ニュース 速報 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

とれたて!ミックスニュース

本文です

(上)どうなる 選択的夫婦別姓

写真の拡大
旧姓で北京五輪に出場する女子マラソンの土佐礼子選手。「通称使用」は職場などでも可能になってきたが、不便さはまだ残る(10日午後、国立競技場で)

五輪の舞台も旧姓で 広まる「通称」、法改正議論再び

 結婚後も夫婦がそれぞれの姓を選ぶことができる選択的夫婦別姓制度。10年以上も政治の場で棚上げにされてきたが、最近、改めて注目されている。

 女性や家族を巡る価値観が多様化し、政治状況の変化も背景にある。

 今月10日、華々しく行われた北京五輪マラソンの日本代表選手発表。「3大会連続の金メダルを」という期待の大きさもあり、女子マラソンは特に注目された。

 スポーツライターの増島みどりさん(46)はこの日の女子代表決定を、感慨深く受けとめていた。代表に選ばれた3人のうち、土佐礼子選手(31)(三井住友海上)が今回、旧姓で五輪に挑戦するからだ。

 「オリンピックに出場する既婚の女子マラソン選手は、日本では土佐選手が初めて。さらに旧姓で出場するアスリートも初めてなのでは。20歳代から長いキャリアを積んできた女性選手が、結婚後も今まで活躍してきた名前で世界の舞台に上がるということは、非常に意義深い」と話す。

 土佐選手は2004年のアテネ五輪出場後に結婚した。戸籍上は夫の姓に改めたが、その後も旧姓のままレースに出場している。日本陸上競技連盟によると、選手登録は旧姓・戸籍姓どちらでもOK。日本オリンピック委員会は「旧姓の併記が可能」としている。

 女性の社会進出に伴って、結婚して改姓した後も、仕事などで旧姓を使い続ける「通称使用」は、企業や官公庁などにも広まっている。国は国家公務員の通称使用を01年から認め、外務省も06年から、パスポートに旧姓を「別姓」として併記することを特例として認めている。

 こうした特例措置が必要になるのは、民法が夫婦が同じ姓を名乗ることを原則としているためだ。通称使用が社会的に認められてきたといっても、毎日の生活の中で二つの名字を使い分けることには様々な不便が伴う。

 銀行の口座名義や運転免許証は戸籍姓でなければならない。職場で通称を使うことができても、戸籍姓でなければ資格登録できない職業もある。民法上、夫婦どちらかの姓を選ぶことができるとはいえ、人口動態統計によると、06年に結婚した夫婦の96・2%が夫の姓を選んでいる。

 選択的夫婦別姓制度は、国の法制審議会が1996年に民法改正要綱で導入を答申。その後、01年の世論調査で法改正賛成派が反対派を上回ったことなどから、改正論議が高まった。しかし、「家族のきずなが弱まる」などの反対論が根強く、これまで野党を中心に何度も改正法案が提出されたが、十分に審議されてこなかった。

 ところが、昨年の参院選で与野党勢力が逆転したことから、今国会で、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案提出が再び検討されている。参院で改正法案が初めて可決される可能性も高まっている。

 市民団体「民法改正情報ネットワーク」の坂本洋子さんは「少子化が進み女性が社会の担い手として期待されている今の時代だからこそ、柔軟な議論をしてほしい」と話している。

2008年3月21日  読売新聞)
現在位置は
です