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    発言小町を基に、少子化ジャーナリスト・白河桃子さんが社会現象などを分析します。

    結婚からの静かな撤退が始まった

     「発言小町」で「婚活」と検索してみると、この1か月だけで55本のトピがヒットしました。

     例えば「女30 婚活すべきなのか」(トピ主・ハンドルネーム「お茶」さん)、「結婚したい!相手の経済力は妥協すべき?」(ハンドルネーム「らん」さん)など。

     投稿だけ読んでいると、「結婚したい人はたくさんいるのだなあ」と感じるのですが、一方、結婚からの静かな撤退が確実に始まっているとも思います。

    結婚願望のある人…男女とも大幅ダウン!

     明治安田生活福祉研究所(東京都千代田区)が6月20日に発表した調査では、以前に比べると確実に結婚願望が落ちていることがわかります。報告書によると、未婚の男女に結婚に対する気持ちを尋ねたところ、「できるだけ早く結婚したい」「いずれ結婚したい」と回答した「結婚願望がある人」は、20代の男性で38.7%。3年前に比べると67.1%から大幅にダウンしています。20代の女性は59.0%で、同じく82.2%からこちらも23.2ポイントも低下しています。

     さらに交際経験のない人も増えています。20代男性では5割以上が交際経験がありません。

     一度も交際したことがない男性が、恋愛や婚活に積極的になるには、よほど大きなきっかけが必要。例えば、恋愛に積極的な女性と出会って、無理やり付き合うことになるとか……。男性も女性も、恋愛では“待ち”が大半の日本なので、そのチャンスはなかなか訪れそうにもありません。

     20代で恋人がいる割合は、男性で22.3%、女性で33.7%。女性のほうがやや「交際経験は豊富」という結果のようです。「男がリードしなければならない」と思いこんでいる男性ほど、「自分が恋愛に慣れていないと思われるのでは……」と不安に感じるだけで、さらに恋愛から遠ざかってしまうでしょう。

     恋愛、婚活はやはり経験値に左右されます。リクルートブライダル総研(東京都千代田区)の調査によると、結婚するまでに付き合った人数は、男性で5.0人、女性で4.5人。ある程度失敗したり、失恋したりするなかで、異性とのコミュニケーションの取り方を覚え、「こういう人が好みだけど、実際には合わないんだ」などと学び――そして成就するものなのですね。

     男女ともに恋愛から遠ざかっている今の状態で、恋愛や結婚、そして子どもが増えるとはとても思えません。

    年収の希望にミスマッチ

     経済も大きな問題とされています。

     冒頭の調査では、20代、30代未婚女性の半数以上が、結婚相手に「年収400万円以上」を希望しています。しかし男性で年収400万円以上の人はというと、30代未婚では37%、20代未婚ではわずか15%……これはミスマッチですね。結婚願望を抱けなくなるのも無理ないかもしれません。

    結婚に魅力を感じないのはなぜ?

     しかしなぜ、これほど結婚に魅力を感じないのか? 理由の一つは、若い世代にとって「リスクが大きすぎる」からかもしれません。調査で印象的だったのが、「コスパで結婚を考えたことがある」と回答した人が、20~40代未婚男性の38%、女性は45%もいたことです。

     ちなみに「結婚をお金の価値に換算すると1億円以上のプラス」と考える割合は、30代の未婚女性で11%、既婚女性では19%。全体的に既婚者のほうが結婚を「プラス」ととらえる人が多い傾向がありました。

     「結婚をコスパで考えるなんて、情けない」「若い者はだらしない」と言うのは簡単ですが、この世代を作ったのは、今の結婚している世代。

     日本の家には、父親と母親はいても、男と女はいない。どうやって男女がつきあうのか、家の中では知るすべがありません。

     若い人たちが結婚にハードルを感じているのは、経済のせいだけではない。今の“結婚の形”が、彼ら、彼女らが憧れるようなものではないということ。それは今の大人のせいでもあるのです。

     これだけ恋愛している人が少なくなると、先輩や友人からも学べない。まして、マンガのコンテンツは夢物語。

     ああ、日本はそろそろ「結婚」以外の方法で人口を増やすことを考える時期なのかもしれません。

    2016年06月23日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    白河桃子 (しらかわ・とうこ
     少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。「一億総活躍国民会議」委員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。婚活ブームを起こした「婚活時代」(山田昌弘共著)は19万部のヒットとなり、流行語大賞に2年連続ノミネート。著書に「妊活バイブル」(講談社新書)「女子と就活」(中公新書ラクレ)「産むと働くの教科書」(講談社)「格付けしあう女たち」「専業主婦になりたい女たち」(ポプラ新書)など。「仕事、出産、結婚、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「専業主夫になりたい男たち」(ポプラ新書)。公式ブログ:http://ameblo.jp/touko-shirakawa ツイッター:@shirakawatouko


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