高校生へ「経験早まらないで」
大学生らが啓発活動
HIV(エイズウイルス)などの性感染症から自分とパートナーの体を守れる人間に育てるため、小さいころから「性の健康」について伝えよう、と多くの専門家は言う。では、子どもが中高生以上になっている場合は、もう「手遅れ」なのだろうか。
「そんなことはありません。できることからやっていけばいいのです」と、一橋大講師(性教育)の村瀬幸浩さんは親たちを励ます。
「性感染症について若者向けに解説してある本もあるし、保健所などには無料の小冊子も置いてあります。まずはそれらを渡してはいかがでしょう」
子どもと年齢の近い若者の力を借りてもいい。
「1回でもコンドームなしでセックスしたら、HIVに感染している可能性があるよ。保健所で無料で検査できるから行ってみてね」。今月上旬、東京都足立区の都立足立高校で、聖マリアンナ医大1年の遠見才希子(えんみさきこ)さん(21)が、1年生の男女約30人に語りかけていた。
大学生グループ「カタリバ」(事務局・東京)は、自分たちの経験を高校生に話すことで、進路などのヒントにしてもらおうと活動している。そのイベントで、遠見さんはいつも、自身の高校時代について話すことにしている。
「高校生なら、付き合ったらセックスまで経験するのが普通、と思っていた。性感染症などの知識もなかった」。20歳を過ぎ、互いを思いやる恋愛をして初めて、高校時代を後悔した。その思いを胸に、「経験を早まらないで」と高校生に訴えている。
現役女子大生が、同世代の女の子向けに工夫をこらした小冊子もある。タイトルは「ゴムを忘れたシンデレラ」。手のひらに載る大きさで、色はピンク。美大生によるおしゃれなイラストで物語が展開する。
制作した「ガールズ・ビー・アンビシャス」代表で駒沢女子大4年の大河紗耶(おおかわさや)さん(21)は大学入学後、エイズ啓発の学生団体に参加した。「それまで性感染症について教えてくれる人は身近にいなかった。知識がないまま無防備なセックスをしている女の子たちを見過ごせない」
中高生の3人の子を持つ神奈川県内の母親(48)は、自身がHIVに関心を持ち、毎年夏に横浜市で開かれる「エイズ文化フォーラム」に参加している。体のこと、性のことについて自分自身もよく知らないことに気づき、講演会や本で仕入れた知識を茶の間で披露しているうちに、子どもたちまで性感染症に詳しくなった。「まず親自身が変われば、親の思いは必ず子どもに届くんだと実感しました」
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