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すてき私流

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絵筆 感情伝える体の一部

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「縦横2メートルの大作を描いてみたい。海外でも個展を開きたい」(東京・九段南の成山画廊で)
松井冬子(まついふゆこ) さん 日本画家

 1974年、東京都文京区生まれ。2004年、銀座スルガ台画廊(東京)で新人選抜展に選ばれ、05年、成山画廊(同)で個展を開催。東京芸大大学院に在学。

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 来年1月下旬から、東京都現代美術館で開かれる企画展に出品するため、新作に取り組んでいる。

 「今、作品のことで頭がいっぱい。愛着のあるモノといったら、これぐらいしか思い浮かばなくて」。そう話しながら、何十本もの絵筆と、作品を描く絹本(けんぽん)を張り付けた木枠を見せてくれた。

 白毛の大型犬がさまよう「切断された長期の実験」、白い象が海に身を沈める「ただちに穏やかになって眠りにおち」……。華やかな印象の淡い藤(ふじ)色の着物姿とは対照的に、危うい幽玄の世界を精密な筆遣いで描き、日本画の世界に新風を吹き込む。

 小学3年生の時、薄暗い図書館に飾られていた「モナリザ」の複製画を見て絵の世界に魅せられた。「どこに立っていても見つめられているようで。絵って生きている」。以来、絵ひと筋。高校卒業後、女子美術短大に入学し、卒業後、東京芸術大に進学するために4浪した時も「迷いはありませんでした」。

 その過程で油絵専攻から日本画に転向した。「純粋に描くことが好きなので、デッサンに集中できる日本画を選びました」。絵の具がにじまないように加工した絹本をピーンと張った木枠をアトリエの床に置き、正座して描くのが日本画のスタイル。そして息を殺して人間や動物の毛1本1本まで細やかに描き込む。

 「私の作品は線が命。下書きをしている過程で、これだっていう描線に出合えるとうれしくて。この筆は微妙な感情を伝える体の一部なのかもしれません」

 そんな“分身”を方々で探し、何度も試した末、3年前に東京・谷中にある画材専門店で売っているイタチの毛を使った絵筆を見つけた。1本840円。

 「制作を始めると、1日に1本は使いつぶします。まさに体をすり減らして描いている感じです」(高橋直彦)

2005年12月8日  読売新聞)
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