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    「満願」の達成感、ご朱印収集がブームに

    専用帳発行、巡礼ルート設定

     寺や神社に参拝した証しにもらうご朱印。各地を歩いて集めることが今、ブームになっている。

     全国の寺社が、新しい巡礼ルートを設けたり、ご朱印帳を発行したりしていることも人気の理由。参拝者が集まることで、町おこしに一役買っている。


    • 「1枚1枚心を込めて押しています」と話す天津神明宮宮司の岡野哲郎さん(千葉県鴨川市で)
      「1枚1枚心を込めて押しています」と話す天津神明宮宮司の岡野哲郎さん(千葉県鴨川市で)

     ご朱印ブームの中心は、若い女性だ。2年前からご朱印を集めている水戸市の会社員女性(33)は「字や判の形などが寺社によって違い、見比べても楽しい」と魅力を語る。

     ブームのきっかけは、20年ほど前からのパワースポット人気。若者を中心に寺や神社を訪れる人が増え、記念としてご朱印を集める人もだんだんと増えた。近年、各地に新しい巡礼ルートができたことなどで、さらに盛り上がっている。

     千葉県鴨川市の静かな港町にたたずむ天津あまつ神明宮。5年前はご朱印を求める参拝者は少なかったが、現在は若いカップルや団体客など年間約3000人に増えたという。

     2010年、天津神明宮など県内の14社で「御朱印めぐり」のルートを設定したのがはじまり。参加神社は徐々に増え、現在37社になった。

     「房総神社振興委員会」として、専用のご朱印帳を発行。各神社の歴史や近隣の観光スポットなども紹介する。37社全部をまわり終えるともらえる「満願」と書かれた特製の絵馬も好評という。

     天津神明宮の禰宜ねぎ、岡野大和さんは「地元の人しか来なかった神社にも参拝者が増えた。参拝者が地域の飲食店などを訪れる機会にもなっている」と話す。

     地域おこしにつなげようと、特産の品を配布するところもある。

    • 高野細川紙に書かれたご朱印。10社寺分集めた人には高野杉で作られた限定のご朱印帳もプレゼントされた
      高野細川紙に書かれたご朱印。10社寺分集めた人には高野杉で作られた限定のご朱印帳もプレゼントされた

     高野山真言宗・総本山金剛峯寺など和歌山県内の10社寺では、手すき和紙「高野細川紙」を使ったご朱印3000枚を用意した。鉄道会社などと連携した企画で来年3月まで実施する予定だったが、参拝者が殺到し、開始3か月後の11月末で終了するほどの人気ぶりだった。

     高野細川紙は、空海が中国・唐から伝えたとされる。一時は職人が途絶えたが、近年復興された地元伝統の和紙だ。関連社寺でつくる和歌山紀北キャンペーン社寺連絡会は「地域で伝統工芸を守る人への応援にもなる」と話す。

     山口市の湯田温泉旅館協同組合でも、今夏、市内中心部の17か所の社寺を紹介したご朱印マップを2000部作成したが、1か月でなくなり、4000部を追加するほどの人気だった。来年1月に地元の伝統和紙を使ったご朱印帳が完成する予定。同組合は「ご朱印マップをきっかけに、観光案内所のレンタル自転車の利用者が増えており、町おこしになっている」と喜ぶ。

     佛教大教授の八木透さん(民俗学)は「ご朱印は、古くは寺社に経典を納めた証しでもらうものだった。江戸時代に民衆が寺社参詣を楽しむようになり、参拝の証しにもなった。巡礼コースのご朱印を全部集めると、満願の達成感があるのも楽しい。災害などが続く中で、希望を持ちたいという人々の心理がご朱印ブームに反映しているのではないか」と話す。

    もらうのは参拝後

     近畿の150社寺と伊勢神宮でつくる「神仏霊場会」事務局長の渡辺恭章さんは、「ご朱印をもらうのは、参拝してから。ご朱印は参拝の証しです」とアドバイスする。参拝している間にご朱印を書いてくれるところもあるので、聞いてみるといい。

     ご朱印帳は、上下に注意して所定のページを開いて渡す。志納金は300円が多いので、小銭を用意しておくとよい。ご朱印帳を忘れても後ではりつけられるようにご朱印を押した紙を用意している社寺もある。

     「法要や祈祷きとうなどをしている場合は、無理にお願いしない心遣いも大切」

     (矢吹美貴)

    2016年12月31日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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