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    多様性を受け入れる環境で真のグローバル人材を育てる…啓明学園

     帰国子女のための学校として1940年(昭和15年)に創立された啓明学園。啓明学園中学校高等学校(東京都昭島市)は、その伝統を引き継ぎ、英語はもちろん、フランス語やスペイン語、中国語など、さまざまな言語が教室で飛び交っている。帰国子女や外国籍の国際生と、日本育ちの生徒が同じ教室で学ぶなかで、真のグローバル人材を育てている。2017年からは、リベラルアーツクラスを中3と高1に導入。さらなる改革を進める、同学園の北原都美子理事長・学園長に話を聞いた。

    世界をつなぐPeace Makerを育成

    • 「社会や文化の違いを理解して、問題にどう立ち向かうのか学んでほしい」と北原都美子理事長・学園長
      「社会や文化の違いを理解して、問題にどう立ち向かうのか学んでほしい」と北原都美子理事長・学園長

     「現在はさまざまな学校がグローバル教育を(うた)っていますが、本校は創立当初からグローバル教育をしているのです」と北原理事長。1940年、英語が敵国語として禁止されていた時代、創立者の三井高維(たかすみ)氏が英国留学を終えて帰国後、帰国子女8人のために私邸を開放して学校を創立したのが始まりだ。

     北原理事長は、大学での研究時代にその三井氏に請われ、同校に赴任。長年にわたり、教壇に立った後、他の私立学校長を経て、2015年に学園長として同学園に戻ってきた。今年から理事長も兼任、「世界に飛躍し国際的な奉仕ができる人材の育成という創立の思いを、三井先生からずっと伺ってきました。その思いを継承しなければと思い、先生の目指したグローバル教育を発展させるため、改革を進めています」と意気込む。

     同校には、帰国子女や外国籍、国内インターナショナルスクール出身者などの国際生が約36%おり、一般生と同じホームルームで学んでいるのが特徴の一つだ。

     「他校のように、国際生だけ別のクラスにするのではなく、同じクラスで関わり合えるので、お互いに刺激を受け、自分とは違う文化を理解し合えるのです。啓明のグローバル教育とは、さまざまな物の見方や考え方、文化やシステムの多様性を理解し合い、受け入れることで、世界をつなぐPeace Maker(平和を築く人)を育てることなのです」と力強く語る。

     日本語が上手でない国際生は、クラスの生徒が「バディ」役として学校生活のさまざまな場面で支え、お互いの文化を理解し合っているという。学校生活が、まさにグローバルの現場なのだ。

    レベルに合わせた取り出し授業で生徒の学力を高める

    • ドイツ体験学習。さまざまな海外プログラムが用意されている
      ドイツ体験学習。さまざまな海外プログラムが用意されている

     9月の啓明祭では、多言語スピーチコンテストが開かれ、8か国語で発表された。

     「差別問題に関して、胸を打たれるスピーチが多くありました。内容はもちろん、語学力も素晴らしいです。国際生の語学力をさらに高めるため、本校では語学の『取り出し授業』も行っています。例えば、スペイン語の授業は生徒2人に先生1人など、細やかな対応をしています」

     英語は習熟度別に、国際生は2レベルに分けてネイティブによる授業、一般生は3レベルに分けて授業を行っている。他の教科でも、生徒の理解度に合わせて習熟度別授業を行っている。

     日本語の苦手な生徒には日本語の授業を行い、国内の教育課程で学習してこなかった生徒には個別に国数理社の取り出し授業を行い、サポートしている。

     生徒一人ひとりの語学力や学習進度に合わせ、教材も異なる細やかな対応ができるのは、1クラス30人以下という少人数の同校ならではだろう。

    リベラルアーツクラス導入、総合的な学力を育てる

     また、今年度から中3と高1に導入したリベラルアーツクラス(Lクラス)では、英語も使って教科の垣根を越えた授業を行っている。

     「例えば、バスケットボールの放物線について英語で学ぶ授業では、体育と物理を横断した授業になります。既習事項の総合的な活用力、発想力を引き出して育てていきます」

     こうした総合的な学力は、2020年の大学入試改革にも対応できるものといえるだろう。

    多様なプログラムで世界に向けた心を育てる

    • 敷地3万坪の広大な学園。どっしりとした趣のある数寄屋門が生徒を迎える
      敷地3万坪の広大な学園。どっしりとした趣のある数寄屋門が生徒を迎える

     「世界をつなぐ教育」を掲げる同校では、さまざまなプログラムで世界への関心を育んでいる。

     中3から高3まで必修の「グローバルスタディーズ」では、食糧問題や格差問題、エネルギー問題、環境問題など、国際社会の諸問題を学び、理解を深める。専門家らを招いて話を聞く、「グローバル講演会」も実施している。

     留学プログラムも充実しており、中高6年間で最大10回の海外体験が可能だ。姉妹校5校との交換留学もあり、例年、5人程度が1年間留学している。

     「一般生でも、『啓明なら世界に行くのが普通だから、この学校を選んだ』という生徒がいるほどで、海外留学に抵抗はありません」

     こうした教育の成果もあり、生徒たちは自ら世界へ向けて行動していくという。

     「英語でチャレンジ!ビジネスアイデアコンテスト」では、2012年からほぼ毎年3位以内に入賞。2015年は1位と3位のダブル受賞となり、シンガポールで行われた世界大会に進出した。また、世界40か国の私学が加盟するラウンドスクエアにも加盟、昨年、ドイツのハンブルクで開催された国際会議では、代表の生徒が英語会議に参加している。

     生徒から声があがって3年前から実施する「カンボジア裁縫プロジェクト」では、生徒が家庭から集めた布をカンボジアの貧困家庭の母親に預けて製品として縫ってもらい、啓明祭で販売するフェアトレードを行っている。

     「ただ支援するだけではなく、現地の人たちのモチベーションが上がるような双方向の仕組みです」

     国際的な課題を解決するには、どういう手法があるか。グローバルスタディーズの学びを、生徒たちが実践しているのだ。

    進学実績にも表れる伸びしろの大きさ

     進学先も、国内大から海外大まで幅広い。特に、上智大には毎年約10%が進学するほか、早慶やICU(国際基督教大学)、GMARCHに進学する生徒が多い。

     「中学入学時の偏差値に比べ、20%くらい上の偏差値の大学へ合格しています」(広報センター主任 荒木栄教諭)というが、実績にはこだわっていないのが啓明らしい。

     「合格実績を上げるためだけの受験はしません。生徒の本当にやりたいことに沿って、進路を実現させていきます」

     一人ひとりに合わせた細やかな指導が、生徒たちを大きく伸ばし、結果的に合格へつながっているのだ。

     「進取の精神に富み、他文化を理解しようという姿勢で、何事にも挑戦できるお子さんは、ぜひ啓明にいらしてください」と北原理事長。世界を平和にするグローバルな大人になるための環境が、ここにそろっている。

    (文と写真:小山美香 一部写真:啓明学園中学校高等学校提供)

    2017年11月29日 15時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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