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    育休中も柔軟に仕事

    月80時間まで可能に

    • 育休中、育児の合間に短時間働く女性。「今は復帰前の『助走期間』。無理のない範囲で働けて生活にも張りがある」(東京都内で)
      育休中、育児の合間に短時間働く女性。「今は復帰前の『助走期間』。無理のない範囲で働けて生活にも張りがある」(東京都内で)

     育児休業中に可能な範囲で働く女性が目立ってきた。

     昨秋、月80時間までの就労なら育児休業給付金がもらえる仕組みに変わったのが一因。育休中に仕事を続けられ、スムーズな復職につながるとの評価がある一方、「本来は休業期間なのに、働くことを強いられるのでは」といった懸念も出ている。

    給付金制度が改正

     東京都内のコンサルティング会社「テレワークマネジメント」に勤める女性(32)は、5月から自宅で、勤務先のホームページをパソコンで作成するなどの仕事をしている。昨年12月に次男を出産し、現在育休中だが、次男の昼寝中に平日の2、3時間働く。「仕事の感覚が鈍らずに済みます」と話す。

     出産前から勤務先のサイトの管理や広報業務を担当しており、現在も同様の業務を行う。ただし、仕事量は以前の3割ほどだ。労働時間は会社がパソコンを通じて管理する。育児休業給付金と給与を合わせ、育休前の約8割の収入がある。

     体調面の不安などから、出産後すぐの復職は見送ったが、「仕事から完全に離れると、システムなどが変わって『浦島太郎』になってしまう」との不安もあった。今秋に復職したい考えなども上司に伝え、育休中の就労を認めてもらった。

     同社社長の田沢由利さんは、「1日2時間でも働いてもらえると、現場はとても助かる」と本音を漏らす。

     女性がこうした働き方を選べたのは、昨年10月の育児休業給付金制度の改正が大きい。

     給付金を受給しながら働けるのは、これまで「月10日」が上限だった。改正により「月80時間」が上限となり、「1日3、4時間勤務で月20日就労」といった柔軟な働き方が可能になった。ただし、給付金と給与の合計が育休前の給与の80%を超えると、その分だけ給付金は減額される。

     厚生労働省雇用保険課は「女性の活躍推進が改正の狙い。育休中も、復職の準備や育児と仕事の両立がしやすくなった」と説明する。

    「復職がスムーズ」

     人材サービス大手、パソナ第8営業部長の矢野美紀子さん(40)も、昨年6月に次女を出産し、11月から今年5月に復帰するまでの育休中に働いた。週1~3日、午前10時から午後4時まで、在宅勤務をしたり、次女を保育園の一時保育に預けて出勤したりした。

     「出産前に手がけた企画があり、可能な範囲で仕事を続けたかった」と矢野さん。だが、会社の短時間勤務制度は週5日勤務が基本。矢野さんが希望する「週1~3日勤務」の制度はなく、育休を取得しながら働くことにした。「企画を売り込む機会を逃さずに済んだ。スムーズな復職にもつながった」と振り返る。(矢子奈穂)

    育児休業給付金 雇用保険に加入する労働者が育休を取得し、1歳未満の子どもを養育する場合に支給される。子どもが保育園に入れない時などは最大で1歳半になる前日まで延長される。育休開始日から半年間は育休前6か月間の平均賃金の67%、半年以降は50%の金額が支給される。

    本来は休業が前提 「労働強要される恐れも」
     給付金の制度改正によって働き方の選択肢が広がる一方、懸念する声もあがる。
     女性の働き方に詳しい、特定社会保険労務士の新田香織さんは「育休は本来は休業期間で、就労をしないのが前提。それなのに、育休期間中も働くことを条件に会社側が育休を認めるような運用が、今後出始める可能性がある」と不安視する。
     育児・介護休業法では、育休中の就労は労使の合意に委ねられており、会社側が育休中の社員に就労を強要することは違法になる。ただ、「立場の弱い社員が、会社側からの就労の『お願い』を断れないケースも考えられる」(新田さん)という。
     労働政策研究・研修機構(東京)研究員の池田 心豪 しんごう さんは、「出産後1年以内に、無理のない範囲で働きたい人もいれば、育児に専念したい人もいる。育休中の就労はあくまで例外的なものなので、早期に復職しても育児と両立できる体制づくりに、国や企業は力を入れるべきだ」と指摘する。
    2015年06月30日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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