きついし不安 指導員の仕事
「ナガー」。神奈川県横須賀市の「岩戸大矢部(いわとおおやべ)学童クラブ」で約10年指導員を続ける永松範子さん(50)は子どもたちから愛称でこう呼ばれる。宿題の相談があったり、だれかが泣き出したりする度に、「ちょっときて」と声がかかる。
父母会が、保育料などを元に運営するこのクラブは、60人の児童が通う。常勤2人、非常勤4人の指導員が、1日4人体制で子どもを見る。常勤の永松さんは午前10時から午後7時まで勤めている。
指導員は、預かっている子どもの安全・健康管理に責任を負う。保育時間中の子どもの世話だけでなく、家庭向け通信紙の作成、連絡帳の記入、子どもに教える遊び・工作の習得、遊具などの点検、行事の準備、指導員同士の打ち合わせなど忙しい。
「でも行政の担当者にも仕事の内容がよく理解されていない面があります。子どもと遊んでいるだけと思われていることも。労働条件も厳しいですね」と永松さん。同僚の指導員飛鳥井祐貴さん(29)も「やりがいはあるが、将来の不安はあります」と話す。
サービス残業や自宅持ち帰りの仕事も多い。20代後半で手取りの月収が10万円程度という例もある。永松さんも仕事を掛け持ちしていた時期が7年間ほどあった。短期間で辞める人も多い。
永松さんは「子どもが成長していくのはうれしいし、保護者から『指導員さんにしか言えないことだから――』と相談されることもある。だから私はやめられないんですよ」と話す。
全国学童保育連絡協議会の調査(2003年)によると、学童保育の指導員は全国に約4万7000人。1998年に比べほぼ倍増した。75%が保育士や教師などの資格を持っていた。
しかし非正規職員が約7割を占め、雇用は不安定。半数の指導員は年収150万円未満で、社会保険や退職金がない場合が多い。勤続1〜3年の指導員が半数を占め、継続して働き続けにくい状況も明らかになった。
同協議会は「経験年数が長い指導員がいないと、保育内容が向上しない。安定して働ける環境が求められる」と指摘。国や地方自治体に、指導員の専門資格の創設や、労働条件の改善を求めている。
「指導員が毎日ローテーションで変わるので、子どもが『だれが先生か分からない』と混乱していた」「経験の浅い指導員だけが勤務している日があり、遊んでもらえなかったり、おやつを食べさせてもらえなかったりした」という例もあるという。
文教大学教育学部の太郎良信(たろうらしん)教授は「指導員の地位の向上が図られるべきだ。研修などを充実させ、しっかりした保育の力量を備えた指導員を、適切な人数配置することが保育の質の確保には不可欠」と話す。






















