児童急増“マンモス化”
親が昼間いない家庭の児童が放課後を過ごす学童保育への関心が高まっている。働く母親が増えたうえ、子どもをめぐる事件も続き、安心して過ごせる場として、通う子どもが急増している。ただ、施設は不足、明確な国の設置基準がないことなどから保育の質に課題もある。学童保育のあり方について考える。
今月半ばの午後、横浜市港北区にある「綱島学童保育所」で、子どもたちがおやつを食べていた。父母会主催の地引き網で取れたアジを、学童保育の指導員らが南蛮漬けにした。食べ終わると、静かだった室内が、急ににぎやかになる。ピアノを弾く音、おもちゃの音、話し声が響き、近くの話もよく聞き取れないほど。
指導員の濁川(にごりかわ)富子さんは「にぎやかでしょ。年々子どもが増え、常時60人くらいいます。子どもに十分目を配るため、アルバイトのスタッフを増やしました」と話す。
| 児童数 (人) |
1998年調査 | 2003年調査 | 増減 (ポイント) |
| 〜19 | 1234(16.0%) | 1810(16.1%) | + 0.1 |
| 20〜39 | 3868(50.1%) | 4530(40.2%) | − 9.9 |
| 40〜70 | 2385(30.9%) | 3986(35.3%) | + 4.4 |
| 71〜89 | 188( 2.4%) | 670( 5.9%) | + 3.5 |
| 90〜 | 51( 0.7%) | 281( 2.5%) | + 1.8 |
現在、この保育所には、小学1年から5年生まで85人が登録している。元々は別の場所で30人程度を預かっていたが、手狭になったため、商店街にあるビル2階の元美容室を改装し、3年前に移転した。床面積は92・5平方メートル。移転当時約50人だった児童は、その後も毎年増え続けている。正規の指導員、アルバイトら常時5人で、児童を見ている。
父母会長の城田明輝(しろたあきてる)さん(34)は「子どもを巡る事件が続き、放課後に子どもたちが心配なく過ごせる場として学童保育に期待する親は増えています」と話す。
全国学童保育連絡協議会(東京)のまとめでは、今年5月現在、全国に1万5309か所の学童保育がある。前年より631か所、5年間で約4300か所増えている。5年ごとに行っている調査では、2003年の入所児童数は約53万8000人、5年間で約20万5000人も増えている。
同協議会事務局次長の真田祐(ゆたか)さんは「施設は増えてはいるが、入所する児童の増加に追いついていない。定員がない学童保育も多く、ひとつの施設で預かる児童数が増える『大規模化』が深刻な問題になっている」と話す。調査でも、児童数40人以上の学童保育が増えている傾向が明らかになった=表参照=。
◆声の騒音で頭痛
子どもの数が多い施設の指導員からは「子どもの出欠を正確に確認できない」「子どもと深くかかわれない」などの声も出ている。子どもたちへの影響も一部で現れており、「声の騒音」が原因で、「頭痛などを訴える子」「どなり声で話すのが習慣になってしまう子」もいるという。
「こども未来財団」(東京)は昨年、「放課後児童クラブの適正規模についての調査研究」をまとめた。指導員らにアンケートを行った結果、「望ましい規模はほぼ30人。定員としては35人くらい」と指摘した。
同協議会の真田さんは「学童保育は子どもにとって放課後の生活の場。落ち着いて過ごせる環境を整えることが必要。『1小学校区に1学童保育』と定めている自治体も多いが、必要な地域には早急に増設が求められる」と話している。
学童保育 1997年の児童福祉法改正で、「共働きなどで親が不在のおおむね10歳未満の児童に、生活や遊びの場を提供する事業」として法的に位置づけられた。ただ、国の運営・設置基準はなく、運営主体は、行政、保育園、民間企業、親たちが作る父母会など様々。指導員は、保育士や教師の資格を持っている人が多い。






















