文字サイズ
    女性に関心の高い最新ニュースをお届けします。

    眼鏡選びも恋愛相談も…人工知能が「客観的」に助言

     買い物や悩み相談など暮らしに身近な場面で、人工知能(AI)に助言してもらうサービスが広がっている。

     言語や画像を認識する能力が高まり、大量のデータを「学習」して分析する機能も向上。データをもとにした「客観的な助言」として、受け入れられているようだ。


    • 来店客が試着した眼鏡の「マッチ度」を判定した画面を示すスタッフ(左、東京都武蔵野市で)
      来店客が試着した眼鏡の「マッチ度」を判定した画面を示すスタッフ(左、東京都武蔵野市で)

     「『マッチ度』が90%を超えています。よくお似合いということですね」

     昨年12月中旬の平日夕方、東京・吉祥寺駅近くの眼鏡店「JINS吉祥寺ダイヤ街店」。眼鏡を試着した来店客に、スタッフがタブレット型端末の画面を見せて説明していた。眼鏡をかけた客の顔を、店に備え付けた端末のカメラで撮影して画像を取り込むと、AIが似合っているかどうかを判定する「JINS BRAIN(ジンズ・ブレイン)」というサービスだ。11月から全国約300の店舗で始まった。

     判定の根拠となるのは、全国の店舗スタッフ約3000人が、眼鏡をかけた人の顔画像を見て「似合う」「似合わない」を評価した、延べ約6万人分のデータ。ジンズ・ブレインは来店客の画像が取り込まれると、データをもとにマッチ度=お似合い度を0~100%の数値で示す。

     東京都練馬区の中学3年の女子生徒(15)は「普通の店なら、店員さん1人の意見しか聞くことができないけれど、こちらは大勢の意見をもとにしている。数字で示されるのにも納得感があります」と満足した様子。同店副店長の中村力輝りきさんは「1人の接客では主観が入ることがある。客観的な評価として、選択肢の一つになれば」と話す。

     「AIとの対話」への期待は大きくなっている。プロバイダー大手のビッグローブが昨年5月、15歳以上の男女に行ったインターネット調査では、「AIに期待すること」(複数回答)に「コミュニケーション相手」とした人が32%いた。

     そんな期待を追い風にしてか、AIに恋の悩みを相談できるサービスも登場している。検索サイト「goo」の「教えて!goo」では9月から、AIのキャラクター「オシエル」が利用者の恋愛相談に回答するサービスを始めた。

     従来のサービスは、利用者の相談に他の利用者が助言や回答を書き込む形式。主観的な回答になったり回答が書かれるまで時間がかかったり、書き込みがなかったりする場合もあった。

     これに対しオシエルは、過去の3000万件以上の相談・回答から、使われた単語の意味や相談と回答の対応関係などを学習しており、回答可能な場合、原則として数分後には回答を表示する。サイトを運営するNTTレゾナントは「早く回答が欲しい人のニーズに応えられる」と胸を張る。

     眼鏡選びも恋愛相談も、大量のデータをAIが学習したうえで助言するサービスといえる。三菱総合研究所先端技術研究センター長の比屋根ひやね一雄さんは「インターネットの普及により、AIが学ぶ材料となるビッグデータを簡単に収集できるようになったこと、それを用いて『ディープラーニング(深層学習)』と呼ばれる学習の手法が登場したことで、AIの能力が飛躍的に伸びた」と解説する。

     とはいえAIのコミュニケーション能力は、発展途上のようだ。野村総合研究所ITナビゲーション担当部長の古明地こめいち正俊さんは「現在のAIは対話をしているように見えても、やり取りをパターン化して回答している場合が多い。言語処理の分野はまだ課題が残る」と指摘する。

     ネット社会では膨大な情報に触れる機会が増え、消費者は情報を取捨選択する力が求められる。AIの「助言」に対しても、どう受け止めるかは利用する側次第といえそうだ。

    AIはあくまで道具

     公立はこだて未来大教授・松原仁さん人工知能の話 インターネットの検索エンジンやスマホのアプリなども広い意味でAIにあたり、既に私たちの日常生活に浸透している。対話できるAIもあるが、言葉の意味や文脈を理解し、深い会話ができる段階ではない。

     AIはあくまで道具であり、使う人次第。単純な作業をAIに任せ、人間はより創造性が必要な仕事をするなどして分業すれば、人間に精神的、時間的な余裕をもたらし生産性も高まる。暮らしをより豊かにするツールになるはずだ。

    アンケート調査、評価分かれる

     

     「2016年版情報通信白書」によると、AIなどを利用した機械・サービスと会話を交わした経験を持つ人は5割程度。印象や感想を聞いたところ、「便利でよいと思った」「賢くてびっくりした」「楽しく会話できた」といった肯定的な意見が多かった一方、「うまく会話できなかった」「なかなかなじめないと思った」など、戸惑いや違和感を感じたという回答も、少なくなかった。新しい異質なコミュニケーションだけに、評価は分かれるようだ。

    人の気持ちに寄り添える?

     「オシエル」の回答を見ると、「お気持ちわかります」など共感や励ましの言葉が並び、格言まで引用されていた。「人間が書いた」と言われても違和感のない文章に驚かされた。

     新聞の世界でも、記事を執筆する「AI記者」が登場したそうだ。ただし、人の気持ちに寄り添う記事を書くという点では、人間の記者にまだ一日の長があるはず。AIに負けないように腕を磨きたい。(大郷秀爾)

    2017年01月04日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    おすすめ


    くらげっとのつぶやき
    小町さんのつぶやき
    発言小町ランキング
    アーカイブ