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    中学受験のプロ講師たち「マナビレンジャー」がアドバイスするコーナーです。

    小6で成績が下がり始める二つの理由…後藤卓也

    中学受験の「目的」って、なんだろう?

     読者のみなさんは、おそらく進学塾に通ったり、家庭教師の先生に教えてもらったりしながら、いま中学受験を目指して勉強しているはずです。すでに志望校が決まっている人もいるでしょうし、「まだ受験勉強を始めたばかりで、それどころじゃない」という人もいるかもしれません。

     そんなみなさんに質問があります。

     「そもそも、なんのために中学受験をするのですか?」

     「どうしてそんなバカな質問をするんだよ」

     「志望校に合格するために決まってるじゃないか」

     「志望校はまだ決まっていないけど、とにかくいい中学に合格するためだよ。当たり前だろ?」

     ーーそんな怒りの答え(?)が返ってくるかもしれませんね。

    どんな学校に行かせたい?…保護者会でのエピソード

     先日、新6年生のお父さん・お母さんのための保護者会を行いました。

     そこで最初に私が投げかけた質問です。

     「中学受験の目的は、『偏差値の高い学校に合格させること』ですか? それとも『6年間かけて我が子を一番伸ばしてくれる学校に進学させること』ですか?」

     出席者全員が「伸ばしてくれる学校」に手を挙げました。

     「そうですね。『偏差値の高い学校』とか『東大合格者数が多い学校』ではなく、本当に一人ひとりにとっての『第一志望校』を見つけて、その学校に進学させてあげたいと私たちも思います。でも『どの学校がその子に一番向いているか』という問いに対する『絶対的な正解』はありません。中学・高校の6年間は本当に長い。子どもたちも成長していくし、学校も変わっていきます。どんな先生、どんな友だちと出会うかによって、運命は大きく変わります。

     『偏差値の高い学校』や『我が子を一番伸ばしてくれそうな学校』は、中学受験における(ひとつの)『目標』であって、『目的』ではありません。

     中学受験の本当の目的はひとつしかないのです。それは、『自分で、自分のために学ぶことのできる子』『自分で自分の人生を切り開いていける子』『勉強すること、受験に挑戦すること、成功することや失敗することをすべて自分の人生の糧として受け止められる子』を育てること、つまり『子どもたちを親離れさせ、自立させること』なのです」

     「理想論」とか「奇麗事」と言われるかもしれませんが、私はずっとそのために教え子たちを指導してきました。それはこれから先も変わることはないと思います。

    自立できない東大生…グローバル化社会を生き抜いていける?

     みなさんは、自分が志望する学校の「建学の精神」とか「指導方針」について、学校説明会で聞いたり、パンフレットやホームページなどで調べたことはありますか?

     どの学校でも「自ら調べ、自ら考える」とか「自主自律」といった言葉が並んでいます。「絶対服従」とか「命令遵守」という校訓は見たことがありません(笑)。もちろん実際には、校訓の厳しい学校、宿題がたくさん出る学校、しつけの厳しい学校もあるでしょう。それは、いま塾で鍛えられているのと同じ。「自立」するためには、厳しい試練も必要だからです。でも、いつまでも「お父さんに怒られたから勉強する」「先生に言われたから宿題をやる」では、一人前のオトナとして巣立っていくことはできません。

     これは東大の先生から聞いた話ですが、最近は、

     「ウチの息子はきょうの講義を風邪で欠席したのですが、来週までの課題は何でしょうか?」

     という電話をかけてくる(東大生の)母親がいるそうです。でも、これはまだマシな方。

     「今度の合宿の持ち物はなんでしょうか?」

     「合宿の部屋割はどうやって決めるのですか? ウチの子はどんな人と同じ部屋になるのでしょう?」

     「もちろん先生(女性)とは別の建物に泊まるのですよね?」

     なんて聞いてくる強烈なママさんもいるそうです。(「うわ、それでいいのかな~」と思う方、いませんか?)

     頑張って「偏差値の高い」中学に合格する。でもまたすぐに塾や予備校に通わされる。それもすべてママが決める。そして見事、東京大学に合格する。その結果が「これ」です。

     ちなみに同じ先生から聞いた話ですが、いま一人で海外に留学したり、外国のNPOに参加したりする東大生の90%が女性だそうです。なんとも情けない話ですね……。こんな有り様で日本は「グローバル化社会」を生き抜いていけるのでしょうか?

    2017年06月12日 17時00分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    
    プロフィル
    後藤卓也  (ごとう・たくや
    啓明舎塾長。1959年愛知県生まれ。東京大学教育学部博士課程修了。84年の啓明舎設立当初から時間講師として勤務。2年間の西ベルリン(当時)留学経験の後、再び啓明舎へ。94年から塾長。主な著書に『大人のための「超」計算トレーニング』『大人のための「超」計算 正しく速くカッコよく解く!』 (すばる舎)、『小学生が解けて大人が解けない算数』 (dZero社)、『大人もハマる算数 』(すばる舎)、『秘伝の算数』(全3冊、東京出版)、『新しい教養のための理科』(全4冊、誠文堂新光社)など。
     
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