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    【入試ルポ】千葉最難関入試に夢をぶつける…渋幕

     千葉県の私立中学入試は1月20日から始まり、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(千葉市)でも22日、入試が行われた。東京の私立御三家を(しの)ぐ勢いで大学合格実績を伸ばしている同校には、1次入試(募集定員男女約215人)で2098人の出願があり、名目倍率は約9.8倍に達した。雪まじりの雨が降る厳しい寒さとなった当日の様子を取材した。

    「よし! 頑張ってこい!!」

    • 階段の下で別れ、受験会場へ向かう我が子を見送る保護者たち
      階段の下で別れ、受験会場へ向かう我が子を見送る保護者たち

     校門をくぐり、校舎に入る階段前まで来た親子が最後の確認をしていた。受験生はそこで保護者と別れ、試験会場に向かうことになる。

    父「算数は?」
    子「面倒くさい問題は、後回しにすること」
    父「社会は?」
    子「問題をよく読むこと」
    父「そう。じゃあ、最後に大事なことは?」
    子「受験を楽しむ!!」
    父「よし! 頑張ってこい!!」

     振り返ることなく階段を上っていく息子を、父親はずっと見つめていた。

     会場の案内など、入試の手伝いをする在校生の保護者の姿もあった。数年前を、こう振り返る。「渋幕の入試は、20日から始まった千葉入試の終盤です。連日の試験で疲労もたまり、心配でした。階段の下から息子の後ろ姿を見送ったことを思い出します」

     開門時間である午前7時の気温は4度だった。午後からは雪の予報が出ていた。雪まじりの雨が時折ぱらつく厳しい冷え込みの中、受験生らが次々と校門を通っていく。

    • 塾の先生の激励を受ける受験生
      塾の先生の激励を受ける受験生

     校門から校舎の階段の下までの通路は、左右に各塾の先生方が数百人ずらりと並んで、それぞれの塾の旗を掲げ、激励の声をからしている。受験生が自分の塾を見つけ、「あ、先生!」と走り寄る。先生たちは「頑張れよ」「落ち着いて」「元気だしていこう!」と口々に声をかけ、力強く握手する。

     ある塾の先生は、「千葉最難関ですから、応援も気合が入っています。教え子たちと少しでも話をして、子ども自身が今日どうするのか、言葉に出して、気持ちを作っていくのが大事だと思っています」と話す。

     半袖Tシャツ姿で応援する姿もあった。東京・吉祥寺に本部を置く「進学塾VAMOS」の先生たちだ。「おはよ! 気合入ってる?!」と教え子を見つけて声をかけると、受験生は「さっき、合格するぞ、って大声出したんです」と白い歯を見せた。「お、気合入ってんじゃん。よし、頑張れ!」。縁起物のチョコレートを渡して、後姿を見送った。

    人気押し上げる海外一流大への合格実績

     大手学習塾「早稲田アカデミー」NN渋幕クラス責任者の久保寺雅隆さんは、今年の入試状況をこう分析する。

     「渋幕の人気が上がり、入試状況は数年前とは大違いです。人気を押し上げているのは、合格実績です。東大だけでなく、海外一流大への合格者も多い。大学受験で海外を経験している子が多いのは、ここしかないですから。以前は2月の東京受験の前哨戦でしたが、ここ2、3年は第1志望が多く、渋幕に入りたい子が増えています」

     大手学習塾「サピックス」小学部の教育事業本部長・広野雅明さんが話す。「帰国生が多く、英語のレベルが高い。また、渋幕の『自調自考』の校訓がまさに2020年の大学入試改革の方向性と同じであり、そのことが受験生の人気を呼んでいます」

    • 近隣のホテルから送迎バスが到着する
      近隣のホテルから送迎バスが到着する

     午前8時、集合時間の30分前に、近隣のホテルからの送迎バスが2台到着した。遠方の受験生は、幕張地区のホテルに前泊して試験に臨むようだ。千葉、東京、埼玉だけでなく、神奈川、茨城まで広く受験生が集まる。

     茨城県に拠点を置く学習塾「茨進」の中学受験指導室室長の青木信行さんは、「茨城県南部からだと約1時間半の通学時間なので、取手市や守谷市の受験生は第1志望の生徒が多いです」と話した。

    解答用紙に「今のあなたを思う存分ぶつけて」

    • 半袖Tシャツ姿の先生に気合をもらう
      半袖Tシャツ姿の先生に気合をもらう

     同校入試対策委員の熊木大輔教諭に、受験生に向けての一言を聞いた。

     「『今のあなたを思う存分に解答用紙にぶつけてください』ということです。本校には、様々な個性や興味を持った子どもたちが入学してきます。個性豊かな教員もたくさんおります。友人や教員との出会いは、一生の宝物となるでしょう。勉学だけでなく、部活や趣味などでお互いを切磋琢磨(せっさたくま)し、充実した楽しい学校生活を送ってほしいと思います」

     「早稲田アカデミー」の久保寺さんに同校の入試問題について聞くと、「例年、記述が多く、非常によく練られた問題を出します。ただ頭がいいだけでは、受かりません。昨年の郵便番号と電話番号の問題のような、見たこともない初見の問題に対し、それが何を示しているのか、解き明かす力がないといけません。想像力豊かな子に向いている試験です」

     同様に「サピックス」の広野さんは、今年の入試結果についてこう話した。「今年の問題は平均点がやや高めに出たので、実力差がそのまま合否に直結したようです。どの教科も考える力が強く要求され、受け身の勉強だけでなく、能動的に考える力を学校側は求めています」

     受験生たちは遊びたい盛りの小学生の時期に、3年、4年と長い受験勉強を続けてきた。それができたのは、将来への大きな夢があるからだろう。試験が始まり、筆記具を手に取ったそのときから、夢を形に変える挑戦が始まる。

     (文と写真:小山美香)

    2018年02月08日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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