南ア、貧困で捨て子急増…都市部にも仕事なく
アフリカでは、人口の都市部への流入で求職や住環境がより悪化し、貧困が深刻化する要因となっている。南アフリカでは、「捨て子の急増」という形で人口増の影響が顕在化し始めている。(ヨハネスブルク 中西賢司)
カラフルな洋服を着た幼子10人が無邪気に手足をばたつかせていた。生後数か月の乳児数人が静かな寝室でミルクを与えられている。ヨハネスブルクの閑静な住宅街にある欧風の一軒家。「全員が捨てられた子供たちです」と、この家をシェルターとして運営する非営利組織(NPO)「希望の扉」のカルメン・プレトリアスさん(37)は説明する。
現在、生後2か月から2歳までの48人を預かる。全員が黒人だ。ある男の子は7月、路上でポリ袋に入っているのを発見され、警察が連れてきた。別の女の子はビルの前の花瓶に捨てられていた。へその緒がついたままの子もいた。
みな、見つかったのはヨハネスブルク中心部だ。南ア最大の商業都市である同市は過去10年間で1年に約5万人ずつ人口が増え、2年前に350万人を突破した。アパルトヘイト(人種隔離政策)時代に白人居住区だった中心部には、国内農村部に加え、経済難のジンバブエなど周辺国から仕事を求める人が殺到。白人富裕層の郊外転出が進み、街の一部がスラム化した。
だが、南アの失業率は約25%。就職は難しい。「希望の扉」によると、狭い一室に知人同士が十数人で暮らすのは珍しくなく、部屋から追い出されそうになった母親が夜泣きする子を捨てたケースもあった。ヨハネスブルクの路上で見つかった捨て子が1か月で約200人に達したとの調査もある。プレトリアスさんは、「社会的に弱い立場の女性にしわ寄せが及んだ結果ともいえる」と訴える。
南ア人種問題研究所のンデベレ研究員は「田舎から出てきた人が多い都市圏では頼れる家族や親族がおらず、人々が孤立している」と述べ、大家族による相互扶助というアフリカの慣習が揺らぐ現状を指摘する。
国連によると、アフリカ大陸の人口は推計10億4590万人。100万以上の大都市は40市を数え、2003年から倍増。ナイジェリア、ガーナ、ウガンダなども急速な都市人口増を抱えており、貧困問題の深刻化に拍車をかけている。
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