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    発言小町を基に、少子化ジャーナリスト・白河桃子さんが社会現象などを分析します。

    選挙、選挙、選挙…うんざりしているあなたへ

     選挙が続きますね。東京では、参議院選挙が終わったと思ったら、今度は都知事選挙。各地の市町村まで含めると、日本は年中選挙をやっているそうです。

     参議院選挙もいまひとつ盛り上がらずに終わりましたが、今回はひとつの刺激剤がありました。それは18歳が選挙に参加できるようになったこと。

     ニュースによると「新たに有権者となった18歳の投票率は51.2%、19歳は39.7%。平均で45.5%」ということでした。3年前の参院選では「20代の投票率は30%台」だったそうなので、今回初めて選挙権を得た10代のほうがたくさん投票に行ったということですね。

    「女性の意見が政治に反映されるようになった」…感動はいかほど

     小町にもこんな投稿が。「昔の若者」の方からです。

    トピはこちら⇒投票に行けば若者の意見は政治に反映されるのか

     「高齢者は投票率が若者より高いだけではなく、そもそも人口が圧倒的に多いのです。ですから、若者の投票率が100パーセント近くに上がらなければ高齢者重視の政治は変わらないでしょう。若者の皆さん、必ず投票に行くだけでなく、日頃から政治に関心を持ち、発言し、行動していきましょう。応援しています」

     若い人へのエールですね。それに応えてのレスで、ちょっと感動的なものがありました。

     「先日、期日前投票に行ったとき、94歳の高齢者の女性に会いました。偶然でしたが何気ない話を交わしました。そうしたら、『私はいままで選挙権を持ててから、選挙に行かなかったことは一度もありません。今年は健康面で、選挙当日に投票に行けるかどうかわからない状態なので、期日前投票制度があると知って、タクシーで初めて来ました』ということでした」

     女性が初めて参政権を行使できたのは1946年の衆院選。まだ70年しかたっていません。この94歳の女性は、女性が投票する権利すらなかった時代を生きてきて、戦後、女性の意見を政治に反映できる日が来た。「その感動はどれほど大きかったでしょう」

     そうですよね。「0」から「1」になった感動は大きい。その気持ちをずっと持ち続けてくれているおばあさんの姿には感動するものがあります。ちなみに、彼女はどこに投票したのでしょうね……。ちょっと気になる謎です。

    良い顧客になろう

     さて今回18歳、19歳で初めて投票した人たちも、この94歳の女性のようになるのでしょうか? それは未知数ではありますが、「18歳に投票権がある」ということになると、政治家や政治に関わる人たちが、今まで視野に入れてこなかった人たちのことを考えるようにはなります。

     政治をデパートのようなものに置き換えて考えてみると、優良顧客=投票率の高い有権者はどうしても高齢者なので、“古くからの確実な顧客”については、詳しくリサーチして「気に入ってもらえそうな品ぞろえ」をするわけです。

     しかし10代という新たなお客さんができたので、自然と「10代ってどんなことに興味があるのか?」「どうやったら10代が来てくれるの?」「10代が買ってくれる商品ってなに?」と知恵を絞るようになる。新規顧客開拓のために、今までとは違う商品=政策を開発してくれるようになる。

     だから、自分たちに合った商品を作ってもらうために、デパートに置いてもらうために、せっせとお店に通いましょう。

     「誰に投票すればいいかわからない」という方も多いでしょう。これまで投票してきた大人にだってわかりません。日本は「投票に関する教育」ってなかったんですよね。アメリカでは候補者が自ら学校に行き、演説します。模擬投票なども行います。ヨーロッパでは「市民教育」が盛んです。

     選挙前に、実業家で「ライフネット生命」代表取締役会長の出口治明さんが書いた「『誰も政治を教えてくれなかった』人たちへ」というブログが話題になっていました。「良い候補者なんていない」「どうせ変わらない」と思っている人におすすめです。

     彼はチャーチルの言葉を引用しています。「選挙とは、いまの世の中の状況で、ろくでなしのなかから誰に税金を分配させたら相対的にマシになりそうか、消去法で選ぶ行為のことだ。選挙とは要するに忍耐である」。チャーチル自身が政治家なのですから、とても説得力がありますよね。

    “完全服従”しますか?

     さて、次の投票は都民にとっては7月31日ですね。今から候補者を見て頭を抱えている人も多いし、すでに報道合戦でうんざりしている人も多い。でも出口さんはこうも言っています。

     「選挙に行かないのは、完全服従の(あかし)です。みなさんの税金がどう分配されようと、将来年金を払ってもらえなくても、医療費負担が10割になっても、決して文句は言いませんよ、という意思表示そのもの」

     ちなみに15年以上も前ですが、「モーニング娘。」のヒット曲「ザ☆ピ~ス!」に、「選挙の日ってウチじゃなぜか 投票行って外食するんだ」という歌詞がありましたっけ。楽しい外食のついでに、ぜひ選挙に行ってみてくださいね。

    2016年07月15日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    白河桃子 (しらかわ・とうこ
     少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。「一億総活躍国民会議」委員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。婚活ブームを起こした「婚活時代」(山田昌弘共著)は19万部のヒットとなり、流行語大賞に2年連続ノミネート。著書に「妊活バイブル」(講談社新書)「女子と就活」(中公新書ラクレ)「産むと働くの教科書」(講談社)「格付けしあう女たち」「専業主婦になりたい女たち」(ポプラ新書)など。「仕事、出産、結婚、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「専業主夫になりたい男たち」(ポプラ新書)。公式ブログ:http://ameblo.jp/touko-shirakawa ツイッター:@shirakawatouko
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