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    「女児の着替え男性が担当」論争に

    保育士の専門性どう見る

     女児の着替えやおむつ替えを男性保育士が担当するかどうかをめぐる論争に、保育現場や専門家から「保育士の仕事の専門性が理解されていない」との声が上がる。

     子どもの心身に密接に関わる仕事だけに、保護者と意思疎通を図り、信頼関係を築くことが求められている。

    男性は5%未満

     保育所12か所を運営する社会福祉法人あすみ福祉会・茶々保育園グループ(埼玉県入間市)では、保育士約420人のうち男性が約40人と1割を占める。同会理事長の迫田健太郎さんは「子どもたちには、男女それぞれの大人がいる環境で育ってほしい。今後も男性保育士を増やしていく」と話す。

     ただ、男性保育士が女児の着替えやおむつ替えを行うことに、保護者から「抵抗がある」との声が寄せられることもある。このため2015年、男性保育士が率先して独自の指針を作成した。〈1〉女児と2人きりにならない〈2〉身なりを整える〈3〉保育の専門性を保護者に日々伝える――などだ。「不安を持つ保護者には丁寧に説明し、理解を求めていくしかない」と迫田さんは話す。

     「男性保育士論争」の発端は、千葉市が1月に策定した「男性保育士活躍推進プラン」だ。同市ではこれまで、女児の着替えを男性保育士にさせない配慮をする保育所もあった。プランは男性保育士の働きやすい環境づくりなどを目的とし、市内全ての公立保育所で、着替えや排せつを含む保育全般を男性保育士にも担当させる、とした。これに対し賛否両論の意見が市に寄せられ、ネット上でも大きな論争になっている。

     男性保育士は増えている。厚生労働省によると、16年4月現在で男性保育士は6万3837人が登録し、06年に比べ3倍以上に増えた。ただし女性保育士の登録数は132万人超で、男性割合は4・61%に過ぎない。

    論争に戸惑い

     保護者らの「不安」や「抵抗感」について、明星大教授の垣内国光さん(子ども福祉論)は「男性保育士が少なく、仕事の役割などが社会的に認知されていないことが背景にある」と指摘。「保育士は女性の仕事と見られ、専門性を持った仕事ととらえられてこなかった。男性保育士が増えることによって、保育士の専門性や役割が社会に浸透することを期待したい」と話す。

     男性保育士には戸惑いが広がる。東京都内の認証保育所で働く男性保育士(30)は「医師なら性別は問われないだろう。専門職としての保育士の仕事が世間的に認められていないことの表れではないか」とする。埼玉県内の認可保育所の男性保育士(47)は「保育士の資格に男女の別はない。ほとんどの人が高い志を持って仕事をしているので、論争は残念」と話す。

     こうした中、保育士としての質を向上し専門性を磨こうと、東京都や埼玉県などでは男性保育士の連絡会が結成されている。研修や講習会、男性保育士同士のネットワーク作りに取り組んでいる。

     保育士不足は待機児童と表裏一体の問題で、性別にかかわらず、保育士の活躍が期待されている。保育士の経験がある白梅学園大教授の近藤幹生さん(保育学)は「乳幼児期は人間としての土台や人間に対する信頼感が醸成される大切な時期で、男女の保育士がいるのが自然だ。保育所は保護者に保育士の専門性を説明し、不安があれば丁寧にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが大切」と話している。(竹之内知宣、小野仁、志磨力)

     男性保育士 児童の保育に従事する保育所などの男性職員。1948年に保育士の前身となる「保母」の資格が定められ、77年から男性の取得が認められた。当初は通称として「保父」と呼ばれていたが、99年に性別に関係のない「保育士」として名称が統一された。2003年から国家資格となった。資格取得には、厚生労働相が指定する大学、短大などの養成施設を卒業するか、保育士試験に合格する必要がある。

    2017年02月15日 Copyright © The Yomiuri Shimbun


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