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    サマースクールで進むラグビー校との交流…桐朋

     桐朋中学校・桐朋高等学校(東京都国立市)は8月、球技ラグビーを生んだ英パブリックスクール「ラグビー校」のサマースクールに生徒約50人を参加させる。ラグビー校とは過去2回のラグビー交流試合を経て友情を育んでおり、同校にとって、数ある英パブリックスクールの中でも特別な存在だ。折しもラグビー校は今年、創立450周年を迎え、さまざまな記念イベントが目白押し。今回の渡英で、多彩な交流の広がりが期待される。

    「サマーコース」で充実の2週間

    • 創立450周年を迎えたラグビー校
      創立450周年を迎えたラグビー校

     名門ラグビー校は、桐朋生を迎えて8月に「サマーコース」を実施する。参加希望者は60人を超え、最終的に、中3から高2までの51人がイギリスへ赴くことになった。ラグビー校の学寮に宿泊しながら約2週間を過ごす。平日を中心に3時間から5時間の授業を受け、上流階級の標準とされるクイーンズ・イングリッシュのレッスンやイギリスの歴史上の名所の学習・見学、さらにスポーツやアートのアクティビティーと、充実のスケジュールをこなす。

     ラグビー校は今年、創立450周年を迎えており、ラグビーの対抗戦や学校史の展示、記念本の出版など、さまざまなイベントで盛り上がっている最中だ。桐朋の生徒たちもそれぞれに刺激を受けることだろう。

     参加を決めた高2の星理志君は、「向こうでのやりとりを想定しながら英語の授業を聞き、使えそうなフレーズがあれば、しっかり覚えるようにしています」と話す。ロンドン観光も楽しみにしており、「世界の都市総合力ランキング第1位の都市だそうなので、すごく興味があります。金融の中心地シティーなどで『世界一』の活気を感じてみたい」と待ち遠しそうだった。

    友情はラグビーの試合から始まった

    • 2016年の交流試合の様子
      2016年の交流試合の様子

     今回、桐朋がラグビー校に招かれた背景には、同校が発祥とされるラグビーを通じ、両校の生徒たちが友情を育んできた歴史がある。

     両校の出会いは、2011年にさかのぼる。英国のパブリックスクールは以前からスポーツチームや聖歌隊などを日本に派遣し、中高生との交流を図ってきたが、この年、ラグビー校と日本の高校とのラグビー交流試合が初めて実現する運びとなった。その際、日本側の交流校のとりまとめを行った元早稲田大学ラグビー部監督・小林正幸氏が当時、桐朋ラグビー部のコーチだったことから、交流試合に参加することになった。

     試合は109―0の完敗だったが、ペナルティーキックのチャンスにあえてスクラムを選んでトライを狙うなど、桐朋選手の闘志あふれるプレーは、ラグビー校側に深い印象を残したという。その後も、ラグビー校の生徒たちが試合を行った各校を見学したり、生徒宅にホームステイしたりし、日英の生徒の交流は深まっていった。

     そして、2度目の交流試合が決まった2016年、新たに参加校を選定する中で、ラグビー校から「ぜひ桐朋とも」と要望があったという。

     この第2回交流試合にラグビー部部長として参加した多賀谷瞭君(高3)は、「大型バスから、デカい人がゾロゾロ出てきて圧倒された」と、ラグビー校生徒の第一印象を語った。多賀谷君の家に泊まった2人の生徒は、身長180センチ超、体重100キロ超。1人は「ワールドラグビーU20」の代表だったというから無理もない。

     試合は、「予想通り、重さで持っていかれそう」な展開に。しかし、「完封負けはしたくない」と気持ちを奮い立たせてぶつかるうちに生じたわずかなチャンスを、桐朋がものにしてトライ。78―5と一矢を報いて試合を終えた。

    • ラグビー校、ピーター・グリーン校長からのメッセージ
      ラグビー校、ピーター・グリーン校長からのメッセージ

     その後は、自宅にホームステイした彼らと交流した。台風に見舞われ、東京案内などはできなかったが、家ではイギリスのトランプゲームを教わって遊んだ。近隣のボウリング場では、彼らが一番重いボールを投げてはしゃいだり、帰国後の進級試験のことでぼやいたりする様子を見て、「僕らと同じ」と感じた。試合では力の差を痛感したものの、心の距離は一気に縮まった。

     今回のサマーコースの日程は、桐朋ラグビー部の合宿と重なってしまい、昨年、交流試合をしたメンバーは残念ながら参加できない。しかし、ラグビーから始まった両校の交流は、今年のサマーコースで新しい広がりを加えるはずだ。

     「生徒同士の友情があったから、学校間の関係もここまで発展した。良き伝統に育てたい」と、片岡哲郎校長の期待は大きい。ラグビー校のピーター・グリーン校長からも、「両校の交流関係の発展を希望します」というメッセージを受け取った。

    時代が変わっても重要なのは人間同士の対話

    • 生徒たちの成長を見守る片岡哲郎校長
      生徒たちの成長を見守る片岡哲郎校長

     サマーコース実施に先立ち、片岡校長は5月、ラグビー校を含む数校のパブリックスクールを視察している。「パブリックスクールは、将来の国のリーダーと期待される英国上流階級の子弟が通う。その意味では特殊な学校です。しかし、寮の部屋を見せてもらうと、生徒たちは流行を意識して制服を着くずしたりしているし、勉強の内容や方法も日本の高校生と変わらない。うちの生徒と共有できるものはあるはずです」

     片岡校長は、学校の施設を見学した際、イギリス議会の議場を模したディベート教室が印象的だったという。人間教育の重要なポイントを、あらためて感じたからだ。「グローバル時代、IT時代といっても、人間同士が面と向かって対話する必要性は変わらない。自分の思いをちゃんと伝え、人の言うことをちゃんと受け止められるかが肝心です」

     2015年に完成した桐朋の新校舎にも、人間同士の対話を重視した施設が整備されている。「多目的ラウンジ」の壁は全面ホワイトボードで、プロジェクターやLAN(構内情報通信網)を装備しており、机を自由に動かしてさまざまな議論の場が作れる。生徒の自主的なディスカッションに使われるほか、卒業生たちを招いてのワークショップや講演会にも使われている。

     片岡校長は、「生徒には広く世界を体験し、偏らない視点で真ん中から世の中を見渡す人間になってほしい。そのきっかけの一つになれば」と願いを込めていた。

    (文と写真:上田大朗 一部写真:桐朋中学校・桐朋高等学校提供)

    2017年08月23日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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