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    発言小町を基に、少子化ジャーナリスト・白河桃子さんが社会現象などを分析します。

    みんなが保育園に入れるようにするには、いったいいくら必要なのか?

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     こちらのコラムで2月、保育園への入園を希望しながらかなわなかった人たちが、「#保育園に入りたい」のハッシュタグを付けて、不承諾通知をTwitterなどのSNSにアップする運動をご紹介しました。

     記事はこちら⇒保育園に入りたい…不承諾通知をSNSで可視化しよう!

    “激戦区”で保活を制すために…

     発言小町でも、保育園に関して不安に思う親御さんからのトピ(保育園事情について)がありました。

     「ネットニュースで保育園落選の件を読みました。現在妊娠中で6月出産予定です。順調ならば、2018年4月入園を考えています。待機児童問題は把握しているつもりです。住まいは、23区内の激戦区です。急速に開発が進められている地域のため、認証保育所の調査もしています。第一&二希望の認証保育所は出産後に登録用紙を提出、第三希望は、妊娠中から登録OKでしたので、登録済み(妊娠がわかった時点で登録しても、すでに定員が6人に対し14番目でした)です」

     すでに定員の倍以上の人が応募しているなんて! しかし、これに続くトピ主さまの文章には、さらに驚かされました。「早生まれは4月入園の0歳時枠に申し込みができないことを考え、4-9月に出産できるようコントロールしました」

     そこまで……しかし、このトピ主さんに対してのレスは「余裕で落ちます」というものが続きます。

     “激戦”を制した方からのレスもありました。「都内激戦区、0歳4月で認可保育園に入れました。0歳児クラスの定員の半分以上が兄弟加点(双子含む)とひとり親加点です。最低限の共働き満点(加点なし)で入ったのはうちとあと1、2人…。それでもうちは低年収と夫の持病(障害手帳あり)でかろうじて入れたようなものです。ちなみに新設園の話です。1~3歳児クラスに加点なしでも入りやすいと言われる新設園の0歳クラスでこの状況です」

     よく取材などで「保育園に入るために偽装離婚する人もいるそうですよね?」と聞かれるのですが、私は実際に会ったことはありません。でもこれを見ちゃうと……本当に保育園のために偽装離婚する人がいても不思議ではないかも……そう思わされます。

     いやー、もう女性の活躍どころではないですよね。こんなところに高いハードルを設けられては。

    保活に苦労する社会を変えたい!

     そんな多くの方たちの思いが集まって、署名サイト「Change.org」にて、署名活動「子ども子育て予算にプラス1.4兆円追加して、待機児童を解消してください。」が始まりました。

     この「1.4兆円」というのは、京都大学の柴田悠(はるか)准教授による試算です。潜在的待機児童80万人(2013年時点)の解消には、およそ1.4兆円の追加予算が必要となるとのことです。

     「保育サービスに1.4兆円つぎ込めば、経済成長率は0.64%上がり、子どもの貧困率は2.2%下がる!」

     「法人税減税の経済効果は0.6倍、公共事業は最大1.1倍だけど、子育て支援は2.3倍の可能性」

     ――ということが書いてあるのが、柴田先生の新刊「子育てと支援と経済成長」(朝日選書)です。子育て支援はすればするほど、みんなの将来のためになる。

     そして、1.4兆円は、子ども国債の発行や消費税1%の増税などで十分に実現可能な規模なのだそうです。

     「予算をつけてください!」と訴えても「じゃあ財源は?」となるのが政府の予算。それを研究者の方たちが、こうしてしっかりと試算してくれて、具体的な提言までしてくれている。1.4兆円……すごい金額ですが、道路とか橋とかにはもっと大きな予算がついています。不可能ではないんですね。

     Change.orgで署名を集めている「希望するみんなが保育園に入れる社会をめざす会」ではこう呼びかけています。「今こそ、待機児童解消が必要です。今こそ、子育て支援が日本を救うのです」。集めた署名は首相、厚労相に提出するそうです。

     明日仕事がなくなるという親たちは、もう黙ってはいない。声を上げる方法もあるし、つながる方法もある。いろいろな人たちの力で、世の中は少しずつ良い方向に行くのだと思います。新しく立ち上がった署名サイトは「あきらめないで」と多くの人たちに呼びかけているようでした。

    2017年03月03日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    プロフィル
    白河桃子 (しらかわ・とうこ
     少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。「一億総活躍国民会議」委員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。婚活ブームを起こした「婚活時代」(山田昌弘共著)は19万部のヒットとなり、流行語大賞に2年連続ノミネート。著書に「妊活バイブル」(講談社新書)「女子と就活」(中公新書ラクレ)「産むと働くの教科書」(講談社)「格付けしあう女たち」「専業主婦になりたい女たち」(ポプラ新書)など。「仕事、出産、結婚、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「専業主夫になりたい男たち」(ポプラ新書)。公式ブログ:http://ameblo.jp/touko-shirakawa ツイッター:@shirakawatouko


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