文字サイズ

    【連載】女性と仕事 (2)管理職と家庭、難しい両立

    「短時間で効率よく」が課題

     「ベースは家庭に置きたい。やりがいのある仕事はしたいが、忙しそうな管理職を目指そうとは思いません」。東京都内のIT関連企業に2月に転職し、人事部門で働く既婚女性(28)は、こう言い切る。


     前の勤務先は出張が多く、「子どもも欲しいのに今後の生活が想像できない」と、出張のない企業を転職先に選んだ。今の仕事は楽しいが、家庭と両立しながらキャリアアップを目指すのはハードルが高いと感じる。実際、職場の管理職の女性は独身か子どもがいない人で、夜遅くまで残業している。「バリバリ働かなければ管理職になれないのなら、自分には難しい」

    • 富士ゼロックスの研修について、一緒に参加した当時の上司と振り返る石塚さん(右)。「社内の同じような立場の女性とつながりができて良かった」(東京都中野区で)
      富士ゼロックスの研修について、一緒に参加した当時の上司と振り返る石塚さん(右)。「社内の同じような立場の女性とつながりができて良かった」(東京都中野区で)
    • パソナキャリアが3月上旬に開催したセミナーには、管理職候補世代の女性約30人が参加した(東京都千代田区で)
      パソナキャリアが3月上旬に開催したセミナーには、管理職候補世代の女性約30人が参加した(東京都千代田区で)

     管理職を敬遠する女性は少なくない。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2014年、25~54歳の男女計3000人に行った調査では、課長以上の管理職を「目指す」と答えた女性は13%。男性の43%を大幅に下回った。目指さない理由で「家庭との両立が難しい」とした女性は27%で、男性(19%)と差が出た。

     15年版男女共同参画白書によると、企業や役所での管理職に占める女性の割合は11・3%で、3~4割が女性管理職という欧米諸国よりもかなり低い=表=。女性の就業率が欧米諸国を下回っているのに加え、特に30代女性の就業率が他の年代より低いという問題がある。結婚や出産を理由に退職する女性が多いためで、管理職候補の不足につながっている。

     さらに、パソナキャリアの岩下純子さんは、ロールモデル(手本となる存在)の欠如を挙げる。「管理職候補となっている女性は、家庭生活を充実させつつキャリアアップも、と考えている。だが、実際に目の前にいる女性管理職の大半は仕事一筋で来ており、参考になりにくい」

     多様な人材を活用し、競争力向上につなげる点からも、女性管理職の登用は企業の課題となっている。このため、パソナキャリアは昨年から若い女性向けに、「等身大の女性管理職とは?」などと銘打ったセミナーを開いている。「管理職は特別な人が担うわけではなく、構える必要はないというメッセージが伝われば」と岩下さん。

     企業も取り組みを始めた。富士ゼロックスは昨年11月、初めて「女性次世代リーダープログラム」を実施した。関連会社を含む管理職候補の女性55人とその上司を対象にした育成研修だ。

     その中で、女性管理職が育児や介護との両立について話す機会も設けた。「仕事の『見える化』を図り、周囲にいかに助けてもらうかを考えた」「家庭との両立には、家事代行業者の利用など、時にお金で解決することも一つの方法」など体験談が語られた。

     受講者の東京営業事業部の石塚真弓さん(37)は、「管理職は責任感や重圧、過度な労働と大変なだけ」と魅力を感じていなかった。だが、受講後は、「自分が管理職になって、柔軟な働き方ができる職場に変えていけばいい」と考えが変わったという。

     ただ、女性の意識改革だけでは限界がある。

     昭和女子大学特命教授(労働経済論)の八代尚宏さんは、「長時間労働や頻繁な転勤、配置転換が当たり前という働き方は『男性は仕事、女性は家』という役割意識があった古い時代のもの」と指摘。「共働きが普通となった現代社会に合わせ、短時間で効率よく生産性を上げる働き方に変えていかないと、女性管理職は増えない」と話す。

    2016年04月08日 Copyright © The Yomiuri Shimbun
    おすすめ


    くらげっとのつぶやき
    発言小町ランキング
    アーカイブ