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    1週間の中で起きた注目の話題を漫画付きで詳しく解説するコーナーです。
    視力の低下阻止に期待

    他人のiPS細胞移植

    • イラスト・スパイスコミニケーションズ(ごみかわ淳)
      イラスト・スパイスコミニケーションズ(ごみかわ淳)

     神戸市の病院で、他人のiPS細胞さいぼう(人工多能性たのうせいかん細胞)を目の難病なんびょう患者かんじゃ移植いしょくする手術しゅじゅつが世界ではじめて行われました。iPS細胞は、目や心臓しんぞう肝臓かんぞう神経しんけいなど体の様々な細胞に変化へんかできる「万能ばんのう細胞」です。移植すると、病気やけがでいたんでしまった臓器ぞうき組織そしきをよみがえらせ、はたらきをもどせるので、「いろいろな病気の治療ちりょうに役立つ」と期待されています。

     手術は、目の視力しりょく低下ていかする難病の60さい代の男性だんせいが患者でした。まず、移植した細胞を「異物いぶつ」と見なす拒絶反応きょぜつはんのうが起きにくい人の血液けつえきから、京都大学iPS細胞研究所がiPS細胞を作りました。それを理化学研究所(理研)で目の細胞にえて、神戸市の病院で、細胞を注射ちゅうしゃする方法ほうほうで、男性の目に移しました。移植した細胞が傷んだ細胞のはたらきをおぎない、視力の低下を食い止める効果が期待されています。

     2014年には、同じ病気をかかえた女性じょせい患者に、本人の皮膚ひふの細胞から作ったiPS細胞を移植する手術が行われ、成功せいこうしています。女性の視力の低下が止まり、安全性あんぜんせい確認かくにんされました。ただ、女性が手術に同意してから、移植までに1年もかかりました。手術にはやく1億円もかかったそうです。

     他人のiPS細胞を使った今回の手術は、同意から移植までの期間が約50日に短くなりました。費用ひようも大幅にりそうです。安全性がたしかめられると、安い費用で、品質ひんしつの高いiPS細胞を大量たいりょうに作り、たくわえておけるようになるのです。

     理研などのチームは、同じ移植手術をほかにも4人に行います。移植してから1年間ほど経過けいかを見て、安全性を調しらべる予定です。

     理研の高橋政代さんは3月下旬げじゅんの記者会見で、「多くの患者に使える治療にするのが最終的さいしゅうてきなゴール。まだ気はけない」と話していました。

    ゴールはまだ先

     iPS細胞は、京都大学の山中伸弥しんや教授きょうじゅが開発し、12年、ノーベル生理学・医学賞いがくしょう受賞じゅしょうしました。

     それをはずみに、iPS細胞を活用して、病気の仕組みを解明かいめいしたり、新しい薬を開発したりする研究は、様々な大学や企業きぎょうで進められています。研究がもっと進めば、他の難病などの治療の可能性かのうせいも広がることが期待されています。なるべく早く、多くの患者をすくえるようになるといいですね。

    2017年04月19日 05時20分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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