充実している。

     同校は、グローバル時代が叫ばれる以前から、こうした語学教育、国際教育を重視してきた。その背景を田畑教諭はこう説明する。「社会が国際化するから語学を重視するということではないのです。キリスト教には、自分とかかわりのない人であっても、苦しんでいる人がいれば手をさしのべるという教えがあります。キリスト教が世界に広まったのは、当校の守護聖人である聖パウロが、当時の地中海世界の国際語だったギリシャ語に堪能だったことによる影響も大きいと言われています。世界の苦しんでいる隣人に自分が何かできることはないかという思いを形にする上で語学は大きな手段です。国際性は、学園全体の精神でもあります」

    人のために役立ち、自分の使命を見つける

     そして、同校の教育の最後の柱が宗教教育だ。「受けるより与える方が幸いである」というキリストの教えのもと、生徒たちは授業や課外活動の中で「自分は人のためにどう生きるか」を模索する。

    • ボランティア活動の様子
      ボランティア活動の様子

     宗教教育の中でも大きな役割を担っているのはボランティア活動だ。2011年の東日本大震災以降、夏休みに被災地でのボランティアを継続的に実施している。昨年は中3生以上の希望者約30人が参加し、現地のボランティア団体と協力して夏祭りを手伝いながら、仮設住宅と復興住宅のコミュニティーを結ぶ活動をサポートした。

     また、象徴的な存在として、社会奉仕を目的とするクラブ活動「小百合会」がある。同会は箱根の児童養護施設を毎年訪問し、子供たちと交流しながら支援を続けている。また、手芸品を作って学園祭のバザーで販売し、収益を恵まれない人たちに寄付するなどの活動もしている。

     ボランティア活動を通して、一人一人が人のために役立つ経験をすることが、自分の使命を知ることにつながっていくのだという。

     最後に田畑教諭が「白百合の誇り」を話してくれた。「制服です。約90年前に現在のセーラー服になってから、一度もデザインが変わっていないんです。先輩たちが大切にしてきた制服にふさわしい髪形や立ち居振る舞いを心がけるのも、当校の生徒たちの伝統。ここで本物の教養を身につけて、この制服に恥じない生き方を継承していってほしいと思います」

    (文と写真:石井りえ 一部写真提供:白百合学園中学高等学校)

    2017年05月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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