オートクチュール ブランドの意地
パリ
2005〜2006年秋冬オートクチュールコレクションが今月上旬、パリで開かれた。高級注文服として歴史を誇るオートクチュールだが、最近は参加ブランドの減少による“地盤沈下”が指摘されている。そんな中、各ブランドには、オートクチュールの存在意義を訴えようとする強い意欲がうかがえた。
クリスチャン・ディオールにとって、今年は創業者の生誕100周年。デザイナーのジョン・ガリアーノは、創業者ディオールが幼少期を過ごした20世紀初頭の庭園風に舞台を仕立て、ブランドの歴史や世界観をみせた。馬車を登場させる派手な演出で、優美なドレスを披露。「モードの実験室」といわれるオートクチュールの魅力を示した。
シャネルは、ドレス全体にスパンコールで模様を描き、クリスチャン・ラクロワも、薄い布地のドレスに、精密なビーズ刺しゅうを施すなど、手の込んだ職人技を際立たせるデザインの新作を披露した。ウクライナの民族衣装をテーマに毛皮を使ったジャンポール・ゴルチエ、ドレスにリボンを大胆に取り入れたヴァレンティノも、高級な素材をふんだんに使い、豪華さを強調した。
オートクチュールは、1960年代までは「モードの主役」と呼ばれたが、次第に質を向上させたプレタポルテ(高級既製服)にその座を奪われる形になった。
現地で取材したファッションジャーナリストの山室一幸さんは「多くのブランドが、最高級の素材と高度な技術を結集させ、プレタポルテで実現できない芸術性の高さや壮大な演出を見せた」と話している。
(川辺隆司)
(2005年7月15日 読売新聞)