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    発言小町で話題になっている事柄を、専門家らの意見も交えながら掘り下げます。
    小町の法律相談

    Q.離婚しても「夫」が「敷地内同居」…両親の土地を返して!

     結婚後も、実家のすぐ近くで暮らせたらと考える人もいそうですが、思いがけず離婚することになったら、ちょっと面倒なことになるかもしれません。

     25年の結婚生活を送った夫との離婚を決めた女性が、発言小町に敷地内同居をめぐる相談を寄せました。

     女性は、「あまり土地が広くないところに実家と私の家が建っており、建物の間が1メートル程度しかありません」といい、どうやらいわゆる「敷地内同居」のようです。離婚については双方が同意しているものの、「土地について()めています」といいます。

     なぜなら、18年前に「私の実家の土地を、夫に生前贈与にする形で、実家の脇に家を建てた」という事情があったからです。両親は「夫に贈与したのは私と結婚しているから贈与した。離婚するなら土地は返すように」という一方、夫は「贈与してもらった土地なのだから、離婚しても自分の物だ」と言い張っています。

     どちらの言い分にも、思わず(うなず)いてしまいますが……。レスには「買い戻したら?」「財産分与で、分けてもらうしかないのでは?」という意見が並びました。中には「離婚するのはやめたらどうでしょう?」という声も飛び出しました。この方は、「土地が自分の元に戻ってくる日まで、家に居座り健康に暮らすというのはどうですか?」とまでいいます。

     夫は「離婚しても現在の住まいに住み続ける」と言っているそう。でも、実家の1メートル先で、別れた夫が暮らしている状況に抵抗を覚えるのも自然な話。夫に出て行ってもらうためには、どんな方法があるのでしょうか? 山岸陽平(やまぎしようへい)弁護士に聞きました。

     ※トピ「土地は返してもらえる?」はこちら

    A.「財産分与」の対象財産となるという結論が妥当

    土地は誰のもの?

     離婚する時に夫婦が財産を分け合う「財産分与」の対象となる財産は、夫婦の共有名義になっていた財産に限りません。

     名義は一方に属していても、夫婦が協力して取得した財産を含みます。ですから、不動産の登記名義が夫の単独所有になっていても、夫婦で協力して住宅ローンを支払ってきたようなときは、「財産分与」の対象になってくるわけです。

     その反面、婚姻中に一方が相続した不動産については、夫婦で協力して取得したものではありません。これは「財産分与」の対象には含まれません。

     今回の「妻の両親の土地を夫に贈与した」というケースですが、やや異例です。

     このような場合、妻は、夫が妻の両親から贈与を受けるにあたって具体的な貢献をしたものではないとも考えられます。しかし、夫が妻の両親から土地を贈与されるにあたっては、「妻の配偶者である」という要素が非常に重要であったことも確かでしょう。

     そのため、名義は夫になっていても、「財産分与」の対象財産となるという結論が妥当でしょう。

     また、「財産分与」の額や方法を裁判所が決めるときには、「一切の事情」を考慮して決めます。詳細な事情によっては、妻が不動産の大半を得られる形での「財産分与」となる可能性があります。

    あくまでも「夫婦の財産分与の問題」

     妻の両親は「離婚するなら返してほしい」という主張をしているようですが、履行してしまった贈与は原則として撤回できないことになっています。贈与が18年も前であること、土地の上に家を建てて住んでいることからしても、取り返す権利は認められないと思います。

     あくまでも夫婦の「財産分与」の問題として取り扱われます。ただ、その中で、妻の両親がどのような意味合いで夫に土地を贈与したのかという点は考慮されるでしょう。

     なお、離婚に際して夫に出て行ってもらいたいというのであれば、離婚にあたって必ず「財産分与」の話し合いを持ち、話がつかないときには、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることが必要です。

    【取材協力弁護士】
    山岸(やまぎし)陽平(ようへい)弁護士
    金沢弁護士会所属。富山県出身。京都大学法学部・同法科大学院を経て弁護士登録。相続、離婚、不動産、交通事故、会社法務などへの取り組み多数。高齢者の財産管理、資産承継、身上監護について取り組むことも多い。

    個人サイトはこちら
    事務所名:弁護士法人あさひ法律事務所

     

    ※この記事は法律相談サイト「弁護士ドットコム」とのタイアップ企画です。大手小町の掲示板「発言小町」に寄せられた相談に弁護士が回答します。相談はこちらからお寄せください。

     

    2016年04月15日 Copyright © The Yomiuri Shimbun


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