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    中学受験のプロ講師たち「マナビレンジャー」がアドバイスするコーナーです。

    第2志望でも納得できないという病…おおたとしまさ<3>

     【中学受験必“笑”法】中学受験に「必勝法」はないが「必笑法」ならある。結果を勝ち負けと捉えるのではなく、自分たちが「やって良かった」と思える中学受験にすることが大事。人と比べない中学受験、頑張りすぎない中学受験、子供を潰さない中学受験のすすめ。

    中学受験をやめたほうがいい親の特徴

    • 「第1志望でなければ意味がない」と思うなら、中学受験はやめたほうがいい(画像はイメージ)
      「第1志望でなければ意味がない」と思うなら、中学受験はやめたほうがいい(画像はイメージ)

     やり方を間違えると、中学受験は、親子を壊す凶器となる。

     中学受験の最悪のシナリオとは、全滅することではない。途中で子供や親が壊れてしまうことである。

     親子を壊す一番の原因となるのが、「全滅したら、すべてが水の泡」だとか「第1志望に合格しなければ意味がない」というような「ゼロか百か思考」である。そのように考えているようなら、中学受験はやめたほうがいい。

     世間一般にある「中学受験残酷物語」のイメージは、このような親子から生まれたのではないかと思う。でも実際は中学受験が悪いのではなく、やり方が良くないのである。

     どんなに優秀な子がどんなに努力したって、必ず第1志望に合格できるとは言い切れないのが中学受験の現実。その現実を受け入れる覚悟をまず親自身が持つこと。そのような心構えで中学受験に臨むこと。それが中学受験を志す子の親が最初にすべきことだと私は強く思う。

     実際、中学受験において、第1志望に合格できるのは3割にも満たないといわれている。さらにその前提として、小4、小5、小6と学年が上がり、模試を経験する中で、当初思い描いていた超難関校をそっとあきらめ、現実的に手の届く可能性のある学校を第1志望校にするケースは膨大にあるはずだ。

     ある私立中高一貫校の教員は、ため息交じりに教えてくれた。

     「入学するなり、本校に対する不満ばかり言う保護者がいた。どうもうちが第1志望ではなかったらしい。親がそうなら子もそうなる。親子で散々本校の悪口を言った揚げ句、5月には地元の公立中学に転校した」

     親が悪口を言う学校に通っている子供の心中を察するに、こちらまでつらくなる。胸の痛みを紛らわすために、親と一緒になってせっかく合格した学校を否定したのではないか。転校すれば、その傷は癒えるのだろうか。

     これを「第2志望でも納得できないという病」と呼ぶ。

     思春期前のこの時期には、子供は自分の価値観よりも親の価値観を通して世の中を見ている。それが絶対的な価値であると信じて疑っていない。

     子供自身の価値観が確立する思春期以降であれば、子供自らが気持ちを切り替えて新しいスタートを切ることが可能だろうが、12歳にはまだそれができない。自分の努力の結果が、親を落胆させるものだったとしたら、子供の自己肯定感は下がる。逆に言えば、親が、子の努力を評価し、どんな結果であろうとたたえることができれば、子供の自己肯定感の低下は阻止できる。

     結果がどうであれ、中学受験という経験を「つらかったけれど良い経験」として心に刻むか、「つらいだけの残酷な経験」として心に刻むかは、親の心構え次第なのである。

    2017年11月07日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    
     
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