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すてき私流

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「楽天家」になれるバッグ

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お気に入りのバッグを手にして。「モノにはこだわらないたちですが、これだけは別です」(東京都千代田区の国立演芸場で)=高橋はるか撮影
太田 その(おおた・その) さん 寄席囃子(ばやし)奏者

1974年、東京都生まれ。東京芸術大邦楽科を卒業後、97年、落語協会に入る。新宿末広亭など、東京都内4か所の寄席で演じる。特技は日本舞踊と長唄。

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 ハトやカミキリムシ、ハスの花などの模様をビーズで縫い取りしたバッグを、肌身離さず持ち歩いている。ファスナーを開けると、三味線の譜面や、演奏上の注意点をびっしり書き込んだメモなどが顔を出した。

 「すてきね、と言われるのがうれしくて、ついつい見せびらかすように抱えています。商売道具がびっしり入っていて重いですが、苦になりません」

 ビーズ刺しゅう作家の金沢ミチヨさん(35)の作品。金沢さんは週3日、東京の池袋演芸場でアルバイトしている。仕事で通ううちに知り合い、製作を依頼した。内側には、金沢さんのブランド名が小さく縫い込まれている。オプチミスト。楽天主義者という意味。

 「デザインはお任せしましたが、私好みにできあがってきて驚きました」。淡い、上品な色合いが着物によく合う。

 曲を間違えたり、三味線の糸が切れたりといった失敗をするたびに、「これで人生終わったと思うぐらい」クヨクヨ考える性格だ。そんな時、そばにこのバッグがあると、不思議なことに、「まあ何とかなるさ」という気分になるという。

 高校時代から三味線を本格的に習い、東京芸術大で邦楽の清元を専攻した。「落語が毎日聞ける」という理由で、早稲田大の落語研究会に所属して寄席囃子(ばやし)をはじめ、大学卒業後にプロになった。落語協会の大看板、柳家小三治さんの一門。

 寄席囃子の役割は幅広い。まずは噺家(はなしか)が高座に登場する際の「出囃子」。噺家ごとに、出囃子は決まっているので、何百種類と覚えないといけない。

 噺の展開にあわせて演奏する「はめもの」もある。客席からのリクエストに応じる紙切りの時のように、即興演奏が求められる場面も多い。

 ふだんは、客の前に姿を見せることはない縁の下の力持ち。だが、9月に国立演芸場で開かれた「寄席囃子江戸の彩り」では、舞台上から三味線の音色を聞かせた。小三治さんの独演会でも高座に上がり、客席の求めに応じて、様々な噺家の出囃子を披露する。落語ブームを盛り上げる若手のホープとして期待される。

 「どんな場面でも、動じずにこなせるようになることが目標です」。今後も、楽天家に早変わりできるバッグは手放せない。(室靖治)

2007年11月1日  読売新聞)
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