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    被災地で輝く<下> 外部の視点を復興に

    人材仲介会社設立/マラソン大会運営

     東日本大震災を機に、被災地に縁のなかった女性が続々と入り、現地で起業したり、支援活動を続けたりしている。

     外部の人間ならではの経験や視点を生かしながら、東北のために奔走している。

    研修ツーリズム開催

    • 研修生とうち解けた様子で話す戸塚さん(手前右から2人目、岩手県釜石市で)
      研修生とうち解けた様子で話す戸塚さん(手前右から2人目、岩手県釜石市で)

     岩手県釜石市の古民家で2月中旬、被災地の企業や団体に研修生を派遣する「研修ツーリズム」のイベントが開かれた。研修生の募集を行う「パソナ東北創生」社長の戸塚絵梨子さん(29)が、地元関係者らを前に「東京出身の私は、皆さんのおかげで会社を始めることができました。研修生も同じようにサポートしてください」とあいさつすると、温かい拍手が起きた。

     戸塚さんは震災発生直後から、被災地に通って支援活動を行った。2012年には勤務先の人材派遣大手、パソナを休職して釜石に住み、自然学校で働いた。「お年寄りから孫娘のようにかわいがってもらい、釜石が自分の古里になりました」

     13年に復職。その頃から、被災地では経済復興に軸足が移ってきたと感じた。そこで、復興のために働きたい県外の人を被災地の企業などに仲介できないかと考えた。会社の先輩に相談すると社内起業を勧められ、15年4月、釜石で研修ツーリズムの会社を作った。

     研修生は現在、20~60代の6人がいる。3月末までの2か月間、仮設住宅から各受け入れ先に通い、海産物や馬などの伝統文化を生かした新商品や地域振興に挑戦中だ。

     復興は日々進んでおり、必要とされる人材も変わっていく。研修生の希望や得意分野は様々で、マッチングにも気を使う。それでも「津波で産業を失い、人口流出も進んだ被災地は、日本の課題の先進地。ここで学んだことは今後、必ず日本中で役立つ」とやる気を見せる。

    郷土の魅力生かす

    • 住民向けに「東北風土マラソン」を説明する森村さん(宮城県登米市で)
      住民向けに「東北風土マラソン」を説明する森村さん(宮城県登米市で)

     自身の仕事のノウハウを、被災地の地域おこしに生かす女性もいる。

     宮城県登米市で14年から毎年行われている「東北風土マラソン」。沿道で郷土料理が振る舞われ、ゴールでは地元の銘酒を用意するなど、東北の食を堪能できる特徴がある。この大会に実行委員として初回から携わるのが、マラソン大会などの企画運営会社「ランフォースマイル」社長の森村ゆきさん(41)だ。

     東北風土マラソンの構想は、震災後に地元で出たものだ。ただ、運営の経験者がおらず、12年から仙台市のマラソン大会に関わっていた森村さんに話が来た。

     森村さんは警察など関係機関との折衝やボランティアの組織作りなどに力を発揮。さらに、4月24日開催の今年の大会では、住民にお願いして手作りの漬物を沿道で用意してもらうなど、ランナーへの「おもてなし」を充実させた。自身の経験から「ランナーは、その土地でしかできない経験や触れ合いを求めている」と感じていたからだ。

     今は東京から2週間に1度ほど通い、準備に励む。大会直前には公民館に1週間泊まり込みとなるが、苦にはならない。「参加者も地元も楽しんでもらえるイベントなら長続きできる。ランナーたちが1年に1度、足を運び、東北の変化を感じてもらう大会に育っていけば」と力を込める。

     全国で地域おこし活動を支援している一般社団法人「村楽」理事の東大史あずまたいしさんは「被災地では、外からやってきて、すっかり地元に溶け込んで頑張っている女性が目立つ。彼女たちは同じように県外から来た人、意欲的な地元の若者などとネットワークを築く能力も高いので、様々な活動のハブ(結節点)として期待したい」と話している。

    今も多くの団体が募集

     被災地では、今も多くの団体が人材を募集している=表=。日本財団(東京)のサイト「WORK FOR 東北」や、震災支援を行うNPO法人「ETIC.」(同)のサイト「新みちのく仕事 右腕プログラム」では、こうした団体や自治体の募集内容が一覧できる。現地で復興支援活動をしてみたい人には参考になりそうだ。(斉藤保)

    募集元(所在地) 職種/期間 主な仕事内容
    釜援隊(岩手県釜石市) コーディネーター/1年以上 復興公営住宅の自治会設立支援
    女川町(宮城県) 任期付き職員/2年以上 商工業者の人材確保の指導
    新たなビーチタウンの狼煙、ArtCafe&BarSEASAW(宮城県七ヶ浜町) 契約社員/1年 地域食材を使った料理開発
    「大堀相馬焼」復興プロジェクト(福島県西郷村) プロダクトマネジャー/1年 窯元と連携した生産体制作り
    2016年03月15日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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