坂本龍一さんの音楽をバックに、ゆっくりとした流れで絵画のように日本の美しい風景が繊細に描かれていますが、今回の作品の役どころと、見所をお願いします。
真剣な表情で言葉を選ぶ役所さん
そうですね、いろいろな方が見て、いろいろな感じ方ができると思いますね。
映像が非常に美しく、セリフも少ないですけど非常に詩的な表現がされていて、そこに坂本さんの音楽が力を持って存在していて、ラブストーリーではありますが、より深いラブストーリーになっている気がしますね。
その中でも、役所さんが演じた原十兵衛は重要な役どころだったと思いますが……。
そうですね。エルヴェという青年が(蚕の)卵を買いに来て、日本にたどり着くという「旅」というテーマがあって、旅の目的地の不思議さ、怖さ、そういうものを担っていく役どころだと思います。原作でも台本でもそうですけど、何者だ?という謎めいた男だったので、そういう雰囲気は大事かなと感じていました。
(原十兵衛は)幕末の時代に英語が堪能で、ちょっと不思議だったのですが、なにかバックグラウンドはあったのでしょうか?
そんなことを言ったら、フランス人が英語をしゃべっているのもおかしいし。(笑)
深く追求はしない方が?
(笑)まさか英語をしゃべる日本人がいるとは思ってもいないところに英語を操る男がいるというのも「ミステリアス」につながっていくのだと思いますけど。
見る側に考える部分を持たせつつ、表現するということでしょうか?
映画というのはやっぱり表現の目的のためには「うそ」をつかなければいけないこともあると思います。リサーチしてリサーチした挙句に、しっかりと観客のために「うそ」をつく。ある物語の到達地点に導くための大事な「うそ」は映画にとって必要ですね。
今回はイタリア、カナダ、日本の合作映画でしたが、今回の映画とハリウッド映画との違いはありますか?
いわゆる「SAYURI」みたいなのがハリウッド映画ですけど、映画にもいろいろあります。「バベル」もハリウッド映画とも違いますね。「シルク」はそういう意味で、合作ですけれど「インデペンデント(独自)」の匂いがありますね。「バベルも」。
外国人スタッフの多い撮影現場、ご苦労した点は?
それは、まあ言葉の問題がありますけど、でも普通スタッフとはあいさつ程度で済みますが、監督との仕事の細かい話になっていくと通訳を交えていかないといけないというのは面倒ではありましたね。
ジラール監督はどんな方でしたか?
厳しいけれどあせらずゆったりしている方です。
作品も日本映画にはないようなゆったりした雰囲気でしたね。
こういうテイストの映画というのは、日本だったら、企画に上がらないかもしれませんね。(笑)
長野や山形でのロケはいかがでしたか?セットで村を再現したとか。
そうです。松本に作りました。温泉もセットで作ったんですよ。本当の温泉じゃないんです。普通の川に穴を掘り、美術さんが露天風呂を作ってお湯を流しているんですよ。
温泉のシーンはとても美しくて象徴的でしたが。
(ロケのために)日本中の温泉を見てまわったと思いますよ。そしてあの場所に作りたいと。
外国の方からすれば、異文化ですよね。監督さんはそれを意識して?
そうだと思いますよ。いろいろ調べて。
共演のマイケル・ピットさんらとのエピソードは?
いいヤツですよ。気取りがなくいい青年で、音楽に興味が向いているみたいで、ロケの合間にも曲作りをしていました。ロックが好きみたいです。
役所さんは、どんな音楽が好きですか?
なんでも聞きますよ。
今年はすでに出演作3本の公開が決まっている
歌う方は?
打ち上げでカラオケを歌ったりしますよ。
ステキな声をされていますし。
そうですか(笑)
もし役所さんが、逆にマイケル・ピットさんの立場でフランスにワインの買付けなどに行かされ、船で20日間もかけてまで異国の地に行けと幕府に指令されたらどうしますか?
ぜひ行きたいですね。
恐怖心より興味の方がありますか?
(幕末の)そうですね。この時代だったら わかりませんけどね。(笑)
海外旅行は好きですか?
好きですよ。行くまではおっくうですが、行くとやっぱり来てよかったなと思います。食事も楽しみですね。まあ、結局その土地の人とのふれあいが旅の思い出になりますよね。
時折、笑顔を見せる役所さん
外国作品への出演経験が豊富な役所さんですが、「日本」に対して理解のされ方は?まだまだ誤解されているな、と感じる点はありますか?
そうですね。別に外国作品への出演は豊富じゃないんですけど(笑)。彼らはちゃんと調べて勉強していますよ。勉強してあえてそうしたくないと。彼らの観客のターゲットは日本人だけじゃなく、世界中に向いているんで、たとえば「SAYURI」のときの芸者さんの着物でも、ちゃんと着物を着ることはできるんです。
マーシャル監督はイメージの中の女性の着物姿があって、ちゃんと着るとああはならないわけですね、そういうところを狙って、あえてちょっと崩して着ているところがあると思います。
去年は5本の映画に出演されましたが、元旦にお誕生日を迎えられ、今年はどんな1年にしたいという抱負はありますか?
今年は、もう去年撮った中島哲也監督の「パコと魔法の絵本」が今年公開予定で、あと黒沢清監督の「TOKYO SONATA」もあります。「シルク」は「バベル」のあとに撮影しました。また、新しい映画の撮影もあります。
お忙しいと思いますが、お休みのときはどうしていますか。
忙しくないですよ。ちゃんと休んでますよ。オンオフを切り替えるときと、次回作のためにいろいろ準備をしたり調べたりとかしています。
毎回その役柄によってガラっと変られてびっくりしていますが、役作りはどうやっていますか?
どうやって?(笑)でもね、一人で作るものじゃないですからね。扮装にしても衣装さんがいたりメイクさんがいたり、小道具さんがいたり、その人たちがいろんな経験から知恵を出してくれるので非常に助けられます。その上で「それの道具は違うんじゃないかとか、この衣装がいいんじゃないか」と、自分の意見も出して話し合って作ります。まあ、そこがおもしろいところですね。自分の力だけじゃないですよ。(笑)
映画を見に来るお客さんにひとことお願いします。
「シルク」には日本の美しい風景がたくさん出てくるので、僕としてもすごくうれしいですね。すごくよくできているんで。なんといっても音楽的な映画で、美しい映像と坂本龍一さんの音楽がこの映画の力強さになっていると思います。ラブストーリーですけれど、深い映画になっています。
世界中の人が日本のよさを知ってくれるといいですね。
そうですね。映画ってどんどん一人歩きして、いろいろな国の人が見ますからね。日本の文化がよく描けているのでうれしいですよね。
今週やっと公開をむかえ、楽しみですね。
映画っていろいろな見方や好みがありますからね。どんな見方をされるのか楽しみです。
どうもありがとうございました。
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