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すてき私流

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着物で楽しむ非日常

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母が愛用した桜の帯を手に、「いつかは、私もあつらえてみたいですね」(横浜市で)=森下綾美撮影
木村 真紀(きむら・まき) さん シンガー・ソングライター

1961年、神奈川県生まれ。CMやゲーム音楽などのボーカル、作詞・作編曲家として活躍中。NHK教育テレビの番組「おかあさんといっしょ」で放送中の「ぱわわぷたいそう」を中西圭三さんと歌っている。

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 秋らしい茶色の着物でピアノに向かった姿は、背筋が伸びて、りんとしている。

 普段から着物を着るようになったのは、昨年、母が82歳で亡くなってから。遺品を整理しようとたんすを開け、包みを開けた時、絹の手触りに心ひかれた。一つずつ開いては畳んで、時間のたつのを忘れてしまったという。

 母の着物を整理するはずが、リサイクル着物を売る店やフリーマーケットに足を運ぶようになり、「ついにもう一さお、たんすが増えてしまいました」と笑う。

 着付け教室に通ったことはなく、知人に帯の締め方を一度教えてもらった後は、デパートの呉服売り場で実演を見た程度。それでも母の姿を見ていたせいか、今では、20分ほどで着られるそうだ。

 お気に入りは、母が愛用していた桜の模様の帯。

 「母は、桜の季節が近づくと、桜の帯を締めたいからと、わざと出かける機会を作っていました」と表情をなごませる。「今年の春は、私がこの帯を締めました」

 音楽大学で三枝成彰(さえぐさしげあき)さんに師事し、CMソングを歌ったことがきっかけでプロになった。「小さな贈りもの」など3枚のソロアルバムを発表。普通の女性の日常を歌いつづけている。

 イヤイヤばかりの子どもと格闘する母親、掃除や料理などの家事にうんざりする妻。そんな等身大の詞と、優しく都会的なメロディーに共感するファンが増えた。

 最近では、幼稚園や子育てひろばなどでピアノの弾き語りコンサートを開いている。「子育て中のお母さんたちが肩の力を抜いて気分転換できれば」と願ってのことだ。

 「親子向けのコンサートと言えば童謡かクラシック。ポップスは10代、20代の恋愛を歌ったものばかり。子育て世代が『これって自分のこと』と共感できるポップスがあってもいい」

 自身も高校2年と1年、小学4年の3人の子どもを育てている。子育てと歌に忙しい日々だが、「着物を着ると背筋がすっと伸びます。よく着るといっても、着物にはやはり非日常的なところがあるし、これは私の気分転換、楽しみですね」

 どんなに子どもが大切で、子どものことで手いっぱいでも、自分の楽しみをなくさないで――。そんな気持ちを伝えたいと、11月11日には、民家を改装した施設「なごみ邸」(横浜市)で、着物姿でコンサートを開く予定だ。(内田淑子)

2007年10月25日  読売新聞)
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