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    発言小町を基に、少子化ジャーナリスト・白河桃子さんが社会現象などを分析します。

    ドラマ「カルテット」 オーケストラと婚活の深い関係

    • 『カルテット』(C)TBSテレビ
      『カルテット』(C)TBSテレビ

     「発言小町」には、婚活に悩む投稿が数多く届いています。小町ユーザーで婚活中の人だけの掲示板などを開いたら、互いに結ばれたりして……と思うぐらい。なぜなら「小町好き」という共通項があるから。

    小町のアドバイスは「経験の蓄積」に基づいている!

     婚活というワードで検索すると、皆様のお悩みがたくさんヒットします。例えば「婚活で悩んでいます」というトピ主様。

     「私は32才で、事務員のパートタイマーとして働いています。実家暮らしです。体があまり丈夫ではないため、正社員で働いたことはありません。(中略)30代になり、そろそろ両親に孫が見せたく、1年ほど婚活を始めました。お相手に求めることは、私より身長が高いこと(165cm以上)、専業主婦をさせてもらえること(体が丈夫でないため)、両親と同居してくれることです。元々父の両親を引き取り同居していたので、住むスペースは充分あります。リフォームも必要ありません。家事も母が得意です」

     だいたいこんなふうに自分のプロフィルと相手の条件をあげている投稿が多いのです。そうすると、投稿したのが男性であっても女性であっても結構辛口の“洗礼”を受けることになります。

     「ごめんなさい、(トピの感想を投票する「これポチ投票」ボタンで)びっくりを思わず押してしまいました。自分が男なら、正直トピ主みたいな女性、めんどくさくてごめんだわって思うと思います。(中略)両親と同居が前提っていきなりマスオさんはつらい、どの地方かわかりませんが、田舎の方なら32歳って、結構いってるねって言う年頃ですよね」

     わぁ、手厳しい。まあ、しかし、ある種のつらい事実をつきつけるのも、本人たちのためになるのかもしれません……。

     

     こんなふうに小町に婚活の悩みを投稿するのは、ある種の「ブートキャンプ」。どういう婚活の場所が自分に合っているか、アドバイスを求めている人には、小町ユーザーがちゃんと回答してくれる。既に婚活を経験した人が多く、かなり現実的、かつ厳しい回答が出てくるのは、それだけ「経験の蓄積」がある分野だということです。

     「婚活」というワードが世間に認知されてから10年ぐらいになるので、ノウハウを伝授できる人が増えたのでしょう。実際に婚活して結婚した人もいるし、ダメだった人もいます。それぞれが自分の経験からアドバイスができるわけですね。

    男女の仲にとって、一番の「接着剤」は何?

     さて、それでは男女の絆が生まれる場所はどこか? ドラマ「カルテット」(TBSテレビ)を題材に、ちょっと書いてみようと思います。

     実は、今一番楽しみなドラマは「カルテット」なのです。「東京タラレバ娘」(日本テレビ)も気になるけれど、セリフといい舞台設定といい、くせ者な感じがたまらない。そして登場人物の男女4人が弦楽器をやっているところが、なんともエロティックなのです。

     私の友人の女性が、素人向けの社会人オーケストラに入っているのですが、婚活中の彼女、すぐに彼氏ができました。音楽をやっている人同士の感性が、弦楽のしらべにのって絡み合う。複雑な男女の感情も絡み合う。目と目を見交わし、息を合わせ、一緒に音楽を奏でる――なんとも濃密な時間と空間。そこに何かが生まれないわけがない。

     ということで、社会人のオーケストラのような場は、婚活中、恋人募集中の方には最適なのです。小中高でブラスバンドなどやったことがあって、楽器ができる人は、ぜひ、オーケストラをおすすめします。

     婚活は「結婚したい」という共通のカテゴリーを持つ人たちが集まる場所です。しかし逆に言えば「結婚したい」以外の共通項はない。

     本当は男女の仲にとって一番の接着剤になるのは、「結婚相手にふさわしい条件」とかではなく、濃密な感情、感性を共有することではないかと思うのです。それはお互いにとっての感情でなくてもいい。熱い思いや感性を傾けられるものが共通だったら、そこから互いへの感情が芽生えることもあるのです。オーケストラは、まさに感性が響き合う場所ですよね。

    婚活するなら、行ってみるべき場所はココ

     「カルテット」で一番好きだったシーンは、同僚の女性の結婚パーティーで、司(松田龍平)が演奏するところ。同僚の女性と彼は、飲み仲間で、終電を逃したという理由で彼女のマンションに転がり込む仲。

     しかし「気の置けない同僚」という仮面をかぶり続け、男性のほうははっきりしない。彼女は婚活して違う男性と結婚することに。「30だからね。婚活するよ」という言葉がすごく現実的です。そこで「失った魚の大きさ」に気がつく男性……というありがちなパターン。

     ひそかに思いを寄せていた、じれったい仲だった男性が、自分のために奏でるバイオリンの調べで送られる女性。なんとも、切ないシーンでした。いつもダメなのは、失ったあとから惜しくなる男性のほう。

     ドラマの中で、男女は「行間」が大事と指摘するセリフがあるのですが、行間とは、男と女が、言いたくても言えない言葉。

     「『こんなのデートじゃないんだからね!』っていうのはデートでしょ。『絶対怒らないから本当のこと言って』って言って、本当のこと言ったら、メッチャ怒られるでしょ。それが行間! 『連絡しますね』っていうのは『連絡しないでね』って意味でしょ」

     その行間をたくさんのみ込んできた二人の別れに、彼の奏でる音楽の、なんと雄弁なことよ。

     先日、地方の農業青年の婚活を支援している方に会いました。「農業に興味がある人」を募って、地元までバスツアーをして、婚活イベントをしたそうです。

     そうしたら、カップルになったのは「農業をしている地元の人」と「農業に興味がある人」。それから「移住を考えている人」と「地元の人」。「農業に興味がある人同士で非地元」などでした。つまり「婚活だけが目的」の人は誰もカップルにならず、「地域」や「農業」への思いを共有できる人たちがカップルになったわけです。

     

     ぜひ婚活中でうまくいかない人は、「思いや感性を共有できる場所」に行ってみることをおすすめします。

    2017年02月17日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    白河桃子 (しらかわ・とうこ
     少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。「一億総活躍国民会議」委員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。婚活ブームを起こした「婚活時代」(山田昌弘共著)は19万部のヒットとなり、流行語大賞に2年連続ノミネート。著書に「妊活バイブル」(講談社新書)「女子と就活」(中公新書ラクレ)「産むと働くの教科書」(講談社)「格付けしあう女たち」「専業主婦になりたい女たち」(ポプラ新書)など。「仕事、出産、結婚、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「専業主夫になりたい男たち」(ポプラ新書)。公式ブログ:http://ameblo.jp/touko-shirakawa ツイッター:@shirakawatouko
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